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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

「慣れ」がでない環境づくり

 前回のブログで紹介しましたが、全国的な大寒波は本当に大変で、北陸・東北・北海道地方など雪深い地域の高齢者の方々を支えるサービス事業所のみなさんの奮闘ぶりには頭が下がる思いです。
 雪は「寒さ」だけでなく、外を出歩くことを遮り、「重さ」は家を潰すくらいの威力をもちます。それに、凍ると足元にはとても危険で…そのなかで高齢者支援をされている事業所に、「積雪加算」なんてのはつけられないのかなと思ってしまいます。

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 今年度、三重県にうかがう機会が多いのも、県が取り組んでいる「複数事業所連携事業」のコーディネーター役をケアタウン総合研究所がお手伝いしているからです。
 そのタイトルも「みえ福祉連携プロジェクト」。三重県を3つのユニットに分け、1ユニット4~10の小規模事業所が集まっています。多くはグループホームか通所介護事業所で、NPOがあれば有限会社、それに社員が全員株主(つまり出資者)である企業組合方式のところもあり、実に様々。ただいずれも小規模なために、悩みも多く…。
 「県の研修にもなかなか職員を出させてあげられない」
 「もっと他と交流したくても、施設のような団体はない」
 「自分たちだけで研修するのはむずかしい」
 など、熱意はあっても、人材・資金・時間とノウハウがないためにできないことが多く、さらにそれが悪循環に陥ってしまったり。
 そこで国の予算もついたので、三重県では小規模事業所が「連携することでできること」をコンセプトに取り組んでいます。

 今回は第2回目の研修会です。午前中に私が「介護人材マネジメント~キャリアデザインとストレスマネジメント~」のテーマでかなり突っ込んだお話をしました。
 「介護職場、とくに小規模事業所の悩みは人事異動や配属転換など、大規模法人でやっているジョブローテーションができない点です」
 「働く人の側から、なぜ働くか・どう働きたいか、そしてどのようになりたいと思っているのかという視点で職員にかかわっていきましょう」
 などを話した後に…、メンタルマネジメントの視点から次のように問いかけました。
 「どうして援助する人が燃え尽きなければいけないのでしょうか?」
 「どうして援助することを志した人が虐待をしてしまうのでしょうか?」
 みなさん、とても真剣な表情でした。

 午後は、参加事業所の2人とミニパネルディスカッションです。
 そこで発表された高木冨美子さんの話の中にあったのが「慣れがでない職場の環境づくり」です。彼女はグループホームに勤める前、清掃会社のスタッフ教育を10年近くやってきた人です。そこは量販店を中心に清掃を行う専門会社で、なんと10日間の研修があり、うち3日間は理念教育に費やし、2日間は徹底したマナー教育というものでした。毎月1回の研修参加は義務とされていたようです。

 その彼女が言いました。
 誰もが慣れてくると楽を覚えます。楽を覚えると手抜きを始めます。それが実はとても危険なことです」

 つねに仕事は真剣でなければいけない。仕事に「慣れる」ことが、手抜きや見過ごしを生むようなことであってはいけないという主旨の話を、清掃の仕事も例にしながら、かなり具体的に話され、参加者の皆さんにはとても参考になったようです。いま彼女は、中央福祉学院で社会福祉主事の資格をとるためにがんばっているとのことです。

 小規模事業所の方々のなかには、とてもユニークな人生や体験をされている方がいます。従来の福祉やケアの枠におさまらない発想、「あればいいね・それやってみよう」のスタンスから始める実践には学ぶべき点も多くあるなあと今回も思いました!(^^)!。

ムロさんの写メ日記

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長崎県主任介護支援専門員研修会(長崎教室)の最終日。とても晴れやか(^_^;)なみなさんの全員ショットです。実は頭の中はヘロヘロだったりして。本当にお疲れさまでした!(^^)!

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神奈川県立保健福祉大学:実践教育センターでトータルケアマネジメント論を学ぶみなさん。私は「地域ケアシステム論」を1日講義しました。多くは現場のケアマネジャーの方で、1年間学ばれています

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名古屋市の介護サービス事業者でつくる「名介研」会員新年懇親会に先日お邪魔しました。そこでのパフォーマンスがすごかった。テノール歌手井之上雄大さんの歌唱に合わせて文字職人の杉浦誠司(せいじん)さんのライブ書道です。なかなか見ごたえありました

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文中の高木さんです。とても興味深い話でした

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三重のユニットミーティングの様子です。机の上には7つのグループホームで合同作成した職員募集チラシがあります。なんと7万枚を地域に新聞折り込みをしました

今週のメールマガジン「元気いっぱい」第212号は「自分とうまくつきあう」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


高室先生、こんにちは!

 今日、ニュースを見ていると特養のスタッフの現状が話されており、介護福祉士さんのコメントで「僕はこの仕事がとても好きです。熱意もあります。ただ、この給与と労働条件で結婚して家庭を持つことができるか不安です…」というようなコメントでした(正確さは欠いていると思いますがそのような主旨だったとご理解ください。)
 私の立場では給与体系などを解決するまでにはいきませんが、せめてメンタルマネジメントには力を入れていきたいです。
 小さな、過疎の町では町全体が一つの施設と考え、利用者さまやご家族の支援がそれぞれネットワークや一人一人のスタッフを大切にしながら、支援ができると良いと考えています!
 あったかいと感じる町になるためには、働くスタッフが健康で意欲を持って働くことができるような、そんな地域にしたいですよね…。


投稿者: 桃太郎 | 2010年01月25日 20:58

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

【高室成幸さんの最新刊】
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著者:高室成幸
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発行:中央法規出版
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