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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

チェルノブイリネックレスpart1

 今日のマットグロッソでは、どこかの素敵なお姉さんがお客さんで来ていて、クリスちゃんがその対応をしている。赤と青の光を放つ小さなネオンテトラを全部で5匹すくって、ビニール袋に入れた。お姉さんは茶色の小銭入れから500円玉を出して、クリスちゃんに渡した。ビニール袋の中では、ネオンテトラたちがそれぞれ、素早く動いていた。そのとき、お姉さんの首にある、細い皮のネックレスに目が止まった。「どこかちょっとロシア風かな?」と思った。クリスちゃんは「ありがとうございます」と言って袋を渡した。お姉さんはドアから外に出て行き、クリスちゃんはお金をレジに入れて、「ふ〜」と息をつき、お客用の丸イスにドンッと腰掛けた。

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 ばび「チェルノブイリネックレスって知っていますか?」
 クリスちゃん「今のお姉さんのネックレスもロシア風でした」 
 ばび「チェルノブイリネックレスって、実はチェルノブイリ事故の後、児童に甲状腺がんが爆発的に増えて、その手術後の首の傷のことなんです。事故当時はみな幼児だったので、いまでは手術痕のある若者になっているんです」
 クリスちゃん「そうなんですか•••」
 ばび「甲状腺がんは放射性ヨウ素が原因と言われ、甲状腺が膨らみ圧迫し、呼吸が苦しくなるんだそうです。摘出手術には声帯を傷つけるリスクもあるらしいし」
 クリスちゃん「甲状腺がんは子どもがかるがんなんですね。」
 ばび「放射線で甲状腺がんになるのは女性がとても多いらしい。だから女の子どもが一番多く、次に多いのが男の子と成人女性、成人男性はとても少ないらしい。初めは鼻血や下痢、皮下出血として症状が現れるようです。すでに福島の多くの子どもたちから鼻血や下痢があることが、報道されています」
 クリスちゃん「大変じゃないですか!」
 ばび「だから国も福島の子どもを対象に、甲状腺がんの検査を始めるらしいです」
 クリスちゃん「大人の男の人は甲状腺がんにならないのですか?」
 ばび「そうなんですよ。だから『安全です!』とマスコミに出てきて断定する専門家は、オヤジばかりでしょう。山下長崎大教授は福島県に依頼されて、県内をくまなく講演して回っているのですけれど、『100ミリシーベルトでも安全です!』と言っているのです。日本の基準値は国際的にみても甘いのですけれど、それでも1ミリシーベルトです。それで『安全デマを飛ばすな!』と、民間から山下教授の解任を求める署名運動が起こっています」

 クリスちゃん「大人の男の人は甲状腺がんにならないのですね。だったらその教授は『100ミリシーベルトをあびても、私は大丈夫です! 心配しないで』って言うべきでは?」
 ばび「わっはっは、その通りです。原発推進派はみ〜んな男のオヤジばかりでしょう。危機感が無いのです!」
 クリスちゃん「でも実際に甲状腺がんが増えてくれば、推進派も放射能の影響を認めざるを得ないのじゃないですか?」
 ばび「いや、データや事実を隠し続けた専門家たちは、こんどは『甲状腺がんと事故との因果関係はない!』って言い張るに決まっています。だってその子どもたちがどのくらい被曝し続けたかも分からないし、低線量の被曝では、人体への影響の正確なデータがまだないのです。ホールボディーカウンターという内部被曝が測定できる秘密兵器が日本に100台くらいあるそうですが、それで全身を漫然と調べても内部被曝線量は数10分の1に低めに出るそうです。政府は23億円の予算をつけているそうですけれど。放射線が集まる、甲状腺や肝臓や腎臓、骨などを直接調べないといけないらしいし、髪の根毛と尿の検査は結構有効らしいです」

 クリスちゃん「ホールボディーカウンターって言うのですか?」
 ばび「全身をくまなく測定する大掛かりなもので、1日に10人くらいしか計れないそうです。」
 クリスちゃん「たとえ不正確でも計った方がいいのでしょうね。心配な子どもたちはみんな計ってくれるのかなあ?」
 ばび「国が認めた避難地域の子どもたちだけだろうと思いますよ、たぶん。原発から遠く離れた福島市の子どもたちの尿を調べて、全員からセシウムが検出されたそうです。福島県の小学校の給食では地産地消とかで、今でも汚染された野菜とかを使っています」
 クリスちゃん「•••。小さな子どものお母さんたちは、心配でしょうがないでしょうね」
 ばび「みんな汚染を避けて避難できるといいのですが、国も予算の限界があるのでしょう。みんな被曝を我慢させられています」
 クリスちゃん「•••」

(part2へ続く)


コメント


今の日本は、原発の維持しか道がないような
気がします。
私を含めた弱者が生きていくには、セーフティ
ネットは必要不可欠で、その財源は税金
ですよね?税金は企業が儲けて初めて生まれる
もので、その儲けの一要素が原発事業なのは
紛れもない事実です。
危険なものは止めたいのはだれもが望む事
ですが、その危険の一つの原発で、これまでの
日本は莫大な利益を上げ、今後も利益を出す
ためにその技術を輸出する流れは、私は反対
できません。
以上、私見に過ぎないので、不都合が
ありましたら削除されて構いません。(^^)


投稿者: PLANT | 2011年08月04日 13:06

 たとえば、地震国トルコが日本の原発を買いたいといってきているという話がありますが、事故の先輩国として「地震でいつか事故は起きる」と言ってあげるのが、普通の感覚だと思うのですが。汚染事故より商売が優先というのは、ぼくには納得できないです。
技術で言えば、核のゴミを管理する技術は、ただちに原発止めても必要な技術です。この分野で世界一になればいいと思います。


投稿者: 佐野 | 2011年08月06日 20:26

 汚染事故より商売が優先というのは、おっしゃる通りに成り立たない話だと思います。それこそ日本の品格を傷つける話だとも思います。
 どうも私は「なぜ反原発が必要なのか」という理由が全くわかっていないのだと思い、先日小出裕章氏著の「原発はいらない」を買って少しずつ読み始めた所です。
 知りたいのは、原発をやめて「既存の利益や税金をなくしてまでも確保しなければならないもの」です。


投稿者: PLANT | 2011年08月10日 04:44

小出先生はぼくも事故直後から注目していて、信頼できる人だと思っています。いまは毎日発言記録が公開されています。
http://hiroakikoide.wordpress.com/
核という自然界に存在しない物質が、環境を汚染して、生き物の遺伝子を切断して、しかも10万年も核のゴミを管理しないといけないと言うもので、安全な生活ともともと相容れない。経済的に見てすら核の技術を発達させてはいけなかったのだと思います。発電という利益は今の人が受けて、ゴミの管理は子孫に残すというものだし。
また小出先生の本の感想など聞かせて下さいね。


投稿者: 佐野 | 2011年08月11日 17:35

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
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