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和田行男の「婆さんとともに」

自問自答

 このあいだ、NHKの「プロフェッショナル」という番組の撮影の中で「和田さんにとってプロフェッショナルとは」と聞かれて答えられず、もじもじした話を書いたが、その後、今の僕の結論が出た。

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 僕が語れるプロフェッショナルとは「自問自答」だということにいきついた。答えられなかった日からの出来事の中でいきつけた。
 いつも自分の中で自分の言動を、「これでいいんやろか」「他に方法はないのか」とぶち壊す作業を繰り返してきたし、今も繰り返している。
 例えば「施錠」
 施設を施錠して昼夜くまなく閉じ込めてしまうことについて問題を投げかけているが、それだって常に「和田、命を守ることが第一やろ」とか「安全第一なんだから閉じ込めるのも行動制限をするのも当たり前じゃないか」とやりとりしている。
 また脳も身体も使うことが大事だと考えて取り組んでいるが、「動きたくない人にとって動かなくてもいいと考えることが利用者本意じゃないか」と自問自答しているのだ。
 そうやって自分の中でやりとりしていることについて同様のことを他人からとやかく言われると「そんなことは言われなくても考えてまっせ」と反論したくなる自分もいるが、それは、とりもなおさず他人から言われること以上に考えて、自分自身の中で何人もの自分がミーティングしディベートしているからだ。
 これからもずっと自問自答しながら歩んでいくことだろうが、自問自答することがなくなったと自覚した時には、婆さんに申し訳がたたないので現役を退く。
 つまり、「施錠して閉じ込める」「みんな同じものしか食べさせない」「決まった曜日にしか風呂に入れない」「外に出ることが日常生活にない」「できることもさせない」「作業をさせる」「本人の言うがままの状態で放置する」など自問自答することもなく漠然と「作業化」してしまう介護職にとどまってしまっては、公金をいただいて仕事をしている者として申し訳なく、そこにさえ自問自答をしない自分のことを専門職だなんておこがましくて言えないということだ。
 ただいつも書いているが、こいつがなかなかやっかいで「問うてくる自分」とつき合うのは「問われる自分」にとっては、何もないよりは面倒で苦しい。
 この面倒や苦しいとつき合おうとするかどうかもプロフェッショナルの要件かもしれないが、プロフェッショナルはそれを面倒だとか苦しいだなんて思わないんだろうね。
 僕は「まだまだプロフェッショナル修行の身」である。

お知らせ
6月25日(月)22時~NHK総合テレビ「プロフェッショナル」に和田行男が登場します。よかったら見てください。
 そろそろ番組のホームページで放送予定として紹介されるそうです。ただし「和田行男が事件を起こさなければ放送」ですがね。ハハハ

御礼
『大逆転の痴呆ケア』が増刷(13刷)されることになりました。
初版が2003年ですからすでに9年を経過してなお読んでくださる方が多いことに感謝するのみです。ありがとうございます。
 痴呆症から認知症に呼称変更されて6年になりますので、違和感をもっている方もいるようですが、どうしても「大逆転の認知症ケア」に変更する気にはなれません。出版社からもそのような依頼はないですし、歴史の通過点ですからね。「大逆転の痴呆ケア」を大事にしたいと考えています。


コメント


和田さんの言うように仕事って本当に面倒だと思います。僕は今ケアマネとして担当している利用者の内、15人が一人暮らしで皆、年とともに病気が増え、物忘れも激しくなっています。どのように自宅での生活を支えていくかという難問が、毎日のように突き刺さってきます。毎朝事務所に出ることが怖くなる時もあります。「ケアマネ力があれば何のこれしき」などと考えている時期もありましたが、そのケアマネ力ってなんだろうと自問自答し始めてからときどき頭の中がくらくらしてだるーくなります。明るい気持ちで僕の困ったオジチャンたちとまだまだお付き合いしようと考え始めることができた時、又元気が少しよみがえるような気がします。NHKとても楽しみにしています。


投稿者: ユタ藤本 | 2012年06月12日 08:55

自問自答。難しいですね。
「利用者様の行動を制止しない」に向けて職員達は本当によく頑張ってくれています。
ですが、夜間帯一人の勤務の際に一斉に皆様ご自由に動かれると…(*_*)
 ご自身が脚力低下されている事はすっかり忘れて車イスののブレーキもかけずに立ち上がって下さるもんですから・・・スッテンコロリン!!
軽傷のうちは良いのですが・・・・
一昨晩もドッスン!!と…(泣)
顔面半分が腫れ上がり、広範囲にわたる内出血でなんと痛々しい…。
オデコも胸も腕も両手も…
アザだらけや裂傷が(T_T)
そんな痛々しい姿になっておられる翌晩も頑張って立ち上がっておられました。
昨晩の夜勤者も一生懸命にその行動の理由(尿意・帰る以外で)を探ろうとしていますが…
失語もあられる為になかなか…m(__)m
こんな痛々しい(痛い思い)姿にさせてしまってまで…?
どこまで本人の意思を?
 この方は、他の施設や病院で杖を振り回し、世間で言われる「暴言・暴力」で退所・退院させられた後に行先が無くなり一か月前に当事業所(泊まり付き小規模デイ)利用となられたのですが「制止しない」「付き添う」支援で杖を振り回される事は無くなり笑顔も増えられてきています。
でも転倒も増えています(>_<)
これでいいのか?
他の方法は?
まさに自問自答中です。
 追伸
「大逆転の痴呆ケア」増刷おめでとうございます!(^^)!
私も大ファンなので、新人職員が入職する度に必ず一番に読んで貰っています♪
(回し読みなので売り上げに協力してないですね(◎o◎)!すみませんm(__)m)
25日の放送も楽しみにしています(^_-)-☆


投稿者: moto | 2012年06月12日 11:36

やっと見つかりました。

和田さんからのプロフェッショナルはとの問いに、この1週間考えていました。

この仕事は、やはり利用者が主体で、いつも自分はどうしたらいいかを考えて毎日やっています。
どんなプロでも理解できないことを常に感じていました。自問自答はベストです。

私なんかは若いからいつも「あなたも私の年になったらわかるわよ」と言われ「○○さんの年になった時に初めて○○さんの言っている意味がわかると思います」と答えています。

必ずテレビ見ますね。


投稿者: マツノツマ | 2012年06月12日 20:27

和田さん、こんにちは。プロフェッショナルとても楽しみにしていました。いよいよ、ワクワクです。ずーっと前に京都の宇治で和田さんの研修を受け、又、その後外で仲間とタバコを吸っていたら「一本ちょうだい」って気さくに声をかけていただき、ついでにピック病と診断されている利用者さんのことで相談にまでのって頂いて…以来、勝手に頼りにさせてもらっています。
実はもう一人頼りにしていた仲間がいたのですが、去年逝ってしまいました。そいつはいつも私の考えに異論を唱えるヤツでした。初めは「なんやねん!」っていらいらしたりもするんですが彼の言ってることが結構引っかかり、そのうちに「ふむふむ、それもありやな」なあんて具合になるのです。彼がいなくなり「それってどうなんやろ?」って言ってくれる人はもういません。
悲しくて淋しくてまだ立ち直れていない自分ですが、彼が残してくれた大切な財産を受け継ぎ、自問自答し続けたいと思います。


投稿者: もりもとちずこ | 2012年06月13日 13:08

新設の老健に向けて日々、職員面接に追われています。採用基準の一つに認知症と言える事を挙げています。認知や痴呆との発言があれば、減点しています。しかし、本当にそれで良いのか?ダイヤの原石を磨く努力もせずに、介護職を見限っているのでは?はたまた、本物に仕上げていくのも仕事ではないのか?でなければ、世の中の介護職からプロフェッショナルなんて出てこない。次の和田さんを待ち続けているだけなら、他力本願であり、自分は唯の傍観者じゃないの?自問自答・・・
頭が迷宮いりして最後は、答を出す事を諦めてしまいます。そして、翌日、元気を出してまたまた、チャレンジしますが・・・。
最近、痴呆と呼ばれていた時代、介護保険がない時代から共に歩んできた介護職の戦友が、癌で死去しました。辛いです。しかし、その死から今、多くのものを教えて頂いています。和田さんに出会い、多くの勇気をもらい、その人からはたくさんの愛情を頂き、そして今まで出会ってきた婆婆様からはあふれんばかりの、指導を頂きました。で一個だけ気づきました。私のすべての原動力は、和田さんからこれから出会う高齢者のみなさんです。


投稿者: 博一 | 2012年06月14日 08:21

 博一さん。

 確かに「痴呆、認知、徘徊、帰宅願望・・・」と、ひと昔前の言葉を何の疑問も持たずに使っている介護職も多いですね。

 でもそれをすぐ減点対称にしてしまうのは勿体無い気もします。

 要はその人の人間性や真剣さでしょうから。

 「貴方が今使っている○○と言う言葉だけど、・・・だから○○はおかしいよね?」と説明してちゃんと気付ける人材ならば、その後の教育体制次第で「良き支援者」になって行ってくれると思いますよ♪


投稿者: toto | 2012年06月15日 20:28

職場に あなたこそが 私自身 焼きもちやきくなるくらいのかかわりをもって働いておられる すごいよという方がたった二年はたらいいるかたいます。仕事に慣れてくると満身がおきます。私はリタイアして全くの新しい仕事場て凹みまくりでしたが 彼女のおげで助かってます。


投稿者: マメ | 2012年06月15日 21:40

介護 初経験のかたでもキラリと光るものを持っていらっしゃる方々沢山います。怖いのは仕事に慣れてしまった方 幹部になった方々 不器用で一からやり直してますが 若さゆえ 利用者さんの評価も甘いかもしれませんが 輝くものを 経験が浅くとも 持っている職員さんいます。介護は いつも変化しています。


投稿者: マメ | 2012年06月16日 20:51

他人の人生を支えるためにあれやこれや考える仕事が介護。歳をとろうが病気をもとうが子供だろうが喜怒哀楽の感情がある限り人はみな平等。魅力たっぷりの和田さん、83歳になってもかっこいい人、間違いなし。


投稿者: あした | 2012年06月19日 23:36

はじめまして。

「プロフェッショナル」を見て私も介護の仕事に挑戦しようと思いました。

これからも頑張ってください。


投稿者: ちさと | 2012年06月25日 22:57

プロフェッショナル見ました!!
和田さんがいれば、ボケても怖くないなと思いました
こんなに深く人の心に寄り添ってくれる人がいたら、抱きしめてほしい~
ボケても普通に受け止めてくれる人がいて、普通に生きられるのは幸せです❤


投稿者: おけいちゃん | 2012年06月25日 23:58

初めてコメント書きました。
ヘルパーとして働きながら、介護福祉士を目指してます。介護福祉士になると正社員になれる…ずっとここで働ける気持ちがありました。
介護福祉士を持った同僚や看護師に、ヘルパーは助手だ…雑用係だ…利用者さんと無駄話してないで仕事してっと言われてます。
介護福祉士って何だろう?ヘルパーって何だろう?私は自問自答してます。
NHKで和田さんの特集を拝見して、対職員でなく、利用者さんと向かい合う事を思い出しました。
私は国家資格で正社員の介護福祉士や看護師が羨ましく、言い返せず悔しかっただけかも。
自分の了見の狭さをまじまじと見せつけられた和田さんのテレビとの出会いでした。


投稿者: わたる | 2012年07月18日 18:52

「施錠して閉じ込める」を漫然と作業化している人は美佐島駅に関する動画を見てどう思うのだろうか。外観は民家風、しかし中身は寒々としたコンクリート。外から普通列車の運転士しか開けられない。


投稿者: ひろゆき | 2014年02月08日 19:29

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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