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和田行男の「婆さんとともに」

プロとプロフェッショナル

 おそらくプロフェッショナルを略してプロと使っているので、同じ意味かと思うが、どうも僕には違うと思えてきた。

よさこい祭り
よさこい祭りに沸く高知は連日40度越え!元気いっぱい踊る人たちは誰もステキやったわ。輝きまくってた。

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 NHKプロフェッショナル仕事の流儀という番組に出させてもらうと誰もが「あなたにとってプロフェッショナルとは?」を問われる(聞かれる)。
 僕も聞かれたが、いくら考えても「飯の種」としか思えず、収録のカメラに向かってそう答えてしまった。
 ところが実際の放送では「自問自答」だと答えている。
 なぜかというと、「飯の種」と答えて以降も「プロフェッショナルとは」について考えることが続いていたのだが、「飯の種=プロフェッショナル」なのではなく、「飯の種=プロ」なのではないかと疑問が湧き、収録しなおしてもらったからだ。
 プロもプロフェッショナルも同義語かもしれないが(敢えて調べない)、僕の中では「ちがう」という結論に至った。
 それは生意気な言い方になるかもしれないが、「介護」という仕事で飯を食っている連中はごまんといるわけで、そのごまんといる介護従事者の誰もがプロであることにかわりはないが、誰もにプロフェッショナルがあるか・プロフェッショナルを感じられるかと問えば、残念ながら答えはNOだということだ。
 先日こんなことがあったと聞かされた。
 認知症という状態にある人が入院することになったが、介護事業所の責任者(介護職)のほうから医師に「今夜、こちらで付き添いましょうか」と提案したところ「大丈夫です、私たちはプロですから」との答えをもらい、日々自問自答しながら追求している責任者としてはとても嬉しかったようだ。
 ところが翌日「とてもじゃないけど対応できないので付き添いをお願いします」と連絡がきた。
 この医師が言うとおり、金もとるし保険請求もできるプロであることに違いはないが、プロフェッショナルさは感じない。
 プロフェッショナルなら、「本人のことを考えて、せめて初日は付き添ってあげてください。長引くときは任せてください」ではないか。もしくは「根を上げない」か「教えて下さい」と言えることである。
 同じミスを繰り返す奴も、虐待に手を染める奴も、決め事でしか動かない奴も、自ら考えようともしない奴も、手を打たないでみすみす能力を下げてしまう奴も、知恵も工夫もなく行動制限する奴も、この仕事で飯を食っているプロであることに違いはないが、プロフェッショナルとはいえないだろう。
 もっと言えば僕ら市民は、役人に対しても製造業者に対しても医療者に対しても販売業者に対しても、単にそれで飯を食っているプロを求めるのではなく、「プロフェッショナル」を求め、プロフェッショナルを感じられないと「こんなことしかできなくて金をとるなんてとんでもない」と納税者や消費者としてこぼす。
 ところが逆の側に回ると「こんなことしかできない奴」に甘んじているにもかかわらず「プロだ!専門職だ」とほざいているようなものだ。
 プロとプロフェッショナルのちがいは何か。
 これからもそれを追いかけて生きたい。

追伸
 地震や津波だけが災害ではない。
 熱波もその延長線上にある豪雨も災害である。
 そして人による人への災いとその被害は、大地の揺れもお天道様からの熱も雨もない介護事業所内の要介護状態にある人々にも及んでいる。
 人によって防げる災いは何としても防いでいこう!できるはずだから。

写真2

コメント


自分はまだ日が浅い、
介護施設で働いてる者ですが、
深く胸に突き刺さるお言葉だと思いました。
自分は言われるがままが好きな「プロ」だと
思います。自分から何かを生み出すのが
苦手です。事も大きくしたくない。
ですが「このままじゃだめだ」という想い
もあり、本を読んだり、家で仕事の復習
をしたりを最近始めました。
多分その積み重ねがしていく事が
プロフェッショナルへの第一歩ではないかと
感じます。
番組の中でうまくいったりいかなかったり
だけど、そういう事で人との関係が深まっ
たり、その人らしさを出す事を学ぶ事が
できると言われてるのを聞いて、
仕事でもただ与えられた仕事をするだけ
じゃなくて、
「見て、感じて、考えて、新しい何かを
生み出す事」をほんの少しでもしていけたら
、きっと自分は変わると思いました。
「ただ徘徊」じゃなくて、その「背景」
を人としての尊厳から感じることの
大切さも放送を見て学びました。


介護は本当に何か起こるか分からない
未知の世界だと感じます。
ただそこにやりがいがあると思います。
放送を見ていいきっかけを頂きました。
ありがとうございました。


投稿者: ある介護者 | 2013年08月20日 14:44

ある介護者さんへ

ステキな想いに心が動きました。常に職業人である自分と向き合い、追いかけていけることなんでしょうね。イチロー選手の言葉からもひしひしと感じました。偉そうなことを言う僕も、まだまだで、自分に対して厳しくなれない。いつ行き着けるともわからない道ですが、だからこそ歩みつづけられるということですよね。目の覚めるようなコメントをありがとうございました。


投稿者: わだゆきお | 2013年08月23日 12:31

人職4か月の20代の男性スタッフが人職1か月の年輩の経験豊富な女性スタッフに業務(生活)を伝えている姿を見てその成長にとてもうれしかったんです。
「見て、感じて、考えて」彼の今まで経験の無かった食事作りや利用者の「生活」を支える事を、積み重ねて・・・素敵でした
キラキラしていました
キュンとなりました
若い彼らに
これからの業界を担う
プロフェッショナルへの道を歩んでほしい


投稿者: なんくる | 2013年08月24日 06:39

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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