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ケアプランに活かす! 病気と薬の知識

【ケアプラン文例】狭心症・心筋梗塞の利用者のケアプランの書き方&文例【ケアプラン点検者監修】

【監修】

阿部充宏

合同会社介護の未来代表

 高齢者に多い狭心症や心筋梗塞のある人のケアプランの書き方・文例を解説します!

目次

1 狭心症・心筋梗塞(心疾患)ってどんな病気?

狭心症とは?

  • ・冠動脈の一部が狭くなって、血流が少なくなり、栄養が十分に行きわたらなくなった状態
  • 胸の中央部が締めつけられるような痛みや圧迫感があります。
  • ・階段を上ったり、急ぎ足で歩いたりしたときに現れます。

心筋梗塞とは?

  • ・冠動脈が詰まり、血流が止まって心筋の一部が壊死した状態
  • 激しい胸痛(高齢者では胸痛を伴わないことが多いです)があります。
  • ・吐き気、呼吸困難、動悸、失神なども現れます。

狭心症・心筋梗塞は、心不全を引き起こす大きな原因の1つです。

2 狭心症・心筋梗塞でよく使われる薬

主な商品名 特徴
硝酸薬 ニトログリセリン、ニトロペン、ニトロール 冠血管を直接拡げます
カルシウム(Ca)拮抗薬 ノルバスク、アムロジン、バイミカード、アダラート
  • 血管を拡張させることで、発作を予防します。
  • ・飲み合わせで、グレープフルーツやその加工品(ジュースなど)と同時に摂取すると、頭痛、めまい、ほてりなどの症状が出ることがあり、注意が必要です!
抗血小板薬 プラビックス、パナルジン、プレタール、バファリン
  • 血液をサラサラにして、動脈の血栓を予防します。
β遮断薬 セロケン、テノーミン、メインテート、インデラル
  • 血圧や心拍数を抑えることで、発作を予防します。

3 狭心症・心筋梗塞の利用者のケアプランの書き方のポイント

ポイント再発防止できるよう、利用者のモチベーションを引き出す内容とする

 狭心症・心筋梗塞は、繰り返し発症しやすいという特徴があり、再発を防ぐためには、利用者自身が服薬、食事、運動等を意識して日常生活を送る必要があります。そのためには「今までどおり自宅で暮らしたい」「健康になりたい」といった漠然とした意向でなく、「孫に会いに年に1回は大阪に行きたい」「娘の好きな唐揚げをつくれるようになりたい」といった利用者のモチベーションとなる真の意向を引き出し、ケアプランに落とし込むことが必要です。

ポイント多職種にも伝わる具体的な記載にする

 狭心症・心筋梗塞は、薬による治療だけでなく、カテーテルや手術による治療を行うことも多く、退院後も医療職とのかかわりが多い疾患です。医師や看護師がケアプランを見たときに、利用者の状態やサービス内容が伝わるよう「服薬介助→服薬カレンダーから一緒に薬を取り出し、服薬を見守ります」や「血圧管理→血圧を毎朝測定し、135/90mmHg以上のときは医師に連絡します」など具体的に記載することが大切です。

4 狭心症・心筋梗塞の利用者のケアプランの文例

4-1利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

  • ・(本人)心臓に負担がかかるのが不安ですが、週に3回は湯船に浸かりたいです。
  • ・(長男)再び入院することがないよう、薬を飲んでコントロールしてほしいです。母は綺麗好きなので、自宅でゆっくりお風呂に浸かってもらいたいです。
  • ・(今後の方向性)再び狭心症にならないよう確実に服薬できるようにしましょう。また、自宅で入浴できるよう入浴前の水分補給、脱衣所の温度設定等心臓に負荷がかからない方法を考えていきましょう。

4-2 総合的な援助の方針

  • ・令和〇年〇月に心筋梗塞となり、2週間入院しました(令和〇年〇月〇日退院)。支援チームは、睡眠状況やストレス・不安の感じ方を確認し、睡眠・休養をしっかりとりながら生活できるよう声かけをします。
  • ・血圧を140/80mmHg未満を維持できるよう塩分量を抑えた食事・おやつの提供をします。
  • ・支援チームとして、胸の痛みや吐き気、呼吸のしづらさなど異変にいち早く気づけるよう見守ります。また、異変がみられた場合には、主治医に連絡します。
  •  (緊急連絡先:〇〇クリニック〇〇医師 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)

4-3 生活全般の解決すべき課題

  • ・薬を飲み忘れることがありますが、確実に服薬できるようにしたい。
  • ・疲れやすいのですが、1日30分程度は外出できるようになりたい。
  • ・血圧が140/90mmHgを超えることがあります。
  • ・塩辛い食べ物が好きですが、心臓に負担をかけないよう栄養管理した食事を摂れるようになりたい。

4-4 長期目標・短期目標

  • ・(長期目標)ベッド以外の場所で1日2時間は過ごせるようになること。
    (短期目標)昼食時・夕食時は、ダイニングのテーブルに座って過ごすことができること。
  • ・(長期目標)食後、確実に服薬できること。
    (短期目標)服薬カレンダーを使い、声かけを受けて服薬できること。
  • ・(長期目標)毎日7時間以上の睡眠をとり、1日の疲れをとることができること。
    (短期目標)毎日6時間以上の睡眠をとることができること。
  • ・(長期目標)塩分摂取量に配慮した食事をつくって食べることができること。
    (短期目標)塩分摂取量に配慮した食事をヘルパーと一緒につくることができること。

5 ケアプラン作成におすすめの書籍

 もっとケアプランの書き方・文例を知りたい人は以下の書籍を参考にするのもおすすめです。文例・事例が豊富に掲載してあり、ケアプラン作成に悩んだときにヒントとなる情報が満載です。

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この記事を監修した人

阿部充宏氏(合同会社介護の未来代表)

社会福祉法人に25年勤務し法人事業部長や特別養護老人ホームの施設長を経て、2015年に合同会社介護の未来を興し、以降現職。2016年よりケアプラン点検事業を受託し、2022年度は11保険者(神奈川県・岩手県・福島県・山形県)で、年間約500人のケアプラン点検を実施。また、指定市町村受託事務法人として、5保険者から委託され、年間100事業所の運営指導を行っている。

介護の未来ホームページ:https://kaigonomirai.net/
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