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和田行男の「婆さんとともに」

キャバクラで想う

 キャバクラという形態の風俗営業店がある。
 風俗と聞くと、何かいかがわしい感じを受けるが、調べてみると元の意味は「(ある時代・地域・階層に特徴的に見られる)衣食住など日常生活上のしきたり。ならわし。」と記されている。
 このキャバクラに何度か連れて行ってもらったが、行くたびにいろいろと考えてしまう。

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 そもそもキャバクラとは何かを調べると、「風俗営業の一種で、キャバレーとクラブの中間的形態の店。客に遊興・飲食などをさせる営業の総称。待合・料理店・ダンスホール・バー・パチンコ屋など」と記されていた。
 さらに突っ込んでいくと、キャバレーとは「舞台で演じられる寸劇や歌などを楽しんだり、ダンスに興じたりできる酒場。一九世紀末、パリで興り、ヨーロッパ中に広まった。日本でも昭和初期に流行。現在同じ名で呼ばれるものは、第二次大戦後に生じた、ホステスのサービスで飲食をする酒場のこと。」とあり、クラブとは、「ホステスと呼ばれる女性従業員が男性客の隣に座って接待をする日本の飲食店。料金が高額な店が多く、しばしば高級クラブなどと呼ばれる。」とあり、「日本では、社交クラブから女性による男性会員への接待機能を強めた社交喫茶という営業形態が派生し、ここから男性客がホステスから飲食などの接待を受ける飲食店をクラブと呼ぶようになった。」とあった。
 このことからいえば、キャバクラは非常に健全な飲食店ということになるが、僕がいろいろと考えるのはこの健全性にあるからだ。
 あるとき僕をキャバクラに連れて行ってくれた人が次のように言っていた。
 彼は独身の中年男性だが、彼の人生史には人に言えないいろいろなことがあったのだろう。
 「和田さん、ひとりで淋しいなと思う時があるけど、その時はこの子たちが一緒にご飯を食べに行ってくれたりするんだよ」
 もちろんこの子たちとはキャバクラのホステスのことで、営業時間を外れたところでお付き合いをしているようで、そこにあるのは「男と女」ではなく「人と人」のお付き合いである。
 ずいぶん前になるが、キャバレーに来ていた老年夫婦のご主人が若いホステスと一緒にダンスを愉しみ、奥さんがニコニコそれを見て愉しんでいた姿に触れた。
 以前にブログでも書かせてもらったが、踊れるライブハウスにも中高年がたくさん来ていて、愉しんでいる。
 また街のひなびた居酒屋では、高齢者ママ・マスターの店に、高齢者が遅くまでたむろして、おしゃべりをし、歌い、踊っていた。
 そんなこんな風俗営業店で人と人が交流している姿を見るにつけ思うのは、要介護状態になった途端にその世界がなくなってしまうような支援の在り方はどうなんだろうかということだ。
 それを「デイサービスでいいじゃないか」「施設の中で飲めればいいじゃないか」という思考や仕組みはどうなんだろうかということでもある。
 世界有数の経済大国日本にあって、世界ナンバー1の高齢大国日本にあって、要介護状態になればそうした大人の社交場を生活から失わせてしまう支援の在り方に疑問をもつのは僕だけではないだろう。
 その人らしくとか尊厳の保持だとか、大上段から「人として生きることへの支援」を語るのなら、「風俗」を維持したり取り戻すのも支援であり、リハビリテーションであり、ノーマライゼーションだということを議論する時代にさしかかってもいいのではないだろうか。
 日本国憲法には「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。」とあり「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」(第25条)と謳っていることを考えれば、現行制度の運用のありようを検証し、風俗への支援には「ヘルパーを伴ってキャバクラ通いもあり」という時代がいずれくることだろう。
 こんなことを思うにつけ、僕のボスといつも話す高齢者・要介護高齢者が安心して風俗を愉しめるお店を早く開きたくなるし、増えることを願ってやまない。
 総人口の三分の一が65歳以上になる日本はそこまできているのだから。

写真
近くの公園で見た「お花見の花嫁さん」。ちゃんと白い敷物を敷いてステキな光景でした


コメント


キャバクラは行ったことありませんが、初めてバーのカウンターに座って、お酒を飲みました。
ラーメン屋さんのカウンターに慣れ親しんでいる私は、とても緊張していました。

時間が経つにつれ、常連の方とマスターと数人で話しながら飲みながら、楽しい時間を過ごしました。

何を話していたか、わからないがとても面白かったという感情が残りました。

その帰り道、以前、和田さんのブログに「(デイサービスの)職員が楽しそうだな」…という言葉が過りました。
ブログの言葉は定かでないのですが…。

私はご利用者さんに楽しんでもらっているのか…一人よがりの介護や一方的な会話をしていないか、振り返りました。


投稿者: わたる | 2013年04月15日 11:36

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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