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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第145回 いざという時、あなたは行動に移せますか???

 先週に引き続き、社会を構成する我々1人1人が何をすべきなのか? を考えてみたいと思います。

補助犬たちは、多くのことを教えてくれます。

 連日、各所からお問い合わせがある中で、新しい情報も少しずつ入ってきております。ただ、憶測でしか考えられない部分も多くあるのが現状です。事故報道を見てから、私自身も自分自身に自問自答しております。いざという時、私は行動できるだろうか???と・・・

 『サポートが必要な人』に気付いていても、声をかけるのを躊躇してしまうのが、現状の日本社会だと感じると、前回のブログに書かせて頂きました。
 リスク管理、という観点から考えれば、日頃いかに『心の準備ができているか?』に尽きると思います。では、その心の準備はどうすればいいでしょうか?

 まずは、正しく知ることから・・・

  • 質問(1)あなたは、危険な場所にいる盲導犬ユーザーor視覚障害者を見かけました。そんな時、どうすればいいでしょうか?

⇒ 視覚に障害のある方を呼び止めるためには、「あなたに注意を喚起しています」ということを、伝えなくてはなりません。近ければ、身体に触れるもしくは緊急的には掴むという行為も必要な場合もあると思われます。しかし、それが遠くの場合、声で呼び止めるためには「盲導犬を連れている男の人(女の人)ストップ!」または「白杖をついている男の人(女の人)ストップ!」と声をかけてください。さらに緊急時には「盲導犬の人!ストップ!」でもいいのです。
 とにかく、あなたに言っているんだよとわかってもらい、止まっていただくことが先決です。「下がって!」と言っても、どちらに下がるのか方向を間違える場合もあると思われますので、とにかく「止める」ことです。

  • 質問(2)あなたが危険な場所にいる介助犬ユーザーor肢体不自由者を見かけました。そんな時、どうすればいいでしょうか?

⇒ 肢体不自由な方の中には、杖で歩いている人、手動車椅子に乗っている方、電動車椅子に乗っている方、いろいろです。また、振り返るのが難しい場合もあります。
 「そこの車椅子の方(杖の方)、ストップ!」と、まずは呼びかけ、その後、近くに寄り「どのようにお手伝いしたらいいですか?」とお声掛けください。その後、必要なサポートをお願いします。
 緊急避難等が必要な場合もあるかもしれません。そんな時、階段利用しかできないような状況であれば、周囲の方と協力をして、極力4人(無理なら3人)が車椅子の4隅をサポートする形で、サポートをお願いします。※その場合に注意いただきたいのは、下りの階段の場合、車椅子の方は背中側から降ろすようにしてください。前向きですと、角度によって転落の危険があります。

  • 質問(3)あなたが危険な場所にいる聴導犬ユーザーor聴覚障害者を見かけました。そんな時、どうすればいいでしょうか?

⇒ 聴覚障害者に注意喚起する場合は、後ろからどんなに大声で声かけしても、聞こえません。ですので、聴覚障害者の場合は、まず、視界に入ることで相手に「自分に話しかけられているんだ」ということを伝え、必要な情報をお伝えください。視界に入れれば、あとは口を大きく開けて話すとか、手のひらに文字を書く等で会話ができます。最近では、スマホ等のメモ機能を使って、文章を書いて伝えることも可能です。
 そして何より、聴覚障害者の場合は、聴導犬を連れていたら=聴覚障害者だと判断できますが、聴導犬を連れいてない方の場合は、一見、わかりません。しかし、行動を見る限り「緊急アナウンスが鳴っているのに、全く気付いていないのかな?」と思われるような場合は、聴覚障害者であることも考えられる、ということを、知っておいていただきたいです。

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 もちろん、ケースによって必要な行動も違ってくるかもしれませんが、何より、「それぞれに必要としておられるサポートが違うこと」を知っておいていただき、まずは、その方本人にどのようにしたら伝えられるかを考えていただくことから、スタートです。

 『相手の立場に立って考える』その想像力が、人の命を救う場所でも必要になってくることがあります。そして、社会を構成する我々全員が、その心構えをしておくことが、何より大切なのではないでしょうか? それは、障害のある方だけではなく、ご年配の方、子ども連れの方、怪我をされている方、外国人・・・全ての方に対して言えることでもあります。

 その、想像力を大いに育ててくれるのが、われらが『補助犬』たちなんです! 補助犬それぞれの仕事内容を正しく知ることで、各障害がある方々が、どういう場面で困って、どういうサポートが必要か? を教えてくれるのが、補助犬たちなんです♪ そういう意味でも、補助犬たちのことを、もっともっと正しく知ってもらえるように頑張りたいと思っております!

 とはいえ、なかなか咄嗟の時に、自分が正しい行動に即座に出られるか? とても難しいことです。そのためにも、日頃から、サポートを必要とされる方々とのコミュニケーションを取る様に心がけてください。ほんの些細なことからでOKです。
 まずは、近所にお住まいのご年配の方やサポートが必要な方々に、挨拶するところからはじめてみてはいかがでしょうか? そして、視覚障害者の方に信号で一緒になったら「青になりましたよ。」と一声かけるとか、車椅子の方とエレベーターで一緒になったら、エレベーターのボタンを押したり、ドアを押さえるお手伝いをするとか、聴覚障害者の方に必要なアナウンスの内容を伝える等・・・いろいろとやっていくうちに、自然な行動として自然に身体と口が動き出しますよ♪

 ぜひ、皆さんの周りのコミュニティ作りから、はじめてみてください♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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