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和田行男の「婆さんとともに」

捜索ネットワークは何のため・誰のため

 全国各地でネットワークや地域包括ケアが語られ、認知症になるなど自力では生きていけなくなっても地域社会の中で生き続けていけられるようにする取り組みが展開されてきている。
 とてもステキなことだが、今いちど、その意味を考えてみたい。

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 デイサービス利用者の行方がわからなくなった。
 職員が目を離した瞬間に見失ってしまったのだが、この方の場合は、自分の意思で職員の目をかいくぐって管理下から自分を解き放とうとしたのではなく、まさに職員の手落ちで見失ったのだから、僕らが利用者に多大な不安を与えてしまった恥ずべきことである。
 当然のようにボスを含め、会議で集まっていた職員たちも総動員しての捜索を行った。もちろん警察にも連絡をして。
 結論を言うと、JRの駅で「保護」され無事ことなきを得たが、その過程に大きな課題が潜んでいた。
 その課題とは、職員たちは当然のように行方がわからなくなった地域の警察に届ける。職員たちは当然のように警察署間で情報が共有されて動いていると思う。ところが、保護された駅の所轄は別の行政区で、行政区をまたぐ警察官の連携がなく、保護されていたにもかかわらず、見つかるまでかなりの時間がかかったということだ。
 いくら日本が島国とはいえ、行政の単位は陸続きがほとんどである。道があれば、行政区とは無縁に国民は歩けるし、歩く。その結果、行方がわからなくなったのがA行政区だとしても、見つかったのがB行政区なんていうのは当たり前のように起こる話。なのに、行政機関間の連携がなくこのようなことが起こったということだ。
 この話はずいぶん前の話で、その課題をあちこちで発信し、それが今は生かされていると思いきや、そうでもないことが起こったのだ。
 今あちこちで捜索のためのネットワークが組織化されている。うちの婆さんたちもお世話になることがある。
 先日、ある地域のネットワークを構築した関係者から聞いた話なのだが、その地域で行方がわからなくなった源蔵さん(仮名)のことだ。
 源蔵さんはとても健脚の人で、どれだけ歩けるかわからないほど歩くことが予測できたため、ネットワーク関係者は隣の隣の町までも歩くかもしれないこと考え、隣の行政機関でもネットワークを興しているのでそちらに協力依頼をした。
 ところが、隣町のネットワークを興している行政関係者から、自分の行政地域の住民のためのネットワークだから、よその行方不明者のためには利用できないと言われたそうだ。
その話を聞いたとき、「俺も歳かな」と自分の耳を疑った。でも、それが話のとおりだとわかって怒りが湧いてきた。
 今盛んに叫ばれている「地域包括ケア」だとか「住みやすい町」だとか「安心して住み続けるために」といった文言は、「A市の住民のためにはA市が」という行政の線引きごとの話で「日本人が日本国で」ではないということか。
 今日は「介護の日」と国が定めた。
 きっとこれを定めた人は、そんな話でこれを定めたのではなく、日本中で取り組む「暮らしやすい町」がつながっていけば日本中が暮らしやすくなる。そう考えたから全国展開できるように国が介護の日を定めたのではないか。それがコンプライアンスではないか。
 しかももっと言えば、介護を要する人たちが暮らしやすい町は誰にとっても暮らしやすい町になると考えてのことで、「誰も」とは行政単位の住民のことではないはず。
 もうひとつ先を言えば、認知症になって外出した時に、目的地に着けなくなり、自宅に戻れなくなり「行方不明」になってしまうことに対して捜索をするネットワークをつくるってことではなく、目的を達成できるように応援する人たちを町中に充満させて、認知症になっても外出できる町づくりのためにネットワークを築くことが基本のはずである。
 「どうぞ我が町に来てください。どなたでも安心して町をブラつけますよ。そのかわりやかましいくらい声をかけられるかもしれませんがね」
という町づくりじゃなく
 「どうぞ我が町に来ないでください。住民票のある人でしかブラつけない町づくりをしているもんで。来ても面倒みませんから」
 にしていいのかね。
 骨身を惜しんで取り組んでおられる方々に敬意を表しつつ、行政関係者の方々、ネットワークをこれから築こうとしている方々、既にネットワークに取り組んでいる方々に御一考をお願いしたいもんである。

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秋も終わりやね。
すぐクリスマス・大晦日紅白歌合戦・正月・初詣・おせちと時は流れていくね。死も刻々と…しっかり今を生きねば…です。


コメント


まじめに聞きます。
これ実話ですか?
保険者の責任区域が変わると命も保障されないんですか?
かなり驚いています。


投稿者: つがね | 2013年11月13日 12:26

実話です。


投稿者: わだゆきお | 2013年11月15日 18:32

お久しぶりです。

事情があり、しばらく孤軍奮闘していました。

でも、和田さんの言葉が読みたくなり・・
今・・読み返していたところです。

介護の仕事を・・辞めようかと何度も思いましたが
やはり、認知症の方との関わりが大好きで・・
やめられそうにありません・・。

今、就活をしています。

今日の面接をしたグループホームに「大逆転の痴呆ケア」ありました。大切に読まれていました。

私にとって昨年も今年も難儀な年ですが、意味のない事は起こらないと信じています。

日本中が、世界が・・いろんな意味で手をつなげるようになったらいいですね・・、それには、まずはお隣りさんと手をつなげるような関係を築きたいです。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2013年11月15日 22:54

つがねさんへ

まじめに答えさせていただきます。そうなんです。ぼくもビックリ。何をかいわんやね。


投稿者: わだゆきお | 2013年11月16日 11:30

わだゆきおさま

ありえない、非常識な判断が公然と行われる行政システムに悪寒を感じますし、「あなたの両親が行方不明なったら、あなたのお子さんが行方不明になったら?どう判断するつもですか?」と聞いてみたいですね。私は政治運動家ではありませんが、議会制民主主義の社会で合法的に解決させるために、議会で取り上げるべきだと思います。こんなあたりまえのことが、わからない役人がいる市役所が公僕だなんて。怒りの次の感情を抱えました。

つがね


投稿者: つがね | 2013年11月21日 12:02

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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