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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

親は親として。子は子として

 93歳の女性入居者Мさん。Мさんは、とても穏やかで優しい方です。
 「Мさん、怒ったことあるの?」と聞くと、「あるよー!コラーッ!って」なんて言って笑ってくれる優しい方。私はそんなМさんが大好きです。

 そのМさんには、最愛の娘さんがいらっしゃいます。
 娘さんは忙しい仕事の合間を縫って、お母さんのところによく面会に来てくれます。
 娘さんは本当にお母さん想いの方です。

 あるとき、娘さんがお母さんへの想いを聴かせてくれました。
 「母は戦時中、満州の野戦病院で怪我をした人を手当てしていました。-40度の極寒の世界。そんな中、日本に帰る船が出ることになりました。限られた人数しか乗れない船に、母は最後に乗ることができました。そこから大荒れの玄界灘を渡って、命からがら日本にたどり着きました。それからも母はたくさん苦労して私を育ててくれました。でも、愚痴や弱音を言ったことはありません。強い母、優しい母なのです。そんな母に、最期まで幸せに生きてほしい。楽しく生きてほしいと願っています」

 母であるМさんも、娘さんへの想いを聴かせてくれました。
「娘には随分苦労かけたな……。私がずっと働いていたから、あまり一緒にいてやれなかったし、小さい時から食事の用意なんてさせてたし。だから、なるべく今は迷惑かけたくないと思ってるの」

 こんな風にお互いを想い合うМさんと娘さんに、私たちが何かしてあげられることはないかと思っていました。
 ある日、職員がたまたま娘さまのお誕生日が近いことを知りました。そこで職員は、「Мさん、娘さんにさぁ……」

 数日後、娘さんに「ご相談したいことがあります」と言って施設に来ていただきました。
 お昼に会議室に来ていただくと、そこに待っていたのはМさんと職員達。
 実は、娘さまへお誕生日サプライズとして、「お料理をつくって久しぶりにおふくろの味を食べていただきましょう!」とМさんに提案したのです。Мさんが娘さまに食べさせたかったのは水餃子。職員と一緒に朝から買い物に行って、一緒につくって、娘さんを驚かせようと到着を待っていました。
 娘さんは驚いていました。久しぶりのお母さんの手料理。娘さんはどんな気持ちで召し上がったのでしょうか。

 介護が必要になったり施設に入居したりすると、子の世話になることが多く、「息子、娘に負担をかけて……」などとおっしゃる高齢の方は多いです。だけど、きっと心の中では「もう親として子供たちにしてあげられることはないのか……」そんな風に思っているのではないかと思うのです。
 それをもし、介護職の私たちがお手伝いできるなら、専門職の私たちだからできるのなら、こんなに嬉しいことはありません。
 Мさんと娘さん……。この日がお二人の思い出の1ページに加えてもらえたら嬉しいです。


【お知らせ】
2018年2月28日(水)横浜でセミナーを開催します。
『介護人材の確保・育成・定着のためのリーダーシップ』
【開催日】2018年2月28日(水)
【時間】10:00~16:00
【会場】振興会セミナールーム
【受講料】一般10,000円 会員8,000円
【主催】公益社団法人 かながわ福祉サービス振興会
※申し込み・お問い合わせは下記サイトをご参照ください。
 https://www.kanafuku.jp/plaza/seminar/detail.php?smn_id=1723