メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

介護のリスクに関する疑問

『介護リスクは、その数だけにとらわれず、気をつける必要のある要因を絞り、丁寧に対応する』
よくある場面から学ぶリスク予防 著者インタビュー

 入職間もない介護職を支える実務書『ステップアップ介護』シリーズ。
 『介護リスク』第5回は、執筆者の方に直にインタビューをさせていただき、この本に込めた想い、伝えたかったこと、どんな点に気を付けて読むとよいかなどを伺ってきました。

 執筆者の伝えたい思いを知ることで、これから読む人も、これまで読んだことのある人も、この本の理解の深さが変わってくるはずです。

プロフィール

神吉 大輔(かんき だいすけ)
1981年東京都生まれ
2006年社会福祉法人奉優会に入職
介護福祉士、介護支援専門員
社会福祉法人奉優会「特別養護老人ホーム等々力の家」管理統括責任者

 神吉大輔さんは、社会福祉法人奉優会に入職し、介護福祉士、生活相談員として、介護現場にたずさわってきました。
 現場の責任者として職員への研修も行ってきた神吉さんですが、とくに事故予防、不適切ケアや身体拘束防止などの研修にかかわってきました。このようなリスクが起こりやすい介護現場を見てきたからわかること、感じたことがあったといいます。

 今回は「リスク予防」というテーマで一冊の本にまとめるにあたって意識したことや伝えたいことをお聞きしました。

リスクは起こらない限り、想像しにくい

──本書は、どのようなことを意識して執筆されたのでしょうか?

神吉氏:シリーズのコンセプトにもあるように、新人向けというのを意識しました。
いきなり介護現場に入って、どのようなリスクが起こり得るのか、よほどリスクを意識した指導をしてくれる先輩がいない限り、経験しないとわからないことは、本当に数多くあると思います。本書を読んで、少しでも心構えというか気をつけることにつながればと思いながら執筆していました。

──そうした考えは、本のどんな場面にもあらわれているしょうか?

神吉氏:心構えや気をつけることにつながるようにと考えるなかで、いちばん始めの場面が、実は真っ先に思い浮かんだリスクです。
いちばん始めの場面は、「拒否や抵抗があっても、時間内に入浴介助を終えるのが優先?!」になります。この場面が浮かんだのは、本当によく起こりがちで、やってしまいがちで、介護の基本としてとても大事なことだと思ったからです。

本書 2頁

 ここでは、時間内に入浴介助を終えようと少し強引に対応することで、利用者さんを不快にさせ、リスクにつながるような状況になるという悪循環を、職員自らが生み出していることを説明しています。
 丁寧に対応することで、利用者さんも職員も落ち着いて過ごせます。良い循環にするのに、大げさなメソッドも特殊な道具も特別な言葉もなくてもいいのです。それは、ちょっとした配慮や意識の持ち方だけで、できることです。

環境にこそ潜むリスクを知ってほしい

──実は、執筆をはじめる前は、たくさんの場面が挙がっていました。しかし、最終的には36場面になりました。場面を36に「厳選した」理由を教えてください。

神吉氏: 本書に載せる「リスクのある場面」は、私が勤務している事業所と他事業所のヒヤリハットの膨大な記録の中から、“よくある事例”として抽出しました。
幅広い場面でのリスクを知ることも大切ですが、読者に知ってほしい内容を考えたときに、まずは身近に潜むリスクから伝えたいと思ったのです。なぜなら、介護リスクの発生する場所や事象は一見するとさまざまなようですが、場面は「入浴」「排泄」「食事」など、生活に関する身近なものが多いからです。

──新人としては多くの場面のリスクを知るよりも、自分に直接関係する場面からまず最初に学んでいただきたいということでしょうか。

神吉氏:そうです。それで、そこから、大まかに“場所”や“要因”別に分け、重複するものを一本化したりするということをしました。
また、“要因”についても、「人的要因」「環境要因」「利用者さんによる要因」などに絞ることができたことで、身近な場面を取り上げた一冊になったと思います。

──Part4の「環境整備」で挙げていることは、油断しがちなことだなと気づかされました。この項目を立てたのはなぜですか?

神吉氏:介護の現場にいると、介助する側に起因するリスク、利用者さんの行動により起こるリスクは、まず思い当たると思いますが、意外と環境の不備に起因するリスクも多く存在しています。
環境の不備があることでのリスクを防ぐだけで、利用者さんの事故予防になり、結果的に職員の負担を減らすことにも繋がります。環境の不備によるリスクは、もっと声を大にして言ってもよいくらい起こることが多いものであり、防ぐ必要があるものです。
そのためには、なにがリスクとなっているのかを知ることも大切だと思います。

介護職の対応でリスクは減らすことができる

──現場で日頃から利用者さんとかかわっておられますが、改めて、本書をとおして介護職としての気づきなどはありましたでしょうか?

神吉氏:先ほどの話と重なりますが、100件のヒヤリハットがあっても、要因を絞ると数種類に分けることができるのです。ヒヤリハットの数だけにとらわれるのではなく、そのなかでどういったところに気をつける必要があるのか要因を絞り、丁寧に対応することが大切になります。

 逆に言えば、環境の整備、介護技術の向上、リスク(情報)の共有、利用者さんへの接遇や対応など、それらを個人でもチームでも同じ方針のもと磨いていくことによって、さまざまなリスクが減らせるということを、改めて感じることができました。

もっと詳しく知りたい方はコチラ!

このページの内容は、神吉大輔『ステップアップ介護 よくある場面から学ぶリスク予防』からテーマを選定し、Web掲載に見合う形に編集したうえで転載しております。より詳しい内容は本書籍をご覧ください。

著者:神吉 大輔
本のサイズ:A5判、162頁
定価:本体1,980円(税込)

ステップアップ介護 シリーズについて

 「ステップアップ介護」は、経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたい知識と技術を、厳選して紹介する書籍シリーズです。『認知症ケア』『マナーと接遇』『疾患・症状への対応』など、知りたいテーマを7つ用意しました。全巻にわたって、新人介護職の「つぼみちゃん」と、先輩介護職の「はなこ先輩」が一緒にナビゲートしてくれます!

 このシリーズは以下のような特徴があります。

  • ●経験の浅い介護職が一人前になるまでに確実に身に付けておきたいこと
  • ●介護現場の「実践」に直結すること
  • ●すぐに知りたいこと

これらがパッと見てわかる!

 「良かれと思ってやってしまっている」そんな場面をたくさん取り上げ、それが「どうしてだめなのか」その根拠だけでなく、「どうすればよいのか」までをわかりやすくまとめました。
施設内の研修テキストや参考書としての使い勝手もよく、ユニットリーダーやフロアリーダーさんにもおすすめ。詳細は特設ページをご覧ください。

TOPページへ