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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

原発うつやあれやこれや

 5月3日にSPEEDIの今までの膨大なデータがやっと公開された。SPEEDIとは日本が世界に誇る、放射線拡散予想システムだ。3月11日からの1時間ごとのデータが今ではつぶさに見られる。不安ばかり広がって一番データの欲しい水素爆発のあったときには、政府はパニックを恐れて公開しなかった。政府発表は今では多くに人に信じられていない原因のひとつだろう。

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 さていまは原発情報がマスコミから少なくなっている。理由は事態が進展しておらず、相変わらず汚染された水やちりを垂れ流し放出して、水を入れたりかけ続けるしかないのが現実だ。水の循環ポンプを取り付けるのに、作業員が建屋に入る予定だという。格納容器に直接バルブを取り付けるなど、正気の沙汰ではないが、誰かが死を賭してやらなくてはならない究極の3K作業なのかもしれない。大阪の西成と言えば日雇い労働者の街だが、宮城県の仕事とだまされて、原発周辺のがれきの撤去をやらされたというニュースも流れた。原発作業員のインタビューを読むと、原発への入退日や放射線量を管理している、原発手帳も使われていないとのことだ。完全防護でいまでも暑さとの闘いのようだが、夏になればどれほどの作業員が熱中症で倒れるだろう。そもそも地震列島に原発を建て続けてきたことも、正気の沙汰ではない。またさらに言えば、ネットでお勉強したにわか素人原発学者が大量に出現してしまったのも、とても不幸な事態だ。なんせ専門家だという人たちがテレビで科学的事実ではなく、妙に楽観的な希望的観測を述べるばかりだからだ。
 
 香山リカさんという精神科医が「いま『原発うつ』が多発している」と警告している。うつの薬を開発するのに、実験用のうつ病のラットが必要になってくる。そのラットはどうやって作るのか? 水槽の水面に、つかまるとくるくると回る円筒形の止まり木を浮かせておいて、水槽にラットを入れる。溺れたくないラットは円筒形の止まり木に必死につかまろうと、泳ぎ続ける。しかしくるくる回る止まり木には永遠につかまることができない。こうして放置すると、うつ病のラットができ上がるそうだ。つまり、ラットをいくら頑張っても希望が見えない状況に置くのだ。
 さて原発事故は「目に見えない」「いつ終わるか分からない」「誰を信じてよいのか分からない」と三拍子そろっている。これで緊張の持続に耐えられなくなった、真面目な人たちが「原発うつ」になるようだ。身近にもテレビの見過ぎで、調子をくずしてしまって、入院してしまった人もいる。

 うつにならないための気分転換にこんなホームページができたので、見てみてはどうだろう。とくるりと話題を変えて、CMタイムに突入。
ルーテル作業センター ムゲン
 連休前にムゲンのネットショップが開店した。祝開て〜ん! 拍手! パチパチパチ。まばらな拍手をありがとう。まぁ気を取り直して。
 ムゲンが古着物をリメイクした手織り品や洋服などを作って販売していることをご存知だろうか? あまり全国的には宣伝をしてこなかったのだけれど、ネットショップ開店で全国区に立候補した。みなさん、一回のぞいてみてください。日傘とかもありますが、放射能よけスプレー処理済みです。うそです。UVスプレー済みです。売り上げは精神障害のメンバーの給料になりますので、気に入れば買ってください。連休中に第一号としてマフラーが売れました!
 
 4月29日、内閣参与の東大教授小佐古委員が抗議の辞任をした。理由のひとつはSPEEDIのデータの公開をしていないことだ。これが効いたのか、冒頭で話題にしたSPEEDIのデータが公開された。もう一つの辞任の理由は福島県での小学校で運動場を使ってよい基準が年20ミリシーベルトに決定されたことだ。20ミリシーベルトは飯館村の計画避難の値と同じだ。さらに原子力従事者の限界値とも同じだ。飯館村では避難すべき、原子力従事者はこれが限界だと同時に、小学校では子どもが遊んでもいい、というわけだ。チェルノブイリでは5年後10年後になって、子どもの甲状腺がんが爆発的に発生して多くの子どもが亡くなった。手術で生き残った多くの若者の首に、手術の跡が残っていて、チェルノブイリネックレスと呼ばれているそうだ。このように放射線に弱い子どもたちを年20ミリシーベルトの環境で遊ばせてよいのか! というのが小佐古教授の言い分だ。国会でも取り上げられて政府も揺れているように見える。ちなみにSPEEDIのデータから4月24日までを積算して分かったことだが、飯館村での放射性ヨウ素の1歳児の甲状腺内部被爆は100ミリシーベルトだという。スピーディな避難が必要だろう。旧ソ連は科学の国だった。汚染地区から強制的に住民を避難させた。日本には土地に対する執着から、何とかしのごうとしている。政府もその情に流されているかのようだ。『表面』は情だが、実は『費用面』かもしれない。苦しい。(笑
 気になるニュース。避難所では原因不明の下痢をしている人が多いらしい。ヒロシマの患者さんを数多く診た老医師は原爆投下後、ヒロシマに入った人の多くに原因不明の下痢がみられた。もちろんストレスからの下痢の可能性もあるが、ヒロシマにそっくりだと言っている。
 
 辞任から数日後に小佐古教授がマスコミ発表をすると伝えられたが、官邸から「老婆心ですが、守秘義務があります」と言われて、マスコミ発表は中止された。官邸から「老婆心ですが、守秘義務があります。ところで東大の研究予算の審議は何月でしたっけ?」などと言われたのかもしれないです。(笑
 最後に、笑った後に哀しみが。双葉町で売られていた「原子力最中」


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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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