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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

映画セットで回想法

 認知症ケアで回想法はすぐに試すことができる手法として定着してきました。回想法に役立つ本、ビデオもずいぶんと出版されていますから、みなさんも何冊か手に取られたことと思います。

 今日は、回想法を言葉のやりとりだけでなく、ハード面から思い切ってやってしまおうという、かなり大胆な試みをご紹介します。
 というのも、先日、私が懇意にしている愛知県の施設長さん、制野 司さんから、メールとデジカメ写真が届いたからです。

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「私も日々忙しい……いや充実した毎日でございます。回想法も法人内で浸透してきており、独自性・魅力作りをしつつ今度はそれを楽しめる職員作りをしていきたいと考えています。
そういえば、連絡し忘れていたかもしれませんが昨年4月より施設を異動いたしました。現在はみよし市にある「安立荘」という特養におります。また、時間がありましたらお寄りくださいませ。それでは、突然のメールすいませんでした。
また勝手ながら当施設の空間写真を何枚か添付いたします」

 添付されていた写真を数枚ご紹介しますね。
2010092701.gif
 ご覧下さい!!!
 この懐かしの家具の数々。ミシン機なんて泣かせますね。昭和30年代のテレビは白黒で、チャンネルをガチャガチャしていると、「あれ!抜けた!」という経験をした人も多いんじゃないですか?
 ラジオも大きいですね。ここから、日曜日の「のど自慢」や年末の紅白歌合戦が流れ、みんなが聞いたのでしょうね(真ん中の最新式の薄型テレビは回想法のビデオが流れる仕組みです。念のため……)。

2010092702.gif
 50代以上のみなさんなら「なっつかしい!」と声を上げそうな教室風景ですね。私は京都のど真ん中の中山間地、その名も山国小学校(そのまんまですね(^_^;))で6年間を学びました。6年前に統合されて名前も消失しました。(涙)実は、私が入学する10年程前までは、その山国小学校から約10数キロ離れた小塩地区に「分校」がありました。まるで「二十四の瞳」に登場しそうな小さな分校です。その教室を思い出しますね。

2010092703.gif
 施設内には、なんと懐かしい銭湯の絵まで登場しています。
6年前、制野さんが愛知県高浜市の「安立荘」の施設長になった時に「今度、施設内に昭和横丁というのを作るので見学に来て下さい」と言われて取材にうかがったことがあります。昭和を思い出す当時の暮らしぶりが、映画セットのように再現されていて驚きました。風呂場もそうです。暖簾も銭湯風、脱衣所も服を入れる簡易ロッカーも銭湯風な凝りようでした。制野さんの弁です。
「高浜市はもともと瓦づくりの町で、若い頃にその仕事をされていた方がとても多くいらっしゃいます。民家に残っている瓦づくりの道具などをお見せして手に持ってもらうと、認知症の方もたくさん話をされるようになりますね。手続き記憶ってあるんですねぇ」

 実は、民俗学と福祉・介護がとても「相性よく」コラボレーション(共同作業)できている実例が「回想法」をきっかけに全国で始まっています。市町村にある民俗資料館は独立採算になって、ただ見学者を増やすだけでなく、積極的に地域に打ち出していかなくてはいけない立場に立たされているのも、背景にあるようです。
 そこで考え出されたのが「回想法キット」。昭和の道具が山のようにあるのが民俗資料館です。農業ならば「鍬、鋤、鎌」から稲作なら「脱穀機、ムシロ」など、展示できないくらいあります。
 民具には、日常生活の衣食住に関わる道具、儀礼や信仰に関わる道具、娯楽・遊戯のもの、そして生業に関わる各種の道具類まであります。まさに民具とは生活全般の中で伝統的に共有され、伝承されてきた道具たちです。民具そのもののなかに「記憶を呼び覚ますきっかけ」や「会話の糸口」が盛り込まれています。

 これらの道具類を回想法でいかせないかと、試行錯誤の末に考案されたのが「回想法」キットの「レンタル民具パック」で、飛騨の山樵館では貸出までやっているようです。
 (ご興味ある方は『福祉のための民俗学』(岩崎武彦編)慶友社刊

 昭和を感じさせる飲み屋さんやカフェも地方に行けばずいぶんと増えました。20~30代のみなさんは、まずは昭和の体験をしてもらうと、利用者(家族)の方との「関係づくり」に役に立つと思います。


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コメント


 先生、お元気ですか?
 先週のTDLの話すごくよかったです。うちの施設でのISOの講義でも出てました。一度はキャストになりたいと思ったこともあり・・・・。
 研修行きたいと思います。職員のモチベーションを下げないためにも!企画してみようかと思います。
 ところで
 昭和の時代は大好きで私も時々浸りに?いきます。昭和よりもっと前の時代にもなりますが、「飛騨の里」は素晴らしい家々の数々・・それこそすべて本物だけど「セット」にもみえる。昔の人たちの知恵がいっぱい詰まったお家を見に来てください。
 飛騨の山樵館て地元のですよね?貸し出しキットがあるなんて知らなかったです。私の小さい頃はまだ、白黒テレビにご飯はかまどで炊いてました。外で五右衛門風呂にも入ってたし・・(笑)
 年齢がばれますね~。
 すっかり秋らしくなってきてます。体調崩されないよう気をつけて下さい。来週お会いできること楽しみにしてます
追伸>月刊ケアマネジャー10月号はずかしながら・・・。


投稿者: kobajun | 2010年09月28日 21:37

kobajunさんへ

 飛騨ならば、家並みなら昭和そのものから大正ロマン、いえいえ明治の匂い漂う家々までありそうですね。
 また飛騨の地にうかがいたいなと思います。

 月刊ケアマネジャーのグラビア、拝見しました。このブログを読まれた方、ぜひとも月刊ケアマネジャー10月号を開いてみて下さい。

 そこに「kobajun」さんがいますよ!(^^)!


投稿者: たかむろ | 2010年09月30日 17:51

月刊ケアマネジャー読みました(^^)

と・・・ブログのコメントではなく「kobajun」さんをみました!という感想になりました♪
素敵ですね〰 これからもご活躍ください。

昭和の雰囲気、いいですね!
子どもの頃、冷凍庫付きの小さな冷蔵庫が我が家に届いたときに、大はしゃぎしたことは忘れられません。氷は貴重な「食べ物」でした。

先日、久しぶりに田んぼの土手一面に彼岸花が咲いている景色を目にしました。
なんだかとても懐かしく、随分昔に遊んだような・・・つい最近のことのようにも思えたり。

こんな昭和の出来事が、利用者さんやご家族の方にはどのような想い出とともによみがえるのでしょうか・・・酸いも甘いも・・・ではありませんが、嬉しかったり辛かったり、いろいろな思いが交錯するのでしょうね。

では、また先生のブログを楽しみにしています☆


投稿者: 桃太郎 | 2010年10月02日 10:26

桃太郎さんへ・・・

 お久しぶりです!(^^)!

 彼岸花・・・いいですね。私の大好きな絵本の一つに「花咲き山」(斉藤隆介作・滝平二郎絵)があります。山に迷い込んだ村娘・さきの目の前に広がる彼岸花。あの光景はとても印象的ですね。

 だから私も田んぼの土手に一面に咲く彼岸花が、とても懐かしく思い出されます。

 だれにもある原風景や心象風景・・・

 そんなことを空想しながら高齢者の方と話していると、はるか数十年前にタイムスリップできそうですね。
 
 また気軽に書き込み、待っています。
 すぐにお返事書き込みできずに、すみませんでした。


投稿者: たかむろ | 2010年10月08日 21:44

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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