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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

スワンベーカリー北浦和店(1)

 お店のシンボルカラーはブルーです。白鳥が羽を休める静かな湖面を想い起こさせるようなブルーの彩りと焼き立てパンの芳香を街角に添えて佇むスワンベーカリー北浦和店。JR京浜東北線の北浦和駅から東へ徒歩4分(浦高通り沿い)のところにあります。

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スワンベーカリー北浦和店

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 スワンベーカリーは、「みにくいアヒルの子だと思っていたら、実は白鳥(=スワン)だった」というデンマークのアンデルセン童話からヒントを得て命名されたお店です。故・小倉昌男氏(「クロネコヤマトの宅急便」の生みの親で元ヤマト福祉財団理事長)がこれまでの「福祉的就労」のあり方に疑問を抱き、障害のある人の自立できる賃金と「共に働き、生きる」ことを目指して起こした社会企業です。
(スワンベーカリーと小倉氏のアイデアについては、すでにさまざまな形で紹介されていますから、次のものをご参照下さい。
・小倉昌男著『福祉を変える経営』、日経BP社 
・牧野節子著『はばたけスワンベーカリー』、汐文社
・スワンベーカリーのホームページ https://www.swanbakery.jp/

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従業員のTさん(左)と飯塚さん(右)―Tさんは仕事上がりでホッコリとした表情をされていました

 このスワンベーカリーを2006年11月、北浦和駅東口に開いたのは飯塚哲朗さんです。元埼玉県障害者福祉課長でありながら定年までの4年を残して早期退職し、障害のある人が働くことのできるパン屋さんづくりを目指されました。
 まず、この辺りの事情を率直にうかがってみました。
宗澤「早期退職してまで、どうしてスワンベーカリーをはじめられたのですか? す
でにマスコミやいろんな方から耳にたこができるくらい質問されたでしょうが…」
飯塚「県職員の時代は3年ほどで人事異動し、職場を変わっていきました。福祉事務所で生活保護のワーカーをしていたかと思えば、今度は高齢者の担当になったり。それで一体自分は住民に何をなし得てきたのだろうかと疑問を抱いていた時に、あの“彩福祉グループ事件”の舞台となった課にたまたま配属されていて巻き込まれたのです。東京地検にも呼ばれました」(飯塚さんの上司であるC課長の刑事責任はすでに確定していますが、飯塚さんは、この事件に何ら責任ありません。くれぐれも念のために申し添えます)
  「自分の身内にも障害のある子が二人いて、その人たちのことを思うと自分は何をしてきたのだろうかと思い悩みました。それなら、本当に障害のある人とともに汗をかけるパン屋をしたいと思ったのです」
宗澤「それでも公務員の定年を待たずに、商業ベースの経営が求められるスワンベーカリーに転じるのは、リスクをお感じになられませんでしたか?」
飯塚「県庁に入る前に一年ほどハウスメーカーに勤めていた時代がありましてね。当時、契約を取りにいって『断られた』ところから仕事は始まると教わりました。その点、公務員はどこが仕事の起点であるのかについて考え方が甘いと思います」
 「例えば、生活保護は福祉事務所で扱うという制度があり、人事異動でそこに回されたから、とにかくそれをやる。これは基本的に違います。貧しい人が地域にいるからその人たちの自立支援のためにする仕事だ、という当たり前のことを役所にいたときからいつも職場で言ってきました。でもそれは、役所の中では往々にして『異色の人物扱い』にされがちで…(笑)」
  「だから今よりもむしろ、役所にいたときの方が違和感を強く抱いていたかもしれません。定年までいたら、気力と体力の面でスワンをはじめることもできなかったでしょう。定年を無事迎えるために、仕事への責任や熱意より保身に走るのは嫌だな、と思っていましたしね」

 この出処進退の決め方は筋金入りで、私は心底納得しました。スワンベーカリーの開店準備の最中に奥様を病のためになくされたご苦労をも貫いて、飯塚さんには他者の痛みをご自身の行いによって引き取るような覚悟と品格の据わったお人柄を感じました。

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注文販売のパンの配達を終えて―従業員のコスチュームもスワン・ブルーで統一されている

 私がお店を訪ねたのはお昼時です。これまでにも何回かこちらのパンを購入しては舌鼓を打っていたのですが、何せここのパンの種類は豊富なためにまだ味わったことのないパンを狙って戴きました。やはり美味しい!
 近くにある浦和高校と埼玉大学の学生の皆さんに私は強く訴えたい、青春のすきっ腹はスワンベーカリー北浦和店のパンで満たすべし!!
(次号へ続く)

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調理パン―お昼時には次から次へと売れていく

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食パンとフランスパン―食パンはスワン食パン・牛乳食パン・イギリス食パンの3種類、牛乳食パンは今の売れ筋で、トーストすると丸でバターを塗って焼いたような焼き目と香ばしさが漂う


コメント


ブログ拝見させていただきました。
今回宗澤先生が書いておられるスワンベーカリーですが、私もお世話になっている店だったので先生が取り上げているのを見つけて嬉しくなりました。
私は高校3年生のときに文化祭の出し物でパン屋を催すことになったのですが、このときにスワンベーカリーさんにパンの提携先として協力していただきました。
また、提携の話をしたときに私も飯塚さんとお話したのですが、飯塚さんからスワンベーカリーの由来、理想などを聞いてとても素晴らしいと思いました。
なお、文化祭当日も飯塚さんに大変迷惑をかけましたが、優しく協力してくださってパン屋は成功しました。
私はスワンベーカリーのような店がもっとたくさんあれば、世の中ももっと優しくなれると思います。


投稿者: G | 2009年05月25日 11:23

自分は浦和に住んでいて学校に行く途中に必ずこのスワンベーカリーを通っていました。
そして宗澤先生の話しを聞いてとても親近感がわきました。障害者たちだけの手だけでパン屋を経営しているのは素晴らしいことだし、またそれをサポートしている地域の方も素晴らしいと思いました。
自分も学校の帰りなどおなかが減ったときに立ち寄りたいです。


投稿者: katchan | 2009年05月25日 11:45

僕はこの春から兵庫の田舎から埼玉に引っ越してきました。そして、もう2か月がたとうとしています。
右も左もわからない時にある授業で「スワンベーカリー」のちらしをもらい実際に行ってみました。行ってみると、店の中の雰囲気はよく店員さんも明るい笑顔で迎えてくれて、とても好印象でした。
僕の地元にも身体障害をもった方々がお店を出したりしているところがあります。
そこのお店もスワンベーカリーとよく似た雰囲気で、僕は好きでした。
埼玉の自宅からはそう近くはないけど、また「スワンベーカリー」に行ってみたいと思います。


投稿者: gk | 2009年05月25日 11:52

私の家は、浦和高校に近いので、スワンベーカリー行ってみたいと思います。
パンの種類がたくさんあることに驚きました。どれもとてもおいしそうですね。


投稿者: T.M | 2009年05月25日 11:53

ずいぶん前になりますが、私もスワンベーカリーに行ったことがあります。授業でちらしをいただいたときです。アルバイト希望で訪ねました。結局働く時間帯の都合でアルバイトは断念しましたが、訪ねたときに感じたお店の雰囲気の良さにかなり好感がもてました。北浦和駅の方に行くことがほとんど無いのでそれ以来行っていないのですが、今度北浦和の方に行くことがあったらパンを買いに訪ねようと思います。


投稿者: ALE | 2009年07月14日 11:11

 先日の北九州市立大学での宗澤先生の講義を受けた者です。
 スワンベーカリーについて以前ニュースの特集を見たことがあります。
 障害のある人を雇い入れない企業が何万とあり、また厚生労働省が企業への配慮で、世間への公表(違反企業の実名公表など)を避けている。
 このような状況の中で、福祉的就労に疑問を感じ、ビジネスとしてスワンベーカリーを立ち上げた小倉昌男さん。公務員の定年を目の前に保身に走らず、早期退職してまでの障害のある人のために働こうと決意した飯塚さん。
そこにともに生きようという二人の勇気と優しさ、信念を感じました。
 働くということは、生きる意欲や、職場や地域でのコミュニケーションにつながり、それは生活のゆたかさにつながるのだと思います。
 今後、スワンベーカリーのような企業を増えやしていくことが、たくさんの障害のある人達の自立や生活保障の鍵となると感じました。


投稿者: ハッシュオニオン | 2010年01月14日 11:59

 昔は家から遠かったので、北浦和まで足をのばすことはありませんでしたが、埼玉大学まで通学するようになったので、ぜひスワンベーカリーに行ってみたいです。

 飯塚さんの「人」を思う姿は素晴らしいと思います。障害のある人のために自分は何ができるのか…そう考えたときに普段回答として出てくるのは「バリアフリーの地域を増やす」とか「困っていたら手伝う」とかになってしまいますが、本当は違うんですね。
  一緒に共に働き、汗をかき、地域を作っていく。
同じ職場の仲間として支えあう。
 とても温かくて、やさしい思いだと思います。

 そういう風に支えあえる地域や企業が今、もっと必要なのだと感じました。


投稿者: 雲雀 | 2010年04月27日 00:03

ブログを拝見させていただきました。

私は飯塚さんのお人柄や生き方に感動を覚えました。自分の生き方を常に見つめつつ、自分が本当にすべきことは何なのかと問い、安定した生活よりも自分の気持ちにまっすぐに進んでいくことを選び取る姿は本当に素晴らしいと思います。

飯塚さんのお話からすると、確かに県庁での仕事は形式的になってしまっているなと思わされました。もちろん県庁などで制度を施行したりすることも大切なことですが、やはり障害者の方々と共に働き、たくさんかかわっていく中で、本当の障害者の方々のニーズが見えてくるのではないかと思いました。

そしてやはり大切なのは、弱い立場にいる方々を救いたいという気持ちなのだと改めて気付かされました。

ぜひ今度スワンベーカリーに行きたいと思います。


投稿者: あみ | 2010年07月19日 00:02

 ここのパンはひどくおいしいですよね。それに値段も両親的だし、
それはそうとこの記事を読むまであの店がそんな風に障害者に力を入れている店だとは知りませんでした。
 この店のような心温まる店が増えるといいですね。
 また近いうちに買いにいきたいと思います。自分的にお勧めはカレーパンです。


投稿者: にっしー@へたれ | 2011年02月02日 06:28

このブログで紹介されなければ気づかなかったかもしれません。近くに行った時はぜひお店をのぞいてみたいと思います。クロネコヤマトさんがこのような就労支援をしていることを知りませんでした。人が気持ちよく働ける場所があるというのはとてもうれしいことだと思います。大宮の近くであり、写真の様子からもなかなか人通りの多い所で忙しそうな印象を受けます。こういった販売業ではお客さんに対する心遣いや笑顔が肝心です。コメントにもたくさんあるように雰囲気の良いお店のようなのできっとパンもおいしいだろうなと思いました。安定した仕事から先の読めない仕事への転職は決心のいることだと思います。私自身もなんとなくに流されず、自分の石で仕事を選んでいきたいと思います。


投稿者: 栗 | 2012年06月14日 13:21

ブログを見させて貰って初めて感動しました。
スワンの従業員さんがひとつひとつ
パンに愛情と真心を込めて、美味しいパンを
作っているからこそスワンがあるし
商品が全て美味しいだと思います。(^.^)(^.^)

体に傷害がある方でも安心して働ける支援が
ある事は安心出来るし素晴らしい事だし
その支援を考えたスワンの飯塚さんは素敵です。


投稿者: 夜桜(^-^)(^-^) | 2013年04月18日 10:09

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
タイトル:『障害者虐待 その理解と防止のために』
編著者:宗澤忠雄
定価:¥3,150(税込)
発行:中央法規
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