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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

「ほめ言葉」の力

 9割の人は、ほめられて育つ。

 「私は、ほめてもらわなくても結構ですから」と斜に構えている人でも、その人の素敵なところ・優れているところをフィードバックすると、本人は「いやぁ…(笑)」と、照れながらもまんざらではない顔をされます。

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 あるケアマネジャーの研修会で、「毎月の訪問がマンネリになっている」という悩みを耳にしたことがあります。
 私は、毎月の訪問はモニタリングであり、再アセスメントの機会であるという話をした後に、このように提案しました。

 「利用者(家族)の方をほめに行こうと思ったらどうですか?」

 利用者(家族)の方々は、とても不安でつらい日々を送られています。そこにかぶせるように、「大変なこと・できないこと」ばかりを質問してしまうと、答える身としては追い打ちをかけられているような気分になる人もいることでしょう。

 むしろ、素敵なこと、頑張られていること、できるようになったことや、過去のこれまでの人生の歩みや趣味・特技などを素直な気持ちで「ほめる」ことができるなら、利用者(家族)の方々は皆さんが来られるのを待ち焦がれるはずです、と。


 では、いざほめようとすると…これがすぐには言葉にならないのが本音ではないでしょうか? 「いいですね」「すごいですね」「立派ですね」くらいしか思いつかない。

 つまり、「ほめ言葉」の種類、語彙(ボキャブラリー)が貧困なわけです。その理由は、私たち自身が、あまりほめてもらうことなく日々を過ごしているということに理由があるのですが…(^_^;)

 どれほどアセスメント力があり、相手に共感をしていても、的確な「ほめ言葉」が出てこないと、ぎこちない空気が流れたり、わざとらしい言い方になったりします。
 では、どうやったらほめ上手になるのでしょうか。

 それは、状況に合わせ、相手に合わせて、うまく使い分けること。
 そして、褒め言葉のレパートリーを増やすこと。
 これらは、相談援助職としても大切なノウハウの1つです。


 次に、どうやってほめればよいか、「正しいほめ方」の5原則です。

 (1) 事実を具体的にほめる
 (2) 相手に合わせたほめ方をする
 (3) タイミングよくほめる
 (4) 先手をとってほめる
 (5) おだてず媚びることなくほめる

 要するに、「素晴らしいですね」「お元気ですね」とほめられても、抽象的なので利用者(家族)はピンとこない。
 「お孫さんに〇〇を贈るために編み物を頑張っておられるんですか。素晴らしいですね」「お料理を5品作れるようになったんですね。すごいです」「奥さんの食事介助が上手になられたとヘルパーさんから聞いています」

 このように、必ず、具体的にほめましょう。

 ほめる内容は利用者さん次第です。インテリで物知りをほめられるとうれしい人もいるでしょう。気配りや身づくろい、話し方や話し声、ファッションのセンスなど、利用者(家族)の方にとってほめられてうれしいところは異なります。
 本人が大切にされていること、こだわっておられること。まずはそこからほめていきましょう。


 あとはタイミングも大切です。できるだけ、「すかさず」ほめる。そして「先にほめる」。
 つまり、先手必勝もほめる達人になるポイントです。

 ただし、媚びるのはよくありません。事実でないことを「あたかもすごいこと」のように持ち上げても、相手にとっては「おだてられている」ことにしかなりません。それを「媚びる」といってもいいでしょう。

 「ご機嫌取り」と「ほめること」は違います。ですから、「心をこめて」ほめることは人としての礼儀です。そして、他の人がほめていたということを伝えると、さらに効果的だったりします。

 「毎朝テレビ体操をされているんですってね。医師(先生)もほめておられましたよ」
 このように「第三者の影響力」と使ってはどうでしょうか?


 でも、いきなりほめ上手にはなれません。
 まずは次の訪問までに、「ほめる要素」を探すこと。だから常にメモを取りましょう。できれば声に出してみるのもいいですね。
 そしてほめるフレーズのレパートリーを増やしていくことです。

 「~をされていて、本当にマメですねぇ」
 「お料理が上手ですねぇ」
 「〇〇をおいしそうに食べられますねぇ」
 「いつもオシャレですねぇ」
 「~さんは笑顔が素敵ですねぇ」

 利用者(家族)の方から信頼の厚いベテランケアマネさんは、実は何気なくこのようにほめることをされています。
 まさに、利用者(家族)の方のモチベーションをあげるために、「ほめ言葉の力」を上手に活かされているというわけです。

 皆さんも、ちょっと真剣に思い切って「ほめ言葉」を口に出してみましょう。利用者(家族)の方や周囲の同僚の笑顔に、きっと出会えますよ。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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