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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2011年)がある。

「僕が僕であるために」


 新しい一年がスタートしました。
 介護・福祉の仕事を始めて22年目。新年は気持ちを新たにするとともに、初心を忘れていないか確認をします。
 「忙しい」とは、「心を亡くす」とも読めます。介護・福祉の仕事に限りませんが、あまりにも忙しい日々を過ごしていると、いつの間にかこの仕事を始めた頃の想いや志を忘れ、業務を終えること、無事に一日が終わることだけに精一杯になってしまっていることもあるのではないでしょうか。

 私は29歳のとき、高齢者福祉の世界に就職しました。はじめて勤めた特養で、さまざまな経験をさせてもらいました。
 入職して一か月のとき、居室で倒れて呼吸停止していた利用者さんを発見し、心臓マッサージをしたときは、高齢者の身体にはいつ何が起きてもおかしくないことを知りました。
 何年も車いすの生活で歩かなかった利用者さんが、一緒にリハビリテーションを頑張って歩けるようになったときの笑顔は最高でした。
 胃ろうを造設してから、何年も口からの食事を摂っていなかった利用者さんが、口から食べてくれたときは、飛び上がって喜びました。
 「山口さ~ん、山口さ~ん」といつも私の名前を呼んでくれて、頼ってくれた102歳の利用者さんが亡くなったときは、涙が止まりませんでした。

 いつも情熱をもって仕事をしていました。利用者さんが「食べてくれた」「歩いてくれた」「元気になってくれた」と一喜一憂し、毎日が汗と涙と笑いにあふれ、少し遅れてきた青春のような時間でした。

 今の私はどうだろう…。管理職になり、直接介護する場面は少なくなりました。
 利用者さんが立ってくれた、歩いてくれた、食べてくれた、笑ってくれた…と、利用者さんの一挙手一投足に泣いたり笑ったりしていたあの頃の「僕」に胸を張れるだろうか。
 忙しさに忙殺されて、コロナ禍だからと諦めて、昨日が今日でも今日が明日でも変わらないような毎日になっていないだろうか。

 これまで出会ってくれた利用者さんたち、一緒に汗を流してくれた職員たち、そしてこの仕事を志した頃の「僕」に、胸を張れる自分でいたい。
 高齢になり、介護を要することになっても、「長生きした甲斐があった」と思える心の豊かな世の中にしたい。
 それがあの頃の「僕」の夢。
 今年も夢に向かって、全速力で駆け抜けます。

 本年もよろしくお願い申し上げます。

新刊のお知らせ(編集部より)

このたび、山口晃弘氏の著書が発行されました!
テーマは、介護現場の「リーダーシップ」と「人材育成」です。

現場の職員から「一緒に働きたい!」と思われる人気者リーダーになるために、役立つ知識、使えるツール、心揺さぶられるエピソードが満載の一冊です。ぜひ、ご一読ください!

介護リーダー必読!
元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダーシップの極意
定価 本体2,000円(税別)
A5判、218ページ
ISBN978-4-8058-8278-8

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