ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
和田行男の「婆さんとともに」

モーリさんのコメントに寄せて

 「家やグループホームに帰り最期を迎えることも選択肢のひとつですよって言えなかった私は間違っていますか?」
 今朝読ませていただいたモーリさんからの重いコメント。
先に書きかけていた原稿をそでにして、このことについて書かせていただくことにする。

wada20130708.gif

続きを読む

 医療職の配置が義務付けされていないグループホームにおいて、「胃ろう状態」になると、それに応じられなくなる。
 そのため、いくら本人や家族が願おうが、いくら職員がその気になろうが「戻っておいで」とは言えない。
 つまりモーリさんが言う「選択肢を示せる」っていうことは、「胃ろう状態」にあっても、それに応じることができる条件が揃っていなければならないということだ。
 その条件もなく、職員の想いだけで選択肢に入れたのでは大変なことになりかねない。
 僕のところでも保険者に申し入れたところ「現行法規では何かあったときに介護職を護ることができないので諦めてください」と言われたことがあるが、真っ当な話である。
 では、その条件とは何か。
 これは単純明快で、胃ろうで「必要なことに手をくだせる人がいるかどうか」である。
 この条件を満たすことができず、涙をのんで「退居」をやむなく飲み込んだ人が、本人・家族、事業者・従業者、そして条件を組み立てている行政マンまで含めて、多数いるのではないか。僕が所属する法人のグループホームでも例外にもれず、である。
 ただ、同じグループホームでもおかれている状況が違うため、グループホーム=条件を満たさないという単純な図式にはならない。
 僕のところでも、前述のグループホームとは違って「胃ろう状態」になってそのまま暮らし続けることを支援しているグループホームもある。
 それは何が違うかと言えば、大きくは「医療職の有無」であり、「有無」はグループホームに看護師が毎日配置されているという単純なことではなく「胃ろう状態への支援体制の有無」である。
 例えば、主治医がフットワークの軽い人で「僕が行くよ」と言ってくれるなら何ら問題なく条件を満たせるし、家族が「私たちがやります」と言ってくれれば何とかなる。
 さて、そういうように整理してモーリさんの「間違っていますか?」について考えると、単純に「正誤のジャッジ」ができるものではないが、少なくとも、ここに書いたようなことを家族と話すことがあったら「帰れへんかったねえ」の言葉が繰り返し聞こえることはなかったのではないだろうかとは思った。
 家族懇談会や運営推進会議など、家族が交わって話すときに、こうした制度上の課題や家族のエゴなどタブーにしてしまいがちなことまで投げかけて、常々話し合っておくことの大切さを改めて感じたモーリさんからのコメントでもあった。

※写真は「在りし日のぼく」です。


コメント


「帰りたかった」と思ってもらえるグループホーム…私の施設では、そう思ってくれるようなケアや接し方をしているだろうかと、振り返りました。


投稿者: わたる | 2013年07月09日 03:15

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

【ブログ発!書籍のご案内】
new!
和田行男さんのブログ発第2弾『認知症開花支援』が刊行されました。前作『認知症になる僕たちへ』から2年半――。パワーアップした和田行男のメッセージにご期待ください。
定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
→電子ブックで内容見本をご覧いただくことができます
→ご注文はe-booksから
wadaprof3.jpg

和田行男さんのブログ「婆さんとともに」をまとめた書籍が刊行されました。
タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
→ご注文はe-booksから
wadaprof2.jpg

メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books