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和田行男の「婆さんとともに」

「知恵と工夫格差地域社会」の到来

 下の写真は、市と地域包括支援センターなどが知恵を出し合ってつくり、市民に配布しているマニュアルだが、なかなかステキなものである。
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 愛知県江南市で、認知症サポーター養成講座等で配布されている「ポケットマニュアル」。
 常々思っていたしブログでも書いてきたし、あちこちで言ってきたが、いくら認知症の知識を市民に詰め込んでも、知識をもった人が人に関心を寄せない人なら宝の持ち腐れやし、関心を寄せた人が「おやっ」と思った人に声をかけることができたとしても、そのあとどうすればよいのかで戸惑ってしまうようでは不安であり、不安があれば声をかける人を増やすことはできない。
 そうしたことに応えようと作成したのが、このマニュアルである。大きさは保険証と同じなので、財布やカード入れに収まる。
三つ折になっていて、表表紙が先の写真、裏表紙には、「気になる方を見かけたらまずはご連絡ください」と呼びかけ文があり、全地域包括支援センターの連絡先が書かれている。

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 表紙を開けると「こんな方を見かけたら」と書かれ、開くと「そんなときはこうしてください」とあり、声をかけるポイントが書かれている。

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 市民が、認知症サポーター養成講座に出たあと、町の中で「おやっ」と思った人に出会ったとする。
そのとき、財布の中に忍ばせておいたこのマニュアルを思い出して開くと、「おやっ」と思った人のことを、マニュアルに書いてある「こんな方を見かけたら」の「こんな方」に相当する人ではないかと確信でき、「こうしてください」&「ポイント」に沿って声をかけることができ、自分でどうしてあげたらよいかわからないときに地域包括支援センターに電話をすることができる。
 となると、勇気をもって声をかけられるのではないか。かけられる人が増えることは間違いないだろう。
連絡先を書いたカードみたいなものを配る地域は見たことあるが、ここまで丁寧なものは見たことがなかった。どうせサポーター養成講座をやるなら、ここまで丁寧にやると効果的やね。
 いよいよ「地域包括ケア」が国の施策として取り組まれることになる。いろいろ難しく言われているが、根っこは「人と人の関係」にあり「人への関心」にある。
 つまり、「人と人の関係がある地域、人に関心を寄せ合う地域」をどう構築するかにあり、その環境を整える知恵や工夫が、それぞれの地域住民や行政マンや政治家に求められるということだ。
 その意味では、地域による「知恵と工夫の格差」が益々出てくる時代に突入するといっても過言ではないかもしれない。

追伸
 介護福祉士の国家資格取得試験が終わったようだ。「やった」と思っている人もいれば、結果を待たずして落胆している人もいることだろう。
 試験の時期になると思い出すのが、後輩の実技試験の話。
 後輩は二十代の男性。実技試験の内容は、服を着替えさせてリビングに出なさいといったようなものなのだが、模擬高齢者役は女学生。
 試験という緊張だけでなく、服を着替えさせるために若い女性に近づく緊張ではちきれそうになり、模擬高齢者役の女学生の服にまで手が出てしまい「何するんですか」と言われ、そこで「Boo!!」おしまいとなった。
 話を聞いたそのときは大笑いしたが、すぐに「そりゃないよな」ってみんなで怒りが…。
 試験で普段の実力を出せるのが実力と言われれば「そうかな」と思わないことはないが、わざわざ出しにくい状況下にして試験をさせるのも問題ではないか。
 毎年、そんな馬鹿な話で落胆している受験者を生んでいないか気になって仕方がない。いつも梅が満開の時に思い出す。
 もうすぐ春やね。


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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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