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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

卒業(part1)

 今日は、ふーさんの熱帯魚店である「マットグロッソ」に来ている。ブラジルのアマゾン川上流の熱帯魚の宝庫である地名からとったそうだ。よくもあのふーさんがこんなシャレた店名をつけたものだと思う。ふーさんは留守で、最近入った店員のクリステルちゃんが留守番をしていた。かわいい顔をしていて、年齢不詳だ。黄色いエプロンをして、水槽の水換えをしている。ぼくはホースを水槽に突っ込んで背伸びしている足下の赤いミュールから浮いたりくっついたりしている彼女の丸く小さいかかとを見ていた。何でも、ふーさんによると、彼女はひきこもりの自助グループに入っていて、元不登校だったようだ。彼女は水槽の隅を、力を入れて何度も何度もこすっていた。



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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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