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認知症でも安心して過ごせる街にするために、 私たちができること


 地域包括ケアが推進されつつある今日、専門職による連携は目に見える形になってきましたが、果たして地域で暮らす人たちの意識はどうなのでしょうか。いまだに「高齢者施設ができると地価が下がる」と反対運動が起こるなど、認知症の人を支える意識が浸透しているとはいえない状況です。

 本書はそうした現状に対して、地域で支える具体的な提案をしています。

 編著者の認知症フレンドシップクラブは、北海道を拠点として、認知症の人の「やりたいこと」を支援する友人ボランティア「フレンドシップサポーター」、安心して利用できるお店や場所「フレンドシップスポット」などを展開しているNPO法人です。認知症の人とともに走る「RUN伴」は、例年参加者が増え続け、現在では北海道から近畿まで横断するほどの広がりをみせています。

 私がクラブの活動を知ったのは、ある学会での発表でした。高齢者介護に関する書籍を多く手がけていたものの、何となく閉塞感を感じていたときでした。クラブの活動は新鮮で、井出代表ら中心メンバーの志は、非常に純粋に思えたのです。

 クラブ主宰のサポーター養成研修に参加するなど、いろいろと意見交換を交わしながら作り上げた本書。発行から3年ほど経過しましたが、未だに認知症の人への理解は進んでいるとはいえません。地域で支えていかなければいけない今だからこそ、本書でその原点に戻ってほしいと思います。

(中央法規出版 第1編集部 平林敦史)

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