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和田行男の「婆さんとともに」

実地指導官に主人公が反撃!

 「失礼な、私はそんなことしませんよ!」
 怒ったのはグループホームの入居者・婆さんである。怒った理由は保険者(行政)による実地指導に対してである。

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 グループホームに実地指導が入ったとき、指導担当官・役人が風呂場を見て「そこにおいてある浴室洗浄剤は危険だから移動するように」と言ったので、指導を受けた事業者が理由を聞くと「入居者が飲んでしまう危険性があるから」とのこと。
 そこで事業者がグループホームの入居者に「皆さんが清掃用の洗浄剤を飲むかもしれないのでこうしなさいと役人さんに言われた」と話をしたところ、前述の怒りの言葉が返ってきたそうだ。
 これは僕の仲間から聞いた話だが、こんな話はいくらでもある。
 「認知症だから・こんなことするから・こうしなさい」と事業者に平気で言う人のことを指しているのだが、認知症から「何をしでかすかわからない状態にある」(わかりやすい言葉で書いたので誤解のないように)という客観性は否定しないが、「認知症=誰もが洗剤を飲む」とはならないわけで、なると思っている役人の言動には危険性を感じてしまう。
 しかも婆さんにしてみれば、自分を護ってくれるはずの役人や支援者が、自分をそんなふうに思っているのかと思うと情けないやら腹がたつやら、やり場のない怒りでいっぱいになるのは当たり前である。
 尊厳の保持を事業者にだけ求めるのではなく、まさにその護り人である役人がその先頭に立つべきでありはずなのに、婆さんが聞いたら怒ることを、平気で口にするから情けない限り。尊厳なんてどこ吹く風である。
 そういうことに口出しする人は、まずはそこに入居している人の状態を支援者に聞いて、その上で予測されるリスクについて「どう考え・どのような手立てをとっているか」を確認し、不備があると思えば意見交換をして、行政と事業者が手を携えて「入居者にとってベターな環境を整えること」に尽力し合うべきであり、それが認知症という状態になった国民を護る役人の取る行動ではないか。

 ここのグループホームでは、実地指導の役人に「私もここにいる人も、そんなおかしなことはしません」と婆さん自身が反撃したため指導は引っ込められたようだが、引っ込めさせた婆さんは天晴れ! としても、実地指導という権力を振りかざす場面での出来事としては、情けなさすぎるお粗末な話である。
 「尊厳」「個別」「利用者本位」「自立支援」「能力に応じ」といった理念の普及と実践に研修や補助金事業など多額の税金をかけながら、片方でそれを阻む言動を平気でする役人に多額の税金が使われるという、重大な社会的損失状況だと気づくべきである。
 お上は事業者・従事者に研修を義務づけるなど「質」を担保することには目を向けているが、自分たちはどこまで研修を積むなど研鑽しているのだろうか。
 行政も事業者も一体となって質を追求すべく「国民としての生活を護るために共有すべきことは何か」について議論し合うことが必要であり、議論し合える関係づくりが必要だと感じた。
 実地指導や情報公表制度におけるヒアリング等に、そこで暮らす主役の婆さんがどんどん参加できるように支援していくことも必要だと感じたし、それが「変えていく」一番の効果策なのかもしれない。


コメント


初めて投稿します。

今日、まさに、とある研修に参加した際にその話を聞きました。天晴れですね。

実地指導に利用者を参加させるべきだと、力説していらっしゃいました。
今日の講義でその方は、ご自分の体験も含め楽しく話して下さいました。
和田さんの口車にまんまと乗せられ、バイクで8時間もかけてトークライブへ行かれたそうですね。

男の人って、いつまでも少年なんですね。

私は数年前に品川区の研修に参加し、和田さんとは何度かお会いしています。
キンキラおばさんの居た施設の職員です。

今は、同法人内のグループホームに異動になり4ヶ月。
特養とは違い、生活全ての支援となり、楽しい時もありますが、まだまだ葛藤の日々です。


投稿者: ひちゃこ | 2011年05月23日 23:12

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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