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和田行男の「婆さんとともに」

奥深き「自助具」と「介護用品」

 自助具は介護用品とは違う。
 違うのに、画一的に「介護用品」として扱われていることには甚だ疑問である。
 自助具とは、あくまでも「自分が自分を助けるために使用するモノ」で、介護用品とは「介助する者が介助しやすいようにするモノ」ではないだろうか。

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豊肥本線三重町駅に着いた途端に感じた視線。その先に居たフレンドリーな“ヒト”たちに気をとられている間に、列車は出発。降り損ねてしまったのだ。ハハハ

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 具体的にいえば、メガネ、補聴器、杖、車いす、ベッドに取り付ける電動起き上がり装置、装具、ポータブルトイレ、障がいアシスト付き自家用車などは「自助具」である。
 リフト付きバスやエレベーターなどは「公共自助具」とでもいうべきモノだ。
 ただし「介護者にとって介助しやすいから使う」ということになると、自助具も介護用品となる。補聴器でさえ、本人は耳が聞こえていなくても一向に構わないのに、周りが面倒だから装着させると介護用品ということだ。
 介護用品は介護報酬に含まれているから事業者が用意しなさいと行政マンに言われることがあるが、「介護用品とは」を整理しないまま介護報酬に含むのは、自助具=自費のものまで画一的に公金(介護保険は税金と保険料で賄われている)に含むという話であり、それは公金の目的外使用ではないかと疑問をもっている。
 グループホームの入居者に対してベッドや車いすが必要になれば、それは「介護に必要なモノ」であり、事業者が用意すべきモノで、そのコストは介護報酬に含んでいるのだから自己負担させてはならないと言う行政マンがいるが、それは間違ってはいないが正しくはないということだ。
 ベッドを例にとると、そもそもベッドは寝具である。寝具の形態は「洋式=ベッドに布団」「和式=床に布団」の2タイプ。
 これまで多くの施設では、行政が画一的にベッドを配備させてきたが、これは入居者から「洋式か和式か」の選択権を奪い、かつ寝具をアセスメントもなく事業者の強要としている点で正しくない。
 そのことはさておいたとしても、寝具=ベッドや布団は日常生活に必要なモノであり、ベッドは家具屋、布団は寝具屋で、自分に合ったモノを自分で準備すべきである。
 その上で、起き上がりにくくなった自分に対して、起き上がりやすいようにする「電動起き上がり装置」を付けるというのは「自助具をつける」ということであり、自助具のおかげで他人の力添えを得なくても自分で起き上がれるようになるということだ。
 それを「ベッドに起き上がり装置が付いている=介護用ベッド=介護用品=事業者が準備する=報酬に含んでいるから」という理屈で包んでしまうのは絶対におかしい。
 その理屈をすべてに当てはめれば、メガネだって介護報酬に含んでいるということになる。
 本人の意思表示が不明確な場合でも、家族等の意思(利用者の代弁)と本人にとって(利用者本位)の両面から考えて協議し、専門職としての見解も入れて「本人のために」の総意を作り出して決めるのが筋であり、本人のために使うモノは、本人や家族が用意するのが筋である。

 具体的に言えば、入居前に「ベッド」か「床に布団」かの選択肢が保証されており、入居者側の選択で「床に布団」とした。
 やがて身体能力的に「床に布団」は厳しくなったので、本人・家族・事業者(専門職)で協議した結果「ベッド」に変更することになった。
 どんな「ベッド」にするかは入居者側(本人と家族)の意思で決めるのが基本。
 事業者が、「起き上がらせやすい」「立ち上がらせやすい」といった理由で起き上がり装置のついたベッドの導入を求めれば「介護用ベッド」であり事業者が用意する。
 協議して、「本人が起き上がりやすいようにする」ために起き上がり装置のついたベッドを導入すれば「自分を助けるための道具=自助具」であり入居者側が用意するということだ。

 そもそも、自分が生きていくために欠かすことができないモノを介護報酬に含むという考え方はおかしい。自助具は欠かすことができないモノである。
 介護保険は生活支援ではあるが、生活物資支援保険ではないはずだ。
 介護用ベッドでも自助ベッドでも「ベッドは寝具」であり、自宅であれ施設であれ、どこに住まおうが自分で用意するのが基本で、ベッドに付加された起き上がり装置が「介護用」なのか「自助用」なのかである。
 つまり、「起き上がり装置のついたベッドは介護用ベッドであり事業者が用意する」などと画一的にとらえるのではなく、「自助用装置なら自分で用意する」であり「介護用装置なら事業者が用意する」ということにしないと理屈が合わず整合性がとれないのだ。
 これだけ「個別性」だとか「アセスメント」だとか「本人の意思の尊重」だとか叫ばれている中で、寝具に選択肢がないのはおかしいし、起き上がり装置をベッドに付加する目的が「自助」なのか「介護」なのかのアセスメントがないのもおかしな話である。
 画一的に「介護用品」に仕立て、「介護報酬に含んでいる」という話は暴論であり、だから「事業者が用意するべき」という話は滑稽でさえあり、それに理も立てないで奴隷のように従っている僕らがいるとしたら、僕らが「バカタレ」なのである。
 僕がグループホーム居室を和室で造るのは、和室は「和式=床に布団」でも「洋式=ベッド」でも、認知症という状態にある入居者にとって「違和感を持ちにくい設え」だからであり、その選択権を保証したいからこそ、特定施設においても居室にベッドを配備しないのである。


コメント


え?車椅子も電動ベッドも入浴リフトも眼鏡も補聴器も私自身も。。。その人その人の今に合った自助具だと思ってましたー


投稿者: 夜勤ヘルパー | 2013年03月26日 13:30

初めまして!私は今介護の学校に通っています。今日和田さんのDVDを見てとても感動と憧れを抱きました福祉の世界に9年居ましたが知的障がいの方と一緒に就労支援をしてきましたが祖母が認知症になったときに現実から目を逸らし何もして上げれないまま虹を渡らせてしまったので少しでも祖母への恩返しと知らない福祉の世界に飛び込んでみたいと思い学校に行っています! いまだに分からないことが沢山あって試行錯誤していますが新しいことを吸収出来てまだまだ楽しいっていうところまでは行っていませんがこれからの福祉を楽しもうと思って毎日勉強しています!
これからも和田さんのように楽しみながら進んでいけるように頑張ります
乱文で申し訳ありません


投稿者: 吉川 純子 | 2013年03月26日 20:16

誰のための…何のための…介護の基本の基本ですよね。


投稿者: わたる | 2013年03月27日 23:02

先生、こんにちは。昨年の9月に、H25年5月24日(金)午後の掛川市在宅介護者の会総会後の講演会を快くお引け受けいただきありがとうございます。ここ数日、何度か携帯にお電話さえていただいたのですが、つながらないので、投稿させていただきました。先生にお願いがあります。私どもの社協の広報誌、また、介護者つうしんに講演の内容を掲載する関係で下記のことについてお返事をいただきたいです。①講演の演題 ②講師依頼の送り先 です。先生のご講演は14:00~15:30の90分必要とのことでしたが、参加者のデイの送迎時間等の関係で90分とれないので14:15~15:15の1時間でお話をしていただきたいです。勝手なお願いですみません。原稿締切の関係で至急お返事をいただきたいです。よろしくお願いします。電話0537-72-1135(南部大東ふくしあ社会福祉協議会担当角替美恵子)


投稿者: 静岡県掛川市社会福祉協議会 角替美恵子(つのがえみえこ) | 2013年03月29日 14:09

吉川純子さんへ

楽しみながらねェ。僕の今の位置は、生きている時間の多くを仕事に割いてはいますが、うちの職員たちのように、決められた時間に行かなければ、入居者や利用者に迷惑をかけることはないからでしょうね。実際の支援に当たっている人たちに、僕の置かれている位置から同じ言葉の「楽しみながらやるのがいいよ」とは言えないですね。それは自分は感じ取ることで、他人に言われることではないような気がしています。
吉川さん、僕から言えることは、仕事なんて楽しいことばかりじゃなく辛いことも面倒なこともしんどいこともある。
でも、自分が選んだ道ならば、少なくとも自分でケツを拭くことが大事で、結局のところ「辛いことだって楽しいと思えるかどうか」は自分次第なんですよね。だって、そもそも辛いって思うのが自分なんですから。ハハハ。
中央法規出版から出ている雑誌「おはよう21」四月号の和田の記事を読んでみてください。


投稿者: わだゆきお | 2013年03月29日 18:19

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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