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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

子育ての疲れから

 福祉の仕事と一口でいっても、多様なものが含まれます。およそ日常生活のすべてにかかわるサポートが仕事になりますから、支援の内容・類型、それに職種等も実に広範多岐にわたります。その上、今の日本の福祉職場には、同僚との行き違いにコンフリクト、過重な労働などがなかなか避けて通れない現実としてあります。

 それぞれの利用者の個別性の高い生活ニーズに応えていくという営みだけでも大変な仕事なのに、職場の人間関係や過重労働まで加わると、イライラが続いたり、場合によっては、バーンアウトに陥るリスクもあります。ここには、産業医学や労働科学の専門家が、本来ならば科学的に解明すべき福祉の従事者の疲労と休息についての課題があるでしょう。
 私がこのブログを通して綴りたいのは、多忙な福祉の仕事に携わるみなさんに、「ちょっと一服」してもらえるような「休息の場」をつくることです。そうして、福祉の職場で働く人にこそ、「人たるに値する」日々の喜怒哀楽を洗練していただければと願います。

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 さて、福祉の仕事や職場とは、どのようなものでしょうか? まずは、生活支援の仕事を「子育て家庭」のイメージから眺めてみることにしましょう。
――小さな子どものいる家族。故郷を離れて結婚した共稼ぎ夫婦の子育てには、苦労がつきものです。いつもながらの炊事・洗濯・掃除に加えて、夜泣きの世話、授乳、哺乳瓶の消毒、おむつの交換と洗濯、入浴、離乳食…と、家の中はさながら戦場のよう。
 ここで、お母さんとお父さんが「戦友」の絆を保つことができればいいのですが、職場の現実は、そうは問屋が卸しません。そこで、夫婦間の悶着をへて、子育ての主役はお母さんに充てられることが多くなるのでしょう。
 さて、このお母さん。授乳や離乳食といった一つ一つの営みを取り出してみると、さほど労力がいるとは思えません。それでも、多種多様な家事・育児による「連続波状攻撃」を数か月・数年重ねたところでの疲労は相当なものです。子どもを夜に寝かしつけたところで「今日も一日がようやく終わった」と嘆息するのはむろん、子どもを寝かせるところが、あまりの疲れで自分の方が先に寝てしまったなどというのもざらではないでしょう。
 一方のお父さん。日々の子育てに参加できない分、休日の「家族サービス」で帳尻を合わせようとします。子どもを動物園へ、あるいは劇場公開のドラえもんや名探偵コナンがやっていれば映画館に子どもを連れていきます。これは、その日だけの労力は大きいかも知れませんが、その実、お父さんにとっての気分転換にもなっており、時間限定、枠組の定まった営みといえるでしょう。

 福祉の職場には、「お父さん型」の仕事と「お母さん型」の仕事の両方がありませんか?もちろん、それぞれに大切な役割を担っていますが、個々の利用者に直接、生活支援を行う現場では、「お母さん型」の仕事がベースになるといっていいでしょう。このブログをご覧になっている方の中には、「お母さん型」の疲労の蓄積を余儀なくされている方も多いのではないでしょうか。
 生活支援という、ある意味では不定形で、連続した仕事を担う方々に一息ついていただけるような話を綴っていきたいと考えています。どうか、しばらくの間おつきあいください。


コメント


 ブログ開設おめでとうございます。
 確かに「お母さん型」の支援者は非常に多く、徐々に蓄積されていくその疲労は計り知れないものと思います。
 私自身は直接的に生活支援へ携わる者ではないですが、息抜きの方法など何らかの形で参考にさせていただきたいです。
 これから綴られるブログ、楽しみにしています。


投稿者: hagi | 2008年04月08日 21:37

 遅くなりましたが、ブログ開設おめでとうございます。
 私、ひょんな事から生活支援も生業とする事になりましたので、これからも勉強させていただきます。
 「最近買った物コーナー」が始まる事も期待したいと思います。


投稿者: END | 2008年04月14日 22:40

 このタイトルを見て思い出しました。保育関係の研修を受けた折、子育てをしながら看護師をされている講師の話が印象的でした。その方は、重体の患者さんの看護をして帰宅後、疲れから風呂の残り湯を抜き忘れて熟睡。ところが、御自分のお子さんが過ってその風呂で溺れて亡くなったという経験をされたそうです。
 同じ母親として悲しかったのはもちろんですが、同時に、この国の至るところで子育て支援の制度や設備が不足していることを実感しました。
 確かに自分自身の幼児期から今日までの社会を見ても、物質的な豊かさは格段の進歩を遂げました。しかし、親の立場になればなるほど、その「豊かさ」を守るため日々の仕事で、心身を消耗しているのも現実です。また、女性の社会進出も前進あって後退無しという昨今にあっては、親がゆっくりと子育てに向かい合える時間は不足がちなのです。
 子どもは国の宝、無限の可能性の宝庫だと言われますが、そうあるためには、今や個々の家庭のみに責任を求められる時代ではありません。親が子育てにゆとりと自信を持って向き合えるような制度的支援が待たれます。


投稿者: きらりんこ | 2008年11月21日 15:35

北九州市立大学の学生です。
先日はわざわざ私たちのために、大学まで足を運んでいただき本当にありがとうございました。
とても勉強になりました。
わたしの母は福祉の仕事をしています。毎日すごく忙しいようです。家に帰れば、主婦としても掃除に洗濯とさまざまな仕事があります。だから内容は違うにしても1日中働いています。
またわたしの母は、他人のことを自分のこと以上に考える性格です。だから、他人のことで母の気が滅入ることもあります。
しかしこれはとても危ないことだとかんじます。
もっと母親が心を休めるような場を設けることが大切だと思います。
それに知り合いに福祉の仕事をしていてうつ病にかかったり過度のストレスを抱えている人がいます。この高齢化社会では、福祉の仕事をしている人はとても貴重な存在だしなかなかできる仕事ではないと思います。だから高齢者ばかりに目をむけるのではなく、はたらいている女性の支援も大切だと思います。


投稿者: あーちゃん | 2010年01月15日 01:19

私も福祉の仕事をしている人や、子育てで忙しい人たちに休息の場を設けたほうがいいと思います。過労による疲れやストレスによって、わが子ながら命を奪ってしまったり、介護に疲れて高齢者の方の命を奪ってしまったりする事件も最近目にします。こういう事態になると、支援者全般への信頼が薄れ、支援を要する人は安心して任せることができないと思います。今後、少子高齢化によって高齢者の方の数がどんどん増えてきて、介護や福祉関係の仕事も需要が増えてきます。その中で、いかに福祉サービスを要する人に安心してもらうか、お互いに信頼して暮らしていけるかが課題になると思います。そのため、福祉関係のサービスを提供する人の働く環境も充実させる必要があると思いました。


投稿者: 茶 | 2010年07月28日 14:09

 この高齢化の社会において、福祉を職業にしている人というのは実に重要だと思います。しかし、その大変さに見合った給料をもらっていないという話も聞きます。そんな中、子育てや介護が原因となった事件をよく耳にします。
 私は介護を仕事にする人がそういった事件を起こしたという話は聞きませんが、これが起こってしまったときが、本当に末期の状態だと思います。なので、そうなってしまう前にこのような人たちに「休息の場」を設けることは、本当に重要なことだと思います。


投稿者: 宋江 | 2011年01月19日 17:33

 近年、たびたびニュースで子供が虐待を受けた末に亡くなるという凄惨な事件を目の当たりにします。
 私事ではありますが、私の兄には姪と甥が二人の計三人の子供がいます。兄家族は共働きで朝早くから弁当を作り、朝七時には家を出て子供を保育園に連れて行き出勤して、帰りは夜七時という生活を続けています。育児もヤンチャな三人組ですがきちんされています。
 私はそんな生活を送る兄の嫁に「育児は大変ではないですか?」と聞いたことがあります。そのとき、嫁は「大変だけど、夫と家族のおかげで、かなり助かっている」と言われました。そのとき私は育児において宗澤先生のおっしゃる通り、「休息の場」の重要性に気づかされました。育児においては夫の協力は不可欠であり、また家族の補助・協力の有無ははとても重要であり、逆に言うと、その両方が無い場合、虐待の起こる危険性は非常に高まると言えるということです。
 現代社会において、離婚率の上昇に伴うシングルマザーの増加や核家族化の状況において、今後政府・行政の示す方向性を注視していく必要があると考えさせられました。


投稿者: 新参者 | 2011年01月22日 14:58

 この数年間で家庭暴力、子ども虐待、子育て放置等の事件が急増していくことに気づきました。私は本当にそういうことが不思議に思いました。自分の愛していた人に暴力を日々加え。血縁のある子どもに「仕付け」を装い、虐待を正々堂々に行う。また完全に子育てを放置、子どもを食べさせずに餓死してしまうこともあります。なぜこういう事件が後絶えないほど継続的に、蔓延的に発生するんだろう。
 その原因の一つは子育ての疲れと思います。多種多様多忙な家事・育児による「連続波状攻撃」を数か月・数年重ねたところでの疲労は本当に相当なものと考えられます。今私は一人暮らしの生活を送っている。ご飯炊ったり、洗濯したりとか本当に地味で仕方ないです。できれば誰かに任せたいです。一人さえその疲れが感がじられたら、お母さん達の疲れは半端ないと思います。従って、ストレス、疲労の蓄積を解消する方法も重視すべきものと感じました。
 勉強になりました。


投稿者: 絆 | 2012年01月19日 00:08

昔から日本では家庭の仕事は女のもの、という考えが当たり前となっていました。実際に体験してみないと家事や育児の大変さはわかりません。最近ではようやく、働く父親にも育児休暇など取得する人々も増えてきましたが、それもまだ全体の数パーセントにすぎません。公務員などの職場では男性の育児休暇も取得しやすいと聞きますが、やはり大半の職場ではまだまだ浸透していないように思われます。男女の差別をなくす、そういった考えが生まれてからずいぶん経ちますがそれに重要な役割を果たしているのも情報メディアによるものではないかと思います。人気男性俳優による育児話や、育児をする男性『イクメン』といった造語の誕生。また男性の育児推進などテレビによる呼びかけなど、育児に対する男女の垣根は低くなりつつあります。生活支援とはこのように幅広い対象がいると言うことを改めて感じました。


投稿者: 栗 | 2012年04月22日 14:43

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投稿者: adomeendoli | 2013年01月22日 17:05

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
タイトル:『障害者虐待 その理解と防止のために』
編著者:宗澤忠雄
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発行:中央法規
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