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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」 2009年12月

一緒にいてもひとり(part2)

 今週も、『一緒にいてもひとり』(カトリン・ベントリー著、東京書籍)の感想について。
 ギャビンは経済的に養ってくれる誠実な夫であり、素敵な家も与えてくれた。ギャビンはいつも自分の話を聞いてほしがったが、カトリンが話す番になったときは、夫はすぐに話に興味を失った。ギャビンは、自分が興味をもたない「感情」について話すのは無駄だと考えていた。話を聞く際には、相手の目を見ると気が散るので、ギャビンは目をそらせていた。彼の感情は目に現われなかった。「ぼくは君の心配事まで聞きたくない。ぼくは自分のことだけで精一杯なんだ」。
 ぼくは今まで「人間は感情の動物だ」と思っていたけれど、どうも違うようだ。しかしギャビン自身はよく怒りを爆発させてはいる。感情を小出しにすることが苦手なようだ。



一緒にいてもひとり(part1)

 ある朝、いつものように魚を焼く。
 夫はじゅうじゅうと音を立てている魚しか食べない。
 いつものとおりタイミングを計って食卓に出す。
 リビングの隅で、夫は新聞を読んでいる。
 「ご飯できたわよ」背中に話しかけても返事がない。
 「ご飯、できたよ」しばらくして話しかける。
 夫は新聞から目を離さない。
 どうしよう、魚が冷めてしまう…。
 魚が冷める頃、夫はテ−ブルにつき、
 魚の上に手をかざし、温度を測るふりをした後、
 魚の皿をわきに置く。
 「俺にこんな冷めた魚を食わす気か」
 じっと魚の皿を睨み付ける。

 私はまた立ちすくむ



阿久根市長の発言

 ブログ市長として有名になり、市政改革を行っている阿久根市の市長が、自分のブログで次のような発言をした。

 「全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない」。その通りだ。精神科の医者なら、電気ショックの知識と新薬数種類を知っていれば勤まっています。
 そして次の部分がマスコミでやり玉に上がっている。
 「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果擁護施設に行く子供が増えてしまった。「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ」と、いかにも「障害児は死んでくれたほうが」と言わんばかりだ。



閉鎖病棟からの告発

 『閉鎖病棟からの告発』(八木美詩子著、アットワークス)という本を読んだ。

 …ふっと、背中に人の気配を感じて振り向くと、鬼のような顔をした主人が私の頭に布のようなものを被せてきた。「うっそー、冗談はよして…」思うや否や主人が馬乗りになり、首根っこを押さえてきた。フローリングに押さえつけられたので、息ができない。「やめて!」思わず押さえている腕を苦しまぎれに引っかいた。何が起こったのかと思っていると、ダッダッダッと勝手口の方から数名の走る音がしたと思いきや、両手両足を押さえられた。その時、被せられた布切れがはずされたので見ると、左腕のシャツが巻き上げられ、注射針が…。「あっ」そこで私の意識は途絶えてしまった。



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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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