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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。『福祉現場のための感染症対策入門』(中央法規出版)も執筆。

第33回 コミュニケーション技術(1)~利用者、家族とのコミュニケーション~

 こんにちは。11月に入り、試験本番まで3か月を切りましたね。  今回から、介護領域の「コミュニケーション技術」を学習しましょう。この科目は、人間と社会領域の「人間関係とコミュニケーション」(本講座第6回参照)の内容と、一体的にとらえるとよいでしょう。


利用者、家族とのコミュニケーション

 介護サービスの提供に際して求められる、コミュニケーション技術と位置づけることができるものとして、以下のバイステックの7原則があります(第27回、30回に出題。第30回では「人間関係とコミュニケーション」で事例問題としても出題)。

  • 個別化の原則:利用者一人ひとりに合ったコミュニケーションをとる。
  • 意図的な感情表出の原則:利用者が「そうしたい」という感情を表現できるように、安心できる、リラックスした雰囲気をつくる。
  • 統制された情緒的関与の原則:サービスを提供する者は、まず、自分の感情を自覚し(自己覚知)、冷静になり、その上で、利用者の感情に寄り添い、共感し、理解していく。
  • 受容の原則:利用者の言動を、開口一番否定せず、注意せず、ありのままを受け止める。また、価値観を尊重する。
  • 非審判的態度の原則:サービスを提供する者の価値観や社会通念などで、利用者を批判、評価しない、裁かないようにする。
  • 自己決定の原則:サービスを提供する者は、利用者自身で決めてもらえるように、わかりやすい説明や情報提供に努め、うかがうような口調をベースに会話をしていく。
  • 秘密保持の原則:利用者に関する情報を、他人に口外しないように気をつける。

 秘密保持の原則については、第31回の「介護の基本」で、介護福祉職の職務上の倫理として出題されました。
 また、本講座第6回で触れた、傾聴(傾聴的態度)とは、経験、ものの見方、行動、感情の4つを総合的に聴くこととされます。それにあたって、上半身を少し利用者のほうへ傾け、適切に視線を合わせるなど、関心をもっている姿勢をとり、利用者が抱いている感情を推察しながら、利用者が伝えたい内容や思いを、確かに受け止めたと利用者がわかるように、うなずき、相手の言葉を妨げないで、じっくりゆっくりと話を聴き、利用者の言った言葉を繰り返したりするなど、応答し、共感する(利用者の立場に立って、利用者が置かれている状況や、利用者の言動を理解しようとする)ことが肝要です(第28回、29回、31回、34回に出題。第31回では事例問題としても出題。また、第24回、26回では構音障害にかかる事例問題として出題)。第27回では、利用者の主観的な訴えに耳を傾けることも適切、と出題されました。
 傾聴により信頼関係を深めることで、効果的に質問をすることができます。開かれた質問は、「どのようなことですか?」など、利用者に自由に発言してもらい、利用者自身の選択や決定により、答えを見つけてもらうものです。漠然としていて伝わらない利用者の考えを明確にする目的もあります(第30回に出題)。閉じられた質問は、「はい」や「いいえ」で答えられるように、一つの事柄について簡潔に質問することで、利用者も短く端的に答えることができ、会話の焦点を絞っていく際にも有効です。
 なお、利用者の家族との関係づくりや、家族に対して介護方法の指導、助言を行う場合なども、前述の技術を活用しながら、家族のやり方をすぐに否定したり、訂正したりするのではなく、まずは労をねぎらい、家族の思いを受容、共感し、家族の考えや方法を尊重し、よりよい方法を見出していくことが大切です(第25回、26回、31回、33回、34回に出題。事例問題としても出題。第34回でも「人間関係とコミュニケーション」で事例問題として出題)。第27回、33回では、利用者と家族が対立しているとき、介護福祉職の対応として、利用者と家族のそれぞれの意見を聞くことや、それぞれの思いを語り合える場をつくることが適切、と出題されました。


病気・障害別のコミュニケーション

 コミュニケーション技術には、身体の介護技術と同様、利用者の病気・障害にあわせた方法も伴います。次のような事項を、テキストや過去問解説集でも読み取り、現場での経験と結びつけながら理解していきましょう。

  • 聴覚障害がある利用者に対しては、筆談、手話、読話、空書など、利用者が理解できる手段を把握し、活用する。中途失聴者とのコミュニケーションには、筆談が有効である。筆談では、キーワードを活用して内容を伝達することも、適切である。また、難聴者に対しては、話しかける前に正面に回って肩をたたくなどの合図や、向き合って表情や口元が見えるように話す、話し手の口元に注目するように促すことなども、大切である。箱型補聴器を使用する利用者は、比較的聞こえる側の耳にイヤホンを装着する。視覚障害を重複している場合には、触手話という手段がある(第24回、28回、29回に出題。第29回、31回では「人間関係とコミュニケーション」で出題)。
  • ○脳血管障害などによる言語障害(失語症)(本講座第19回参照)には、話し言葉の表出の障害が強い運動性(ブローカ)失語や、話し言葉の理解が障害されている感覚性(ウェルニッケ)失語などがある。運動性失語のある利用者には、閉じられた質問を心がけたり、絵や写真など視覚化された情報を用いて反応を引き出すなど、それぞれの状態に応じたコミュニケーションを工夫する必要がある。言葉の表出を促すために、急がせずにゆっくりと待つ姿勢でかかわり、間違いを指摘せず、伝わることとその楽しさを体験できるように支援する。また、言葉の理解を促すためには、短い文でゆっくりと、利用者の使い慣れた言葉を用い、理解されにくいときは、身ぶり・手ぶりや絵など非言語的な手段も活用する。いくつかの絵の中から選んで、指でさしてもらうことも、適切である(第24回、26回、28回、29回、30回、33回に出題)。

 第25回や27回、28回、29回、30回、31回、32回、34回では、認知症や統合失調症、抑うつ状態、躁状態、糖尿病性網膜症(視覚障害)、構音障害、視覚障害、知的障害を伴う自閉症、高次脳機能障害のある人との、コミュニケーションのあり方について、第26回、27回、28回では「人間関係とコミュニケーション」にて、認知症や重度の加齢性難聴、パーキンソン病の利用者に対するコミュニケーションのとり方について、出題されました。また、第32回では、意欲が低下した人とのコミュニケーションの基本として、最も優先すべきものは、意欲低下の背景を考えること、と出題されました。


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