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和田行男の「婆さんとともに」

選択

 先日、面白いBarに連れて行ってもらった。その名もアイスクリーム・バー。初体験。
 それも単にアイスクリームを食べるだけなら「甘もの屋」でしかないが、バーというだけあって酒が絡み、アイスクリームとリキュールを絡み合わせて食べる店なのだ。
 場所は北の町。ぜひ行ってみて考えてみてほしい。
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 ここで出してくれるアイスクリームはご覧のとおり。これはビッグなやつだが、美味しそうやろ。濃い味やったわ。

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 さて本題はここからだ。
 ここのセットメニューは、アイスクリーム+リキュール2種+αである。
 総勢12名で行ったので、案内してくれた人が「12名分ダブルで6セット」と注文してくれたがちんぷんかんぷん。
 どういうことかというと、1人当たり2種のリキュールを選べるので、全員が2種類ずつのリキュールを頼むと24種類リキュールが出るのだが、ダブルなので半分となり、12種類のリキュールを2セットになるのだ。
 つまり簡単に言えば、自分ひとりだと2種類しか味わえないリキュールを12種類味わえるようにしてくれたということだ。
 写真にあるハート形のものにはリキュールの名前が書いてあり、その横の小さなグラスにそのリキュールが入っている。
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 食べ方は、まずはアイスクリームのカップのところにあるアイスクリームスプーンでアイスクリームをとり、小さなグラスに入っているリキュールを、耳かきの親分(耳はかけない大きさだが)のような小さなスプーン(写真:小さなグラスにさしてあるスプーン)で汲み、アイスクリームにかけて食べる。
 これが美味いのだ。
 でも美味しいかどうかが本題ではない。
 12種類ものリキュールを選べるため、「これはなに?」「こっちが美味しい」「いやこれが」「次はどれにしようかな」など、キャッキャッ言いながらの大パーティになったのだが、選択肢があって、選択権が自分にあるってとっても豊かなことだと改めて思ったし、みんなの顔を見ていると「美味しい」って微笑んでいるばっかりではなく、「しまった」「これはまずい」など渋い顔もしていても実に表情が豊かなのである。
 これが「生きている」ってことではないか。選択できるってとっても豊かなことで、いろんな表情を表出できるってとっても豊かなこと。
 ところが、婆さんの生きることを支援する僕らは、この豊かさを婆さんから奪ってやしないだろうか。婆さんにこの豊かさを取り戻せるように尽力できているだろうか。
 食べるものもすることも職員が決めたメニューをおしつけてやしないだろうか。
 婆さんに笑う顔だけや積極的さだけを求めてやしないか。怒ったり・泣いたり・逃げ出したりを「ステキなこと」って思えているだろうか。
 おかわりのアイスクリームを食べながら、あっちこっち手を伸ばしてリキュールを汲みながら、そんな疑問を何人の人がもったかはわからないが、僕自身は婆さん支援の中で「この豊かさ」を取り戻せるように支援していくことを追求していきたいと改めて決意したアイスクリームの夜だった。
 ちなみに僕のお気に入りはリキュールではなく、それとは別に出てきた珈琲豆をひいたやつをアイスクリームにかけて食べるのが一番美味かった。
 腹の芯から冷えた(が)豊かな夜だった。

【お知らせ】
波の女セミナー たっぷり認知症の話
【年月日】2012年2月9日(木)14時~20時
【会場】ういんくあいち 大ホール(愛知県名古屋市)
【講師】池田学、町永俊雄、和田行男
【関連URL】http://www.nami-no-onna.co.jp/
【詳細】ファイルをダウンロード
【問い合わせ先】
株式会社波の女
愛知県名古屋市天白区池見2-14
TEL080-4308-8910
FAX052-834-0733


コメント


週末函館に行くのでさがしてみます!
選択の楽しさを味わってきます♪


投稿者: レンジャー | 2011年11月14日 23:34

 和田さん、みなさん、こんにちは。

 たぶん、この場所は北海道なんですよね?食べてみたいですね。どんな味がするんだろう・・。
でも、その前に前回のダンスが出来るところに行って見たいです。そして、一緒に踊ってみたいです。

 この間、「こんな夜更けにバナナかよ」をよみ、自立支援てなんだろうと何度も考えました。その主人公、鹿野靖明さんは、進行性筋ジストロフィーを患っていました。しかし、施設で生きることを拒み、沢山のボランティアを募り、ボランティアを自分の家族といい、人工呼吸器・痰の吸引・その他の支援を行ってもらっていました。鹿野さんはタバコも吸い、バナナも食べ自分がしたいように選択し生きていました。そういうと聞こえはいいですが、自分の一人になる時間は一切なく、絶えず、誰かに支援してもらわないと生きていけない状況です。絶えず、周りに人がいるというのは非常にストレスだと思います。それでも、自分でどう生きるかを選択し、自分が自分らしく生きる道を歩まれる事、本当に勇気がいることと思いますが、素晴らしいことだと思います。
 私は、この本を読み考えさせられ、御爺さん御婆さんの手や足が上手に利かなくても自立支援が出来るんだと思いました。
 なんでも自分で選ぶ・・本当に素晴らしいことだと思います。
 私の勤務先でも、御爺さん御婆さんは、毎日の献立に載っている決められたものを召し上がっています。そして、残されます。それは、自分が今、食べたくないものだし、量が多いというのもあります。私は、自分たちで食べるものを考えて食べる食事を行ってみたいです。
 御爺さん御婆さんの3時のお菓子は、自分で食べたいものを選んでいただきます。自分が選んだものだから食べるのがとても早く、皆さん、ある意味満足されています。でも、出来ることならば、近くのお菓子屋さんに行って自分たちで食べたいものを買い、食べてみたいものです。
 御爺さん御婆さんに、その都度どうしますか?と伺ってみる事は時間がかかるとは思います。でも、どうするかを自分で選択すること、そうすることが、とても大切に思えてならないのです。
 今は、死ぬことさえも自分で選択できなく、経管栄養などで生かされてしまいます。
 自分でなんでも選ぶことの出来る世界になってほしいです。まずは、目の前のことから行っていこうと思います。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2011年11月15日 15:04

 先日札幌にいらしたということなので、札幌すすきの辺りですかね。お店の名前を教えてもらえないかな…
 北海道は2、3日前から全道的に雪が降りました。でも暖かい部屋で風呂上りにアイスを食べるのが子供たちの習慣になってます。


投稿者: みき | 2011年11月16日 12:43

和田さん みんなさん お邪魔します。

選ぶ事や考える事の自由と楽しさ、また欲しくても手の届かないジレンマ・・・ 大切です。
私は、入居者が日常的に外に出る事を促し(脅しともいう)ながら職員の尻を追い掛けまくっています。外食にも最近はよく出かけるようになりましたが、まだまだ回数が少ない・・・ その少ない回数でいかして入居者に満足入してもらうかを考えています。そこで、最近は新聞の折り込みチラシ!!これがカラー印刷で写真もリアル!!寿司なんか間違って手が伸びたりしてますよ!!このチラシを外食に行けそうな日の数日前から幾度となく見てもらい、寿司屋に行くんですよ・・・
それはもう、幸せの極みを見事に笑顔で表現してくれます!!(たまにワサビで泣きますが)
こんな些細なことですが、仕事として関わる以上は8割は疲れて2割が楽しみというのが本音ですが、そんな泣き言を言わず、8割が楽しみで、2割が気持のいい疲労に変えて見せますよ~
やっぱりグループホームは楽しい!!


投稿者: yokoyan | 2011年11月16日 21:09

みきさんへ

 お店の名前はわかりません。憶えきれないんです。
 いや、憶えようとしないんですね。なぜなら、常に「誰に連れて行ってもらったか」を憶える癖がついてしまっているんですね。だから食べたくなった時は、その人に聞く・連れて行ってもらうようになってしまってるんですよ、和田行男脳が。ハハハ


投稿者: わだゆきお | 2011年11月17日 13:42

 レスありがとうございます。ネットで調べたら1件ヒットしました。すすきのです。東京銀座にも支店を出していたらしいのですが今年閉店したみたいです。


投稿者: みき | 2011年11月24日 00:05

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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