福祉の現場で思いをカタチに
~私が起業した理由 ・トライした理由 ~
志をもってチャレンジを続ける方々を、毎月全4回にわたって紹介します!
【毎週木曜日更新】
第59回③
玉川謙一郎さん
障害者雇用の経験やセミナーなどで得た知識を、自分と同じように苦しんでいる人のために役立てたいと独立を決める。
玉川謙一郎さん(50歳)
神奈川県相模原市生まれ。高2の時にメンタル疾患を発症する。大学卒業後、一般企業に勤めるが長く続けられずに、35歳の頃、精神障害者保健福祉手帳を取得。その後は闘病を続けながら企業の障害者枠で勤務する。2021年の年末に独立。当事者としての経験を活かし、世の中に発信していこうと現在は企業研修講師、コーチ、カウンセラーとして活躍中。日本プロフェッショナル講師協会認定講師。DET(障害平等研修)認定(C)ファシリテーター。
取材・文 原口美香
【YouTube】
-前回は、精神障害者手帳を取得し、企業の障害者枠での勤務を中心にお話いただきました。今回は玉川さんが、独立を考えられたきっかけからお伺いしていきたいと思います。
個人的に前々からセミナーなどに興味があり参加をしていました。コロナが始まるちょっと前に「講師サミット」という大々的なイベントがあり、様々なテーマで複数の講師の先生方が数日間に渡ってオンラインでセミナーを開催するというものに参加したのです。
その頃は企業研修ってどんなことなのかも分かりませんでしたし、研修会社の存在も知りませんでした。私は「障害者雇用」についての勉強をしていたのですが、勉強をしていくうちに「おもしろい世界だな」と感じ、のめりこんでいったのです。
そして得た知識を、自分がこれまで働いてきた経験をプラスして誰かに伝えたいと思うようになりました。当事者だから分かることもある。自分と同じように困っている人の役に立ちたいと、その道を考え始めました。
2019年の10月に日本プロフェッショナル講師協会に入会し、コーチングやカウンセリングなど様々な資格の取得をし、オンラインで起業についての勉強なども始めました。
2020年にはコロナが発生したことにより、企業研修がオンライン化しました。そのため、研修をサポートする「テクニカルサポート」という仕事が生まれたのです。講師協会でもその育成に力を入れるようになり、私もテクニカルサポートの試験を受け、合格しました。
-「テクニカルサポート」というのは、具体的にどのようなお仕事になるのでしょうか?
講師の先生の裏方で、講義中の必要な時に資料を用意するなど、形式は様々ですが、研修やセミナーが円滑に進むように補助をする仕事です。ZoomやTeamsなどを使用し、自宅から完全オンラインでやることもありますが、研修会社やクライアント先など現地に行って作業することもあります。
独立といっても、すぐに安定した収入になるわけではないので、少しずつ確実に数をこなしていくという感じです。
-お仕事はどのようなところからいただけるのでしょうか?
所属している講師協会からいろいろな案件がメールで来ます。基本は大体1か月に5〜10件弱程度かと思います。自分がやりたい仕事があれば提案書を提出して応募する流れが多いです。それ以外に研修会社と直で契約もしていますので、そこからお仕事をいただくこともあります。
今年の4月にはテクニカルサポートを2年間務めた案件にメイン講師的な役割でアサインできました。
私自身のテーマは「障害者雇用」ですが、それだけで講師をやっていくというのは難しいことなので、ダイバーシティやマイノリティ問題、アンコンシャス・バイアス、心理的安全性など間口を広げていこうと思っているんです。職場の良好な人間関係の築き方や働きやすい環境というのは、障害の有無に限らず重要なことだと思いますので、広く発信できるようにしたいと考えています。
-今までのご経験が強みになりますね。最終回では玉川さんの今後の夢やYouTube発信についてお話を伺っていきたいと思います。
企業研修だけではなく、コーチング、カウンセリング、相談など幅広く手掛けている。
- 前回までのお話
② 精神障害者保健福祉手帳を取得して障害者枠で働く。
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「ファンタスティック・プロデューサー」で、ノンフィクション作家の久田恵が立ち上げた企画・編集グループが、全国で取材を進めていきます
本サイト : 介護職に就いた私の理由(わけ)が一冊の本になりました。
花げし舎編著「人生100年時代の新しい介護哲学:介護を仕事にした100人の理由」現代書館