福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第22回③ 太田恵理子「おやこ支援室ゆずりは」代表
コミュニケーションを大切にしたい
だから、オンラインの可能性も見出したい
「おやこ支援室ゆずりは」代表
太田恵理子(おおた えりこ)
1986年徳島県生まれ。大学卒業後、機械メーカーに就職。息子さんに障害があり、保育園に入れなかったことを機に、「おやこ支援室ゆずりは」立ち上げを決意。2019年4月に開設。現在、「重症心身障害児・医療的ケア児支援事業所」「起業家支援型放課後等デイサービス」も開設準備中。
取材・文:石川未紀
──前回は「おやこ支援室ゆずりは」の具体的な活動の内容を伺いました。
──太田さんは、障がい児の母親という当事者、利用者でありながら、運営する立場にもあります。
そうなんです。だから、利用者の気持ちがわかる。こんなサービスがあったらいいよね、という声に共感できる。ですので、無理、できないと言うのではなく、いったん引き受けて、どうしたらできるだろうか考えています。
新型コロナウィルス感染拡大で4月7日に全国に緊急事態宣言が出ました。徳島でも、デイはできれば継続してほしいという自治体からの要請を受けています。私たちは感染予防に努めながら、子どもたちの安全を確保していきたいと思っています。
一方で、通うのが心配というご家族の方にどんな援助ができるのかを考え、スタッフとミーティングも重ねてきました。
どんな不安を持っているのか、どんなサービスがあったらいいのか、もっと知りたいと、インスタグラムのストーリーでアンケートを取りました。
いろいろなご要望やご意見をいただきました。どれもなるほど、これはいいかもしれないというものばかり。スタッフと、どんなサービスできるのか、また、今の利用者の方にとって有益なサービスは何だろうと話し合ってきました。
そこでオンラインを活用してみようと考えています。
──オンラインのサービスとは具体的にどんなサービスなのでしょう。
行政からの指導では、デイの通所に代わるものとして、電話相談や訪問のサービスというものがありました。私たちは訪問ではなく、電話相談という方法で行っていこうと決めました。ただ、電話だけで、これまでのサービスと同じ価値を生み出せるだろうかと……。ましてや相手は小さな子どもです。そこで、教材を作成し郵送、オンラインでつないで、それを子どもたちに取り組んでもらい、親とPTやOTと一緒に確認する、というアイデアで現在準備中をすすめています。
オンラインのシステムができれば、今後、平時に戻った時にも役立つと思っています。今までは、連絡帳に書いたり、送迎時にお話しするなどして、利用者の方とコミュニケーションをとっていましたが、忙しかったり、送迎時などバタバタしていると、じっくり相談したくてもなかなかできなかったと思うんです。でも、ラインなどで相談できれば、時間のある時にしっかりと話ができる。
私自身、「おやこ支援室ゆずりは」で出会ったお母さん方からの声はもちろんですが、インスタやフェイスブックで出会う、似たような環境の方からの情報もとても役に立っています。多くの方がつながってうまく情報交換していければもっと世界はひろがっていくのではないかと考えています。
──ほかにも何か対策されていることはありますか?
はい。集団療育が心配という方で、対面でのリハビリを希望される方には、午後の一時間を個別の療育という形で予約受付を始めました。今後の様子によっては時間を拡大して、安心して個別療育を続けられる、相談を受け付けられる体制を作っていきたいと思います。
──ありがとうございました。
- 前回までのお話
① 息子の障害で保育園に入れず、復職を断念 ならば、息子のためにも世の中のためになる仕事を始めよう!
② デイに預けている間にママさんにはリフレッシュしてもらったり、 ママさん同士で交流してもらいたい
●インタビュー大募集
「このコーナーに出てみたい(自薦)、出してみたい(他薦)」と思われる方がいらっしゃいましたら、terada@chuohoki.co.jp までご連絡ください。折り返し連絡させていただきます。
「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます
本サイト : 介護職に就いた私の理由(わけ)が一冊の本になりました。
花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館