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和田行男の「婆さんとともに」

和田さん総理だったら…

 再び短命で総理が下りた。
 何となく総理大臣の交代が年間行事計画になってしまった「我がNIPPONちゃちゃちゃ!」であるが、僕が総理だったらこの場面ではこうしたのにと偉そうに思うことが何度かあった。その一端を書いてみたい。

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 鳩山の失速の原因は大きくは二つで、それは「出来事」ではなく「進め方」を誤ったのではないかと思っている。僕ならこういう風に進めたのにと思えることをのべてみたい。
 まず普天間である。
 国民の支持により民主党政権が誕生した。その役割は「チェンジ」である。これまでの自民党政権に嫌気をさしている国民は、まさに熟した果実のように、ぐっとこらえてはきたが、こらえきれず落下したかのように民主党政権を誕生させた。それは「変えてほしい」からに他ならない。
 だとしたら、オバマ大統領に初めて会ったときに「普天間の国外移設へのチェンジ」を言い渡せばよかったのだ。国民の願いは「チェンジであり」、そのひとつに普天間の基地問題もあるということなのだから。
 ただ、それを受けたアメリカが「OK」とは即答するはずもないことは簡単に予測できる。でも、まずは一国の総理として国民の支持を得た政権を代表する者として、その政権が掲げる方針を伝えるのは当然の義務であり、まずは伝えることで国民は「動いた」という評価になっただろう。少なくとも沖縄県民は「選んで良かった」と思ったはずだ。
 そしてすかさず記者会見をして、こう言えばいい。
 「アメリカもチェンジの大統領を国民が選んだ。わが国も国民の意思で政権をチェンジした。これまで積み重ねてきた日米関係を大事にしていくことを確認した上で、これとこれとこれはチェンジしたいと大統領に伝えた。そのひとつが普天間基地の国外移設である。アメリカ大統領の判断を国民の皆さんとともに待ちたい。」と。

 だが問題はそこからである。そのままアメリカがOKすれば一件落着だが、そんなわけはない。でも、日本はアメリカの判断待ちであるから「攻め手」である。次のアメリカの出方が「NO」という回答になってからが勝負だ。
 どうしても国外移設が難しいとの結論に至るまで、交渉は何度でも重ねる。わが国の決意の表われを示す。そうなれば外務大臣や防衛大臣がアメリカとの交渉に出かけるたびに国民は「がんばれ!」と応援してくれただろう。それでもアメリカの回答が「NO」ということであれば、これは民主党政権の姿勢の問題ではなく、別の問題となる。
 つまり、こうなると「普天間基地の国外移設」という課題ではなく、日米同盟体制の是非論になるが、先の衆議院選挙でも、日米同盟の是非を国民に問いかけておらず、また国民も非を唱えていないのだ。
 だから和田さん総理としては、腹の中では「日米同盟関係は是を前提にして物事をすすめる」という自然な道を歩く。
 アメリカが「国外移設では軍の役割が果たせず日米同盟にも影響がある」など、どんな理由であれ「NO」という見解を出し続けてきたら、和田さん総理の次の一手は全国都道府県知事に緊急に集まってもらい、知事たちに相談にのってもらう。
 まず知事に、日米同盟の是非を問う。是と答えた知事に絞り込んで、その中からすでに日米同盟関係に基づく米軍の基地を受け入れている都道府県を除く。つまり、日米同盟は是と考えるが米軍基地がない都道府県の知事だけを対象にして「引き受け」を依頼し、この時点ですぐに国民に対してメッセージを出す。
 「私は、政権公約に基づきアメリカに対して国民の総意として普天間の国外移設を伝えた。何度も交渉をしてきたが、アメリカからは日米同盟の存続に係る重要な事態を招くため、国外移設は不可能との回答に至っている。これ以上強行にすすめると日米同盟関係を壊しかねない。私は国民の総意を代表する一国の総理として、普天間の国外移設についてはお約束したが、日米同盟の解消とまではお約束していない。また少なくとも半数を超える国民から日米同盟を絶てという声が聞こえてきているわけでもなく、自分も政権も政権与党も野党の多くもそうは考えていない。そこで米軍基地をどこかに設置すべく全国の都道府県知事に対して、日本国として普天間に替わる必要な米軍基地をどこかに作る必要があり、少なくとも日米同盟に総論として是を唱え、米軍基地がない都道府県の知事に協力を依頼した。あとは知事の判断を待ってアメリカと交渉したい。どこからも受け入れ表明がない場合は、そのときに改めて考えます。国民の皆さん、もう少し時間をください。」と発表する。
 総論では日米同盟を是としながら各論では自分の県に基地は持ってこないでほしいと言う知事たちや、総論では日米同盟の堅持を唱える政党に投票しておきながら各論ではうちの町に米軍基地は要らないなどと他人事のように発言する国民を逃がさないために、先手を打ち攻勢のうちに事を進めていく。
 そうした過程を経て、それでも万が一自民党政権が合意した移転案に戻ったとしても、誰も文句は言えないということになり、むしろ国民が無関心も含めて是としている日米同盟関係維持のために和田さん総理はがんばった。日米同盟関係維持の応分負担のためにがんばった。最後は相手のあることであり、アメリカの意向も合わせる中で素案に回帰したのは仕方がない。ということになるのではないか。
 しかも和田さん総理はこれをきっかけに、日米同盟関係において必要な米軍基地の負担を応分負担すべく案を都道府県知事に投げかけて他人事にさせないところまで進め、このことを通して獲得できるものをひとつでもふやす方向で考えて進めただろう。

 次に高速道路の無料化、子供手当てなど税金出費施策の件である。
 和田さん総理なら、こうした公約に掲げた施策に反対意見をもつ官僚や学者やジャーナリストなどを集めて大臣と一緒に声を聞き、意見を交換する。
 その中で大事にするのは、民主党が掲げた「人に優しい国づくり」の視点から問題提起をしてもらうということだ。
 民主党が公約で掲げたことを実行に移すに当たって一番大事なことは、国民生活にとって目先の公約実現よりも、中長期的な視点から公約を実効性の高いものにすることである。
 もうひとつは財源の面であるが、これは政権を担った時点で、景気の低迷で税収入がかなり落ち込むことが予測できていたのだから、すぐに記者会見してこう言う。
 「民主党の政権公約を支持してくださった国民の皆さんに報告します。わが国は景気の後退期にあり税収が○兆円も落ち込んでいます。皆さんにお約束した公約をこのタイミングで実現するのは中長期的に見て、かえって危険だと考えています。私たちにとっては約束違反と言われるかもしれない厳しい選択ではありますが、国家を滅ぼしては元も子もありません。ここはじっくりと、景気対策を講じていくのと同時に、支出の見直しを徹底的にすすめ、財政の健全化を図ることを優先したいと考えます。ただ今年度分の事業仕分けを行うことで歳出の優先順位を切り替え、次の時代を担うすべての子供たちが高校に進学して勉強することを保障するために、公約にあげた高校授業料の無料化を、親の世帯所得が○円以下の場合に限ってですが行える見通しは出てきました。合わせて各省庁で、1:歳出事項の優先順位切り替え、2:公的資金投入の必要性の見直し、3:発注業者・発注価格の透明化など、税金の使われ方の問題点を洗い直していくことと、未来に向かって赤字国債の発行を自民党政権時代より抑えることをお約束します。」
 とメッセージを出した。
 このことによって、政権が公約を護らないということではなく、より政権政党として公約の実効性を高める=単純な公約実現よりも国民生活を豊かにすることを優先して考えているということが国民に伝わったのではないか。
 和田は政治家でもないし物事をほとんど知らない人間であり、今の立場だから勝手なことが言えるという気軽さにある。だからこそ勝手なことが言えるということが前提だが、鳩山はいつも「後手」に回っていたように思う。だから全てが弁解になってしまう。弁解に回るほど時間をたくさん要するので効率が悪く、周りにも良い印象を与えないから、ますます追い込まれていく。
 やはりいつも「先手」を打つことが大事であり、「先を読んだ一手」の模索に時間をかけ沈黙して非難を食らったとしても、その後はある意味「余裕」で、まさに流行語になった「想定内」だからばたつかない。後に結果を生むのだ。
 これは単なる「和田さん総理」のたわごとだが、僕はものすごい大きな意味合いをもってこの問題を投げかけているつもりである。
 僕にとっては鳩山総理からたくさんのことが学べた。メッセージを出すことを求められる位置にいるものとして、学ぶべきことがあったと勝手に思い込んでいる。
 次の総理には是非ブログを読んでいただき、ちょこっとでも参考にしてもらえれば大満足である。ハハハ


コメント


 和田さん、皆さん、こんばんは。

 私が今・・一番聞きたかったことは、今回のブログ内容です。そして、大変勉強になりました。
 もし、自分が総理だったら・・・どうする?鳩山元総理に対して物凄い不満を抱えながらも答えが見つからずに、ずっと考えていました。
 沖縄「ひめゆりの塔」広島・長崎「原爆」この惨劇を記録と映像してでも見れたものは、このように判断できないのではないかと、鳩山総理のくだした決断を読みながら思いました。
 でも、自分だったらどうするか?アメリカを敵に回せるほど、日本は強くはありません。でも、「NO」と言えるのだろうか、では、どうするばよいのだろうか・・・ずっと考えていました。
 鳩山元総理が和田さんのような行動を、もししたのならば国民が鳩山総理をここまで悪くは言わなかったと思います。それどころか英雄になっていたかもしれないのです。結果はどうであれ、「NO」と言ってくださったのですから・・・。

 沖縄の痛みを・・広島や長崎の痛みを少しでも知っているものには今回の決断が、どれほど頭にきたか・・・。私も、そうです。ぬか喜びをさせておいて最後は「やっぱりだめでした・・・」ふざけんな!!!と思いました。でも、自分だったら・・・何度も考えましたが、答えが出ずに・・・。
 和田さんは、やっぱり凄い・・・再確認しました。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2010年06月07日 21:54

 和田さん、いつもありがとうございます。
 まるで、担当者会議やカンファレンス会議そのものですね。日本国か利用者かの違いですが、進め方は、同じではないかと・・・ついつい思いました。


投稿者: 田舎者 | 2010年06月10日 13:43

和田さん 初めて発信します。
い つも和田語録から仕事のヒントを頂いています。今回の和田さん総理・・も全くもって、現状打破のヒントになり、感謝です。
 『ほらー和田さんも言ってるよー、鳩山さんのように後手ごてになったらあかんのよ』と、問題を抱え、ご利用者のカンファレンスを迷っているサービス提供責任者に、即実行を提案でき、進め方に関しても一緒にブログを参考に、言い渡す事の大切さ(相手が変わらない事は十分予測できても!)、ヘルパーさんを集める(知事を集める・・とはちょっと違っても)、サ責は何度でも訪問・折衝(交渉は何度でも重ねる・・)、メッセージを出すタイミング!等など、私達の現場に置き換えて、相談出来ました。なんとタイムリーな発言だったかと、感謝です。
 今回の発信は和田さんの仕事の進め方そのものではないかと、再認識しました。
 うーーん、再度感謝です。
 私は在宅・ヘルパーステーション勤務です。数年前、和田さんの勉強会に出席し、会の終了後、相談に乗ってもらった経緯があります。その時、和田さんから、ヘルパーさんは点での支援、認知症の方には線と面での支援が大きな要素で『点の援助はイメージできないんだよねー』との返答があった経緯があります。
 それ以来、どうすれば、点を少しでも線にできるのか考え続けています。私の目標です。この発信に対しても感謝しています。これからもヒントを頂き続けたいです。


投稿者: 西野 マリ | 2010年06月11日 12:50

なんですか・・・??点と線って・・・


投稿者: ケアマネジャー | 2010年06月11日 19:48

”なんですか・・??点と線って・・”
と投稿してくださったケマネジャーさんへ

 私も和田さんに 巡回訪問のヘルパーさんは”点”の支援と言われるまで、その概念はなかったのですが、言われてみれば、ご利用者の日常生活の中にへ入っていくスタイルはそのものズバリだなと思いました。まして認知症の方への訪問は受け入れてくださる側からも点だなと納得した次第です。
 私達に出来ることはそれを出来る限り、線と面に出来るよう、イメージし、関わっているメンバーと介護者の方も含め、情報の収集、周知、返信、変換、また収集、周知、同意、(こ(どうもわかりにくい表現ですが)と繰り返し、ねばり強く動いていく事で少しでも有効な支援に近づいていきたいと思っています。
 


投稿者: 西野マリ | 2010年06月14日 11:17

 点があって、点と点をつないで線にしていく作業は、訪問も通所も大型施設もグループホームも同じ?じゃないんですかね?巡回ヘルパーのことは詳しくわからないですけど。

 仮に自宅で寝たきり状態にある方のオムツ交換や体位交換を主とする援助内容があったとして。(体位交換で)ゴロンと反対側を向いた時、数時間ぶりにその人が目にする新鮮な光景の中に、とても汚れた窓があっても、拭けない。汚れが気になるだろうな、窓の向こうの移り変わる光景を見たらどうだろうかと思っても拭けない。巡回ヘルパーが点の支援っていうのは、制約とかそういう意味でもありますか?
 点と点をつないで、その人が自宅で生活することをそっと支えられるなら、その日その時間に訪問するヘルパーの小さな1点は、ものすごく大きな意味がありますよね。


投稿者: こま | 2010年06月14日 18:23

 西野さん、こまさん、とても勉強になりました。ありがとうございました。


投稿者: ケアマネジャー | 2010年06月15日 10:29

こまさんへ

 こまさんの質問には和田が28日のブログでお応えしますね。お待ちください。


投稿者: わだゆきお | 2010年06月15日 16:46

 沖縄慰霊の日の菅総理の発言に立腹してますが、なぜ終戦後ずっと沖縄や岩国などに基地があって思いやり予算まで?
 思いやり予算や自衛隊の予算を福祉に回してもおつりがあると私は思うんだけどなぁ!介護保険に後期高齢者医療費に消費税10%?
 あぁ日本はいずこへ行く難破船か?アメリカに媚びる犬で良いと思っとるんかなぁ?お金持ちには貧乏人や高齢者の苦しみ理解できんなら布おむつで排泄したり寝たきりの生活を半月で良いから体験していただかんとあかんかなぁ?
 あぁ情けない国家リーダーよ(怒)


投稿者: たま@福山 | 2010年06月30日 03:32

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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