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失った記憶 ひかりはじめた僕の世界
――高次脳機能障害と生きるディジュリドゥ奏者の軌跡――

後遺症を抱えた音楽家が描き綴る再生の日々、そして未来へ――


復活の軌跡

 本書は、アボリジニの伝統的な管楽器ディジュリドゥの奏者である、GOMA(ゴマ)さんによるはじめての著書です。

 GOMAさんは、日本におけるディジュリドゥ奏者の第一人者で、世界でも高い評価を受け国内外で活躍をしていました。しかし、本書刊行時から約6年半前に交通事故に遭い、記憶障害や注意障害の症状が出現し、高次脳機能障害と診断され活動を休止しました。事故後、ディジュリドゥの吹き方をしばらく忘れ、今まで描いたことがなかった点描画を描くようになるなど、それまでと生活は一変しました。それから懸命なリハビリや家族の支えもあって、音楽活動を再開させ、現在は新たに切り開いた絵画、自身の経験を多くの人に伝える講演会など、活動の幅を広げています。

本書では、GOMAさんが高次脳機能障害などのあらゆる障害を抱えながら、復活を果たすまでの6年半に及ぶ過程を、当時の本人の日記や、事故後に描きはじめた点描画、家族の日記などでまとめました。

出会いは映画

 本書の端緒は、4年前に遡ります。GOMAさんが主人公をつとめたドキュメンタリー映画「フラッシュバックメモリーズ3D」を東京・吉祥寺の映画館に観にいき、GOMAさんの魅力に惹きつけられ会場でお声をかけたことからはじまりました。それから1年後、ご本人から会社にお電話をいただき、始動していきました。

「誰にでも起こることであると知ってほしい」

 映画は東京国際映画祭で受賞したり、講演会に呼ばれるようになるなど、日々活動の幅が広がっていったGOMAさん。そして、彼を支え続けた妻の純恵さん。本を出版するうえで二人の思いは一つ。

 「自分たちの経験を知ってもらい、同じような境遇に陥った人を救いたい。そして、自分たちがしてきた経験は誰にでも起こることであると知ってほしい」

 その思いをかたちにするにあたって、当初は本人による回顧録にて一人称で綴っていくものを考えていました。しかし、交通事故に遭ってから保険会社のすすめで綴るようになったGOMAさんや純恵さんの日記を拝見し、その一つひとつに魂がこもっていて、これをベースにすることでお二人の思いがかたちになると考え、それで展開するかたちで進めていきました。

生きるために綴った日記の選定

 GOMAさんは2009年11月の交通事故に遭い、日記は2010年1月1日から現在まで毎日のように書いています。すべての日記を出したいところですが、本書のコンセプトを考えはじめから2012年11月までの3年間の中から選んでいきました。

 そして、純恵さんの当時の日記を織り交ぜ、GOMAさんを襲う症状の恐ろしさを浮かびあがらせていきました。GOMAさんご本人も純恵さんの日記をはじめて読み、その内容に衝撃を受けたようです。

 本書では、日記だけでなく、社会復帰のきっかけともなった点描画も織り交ぜて構成し、校閲を何度も何度も重ねていきました。

新生GOMAに会いにきてください

 制作にあったては様々な苦労がありましたが、約3年の時を経て刊行しました。GOMAさんをご存知の方にもそうでない方にも、本人や家族が綴った日記や、GOMAさんが見えている世界を描いた点描画が詰まった、この濃厚な本を手にしていただけたら嬉しいです。

 この本を読み終わるころには、GOMAさんに会いたくなっているのではないでしょうか? 11月25日(金)には、東京都荒川区での講演会に登壇されるので、ぜひ足を運んでみてください。講演会・イベントの情報はこちらをご覧ください。本書を持って、今を生きるGOMAさんにぜひ会いにきてください。

(第1編集部 今井紗代子)

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