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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

ホントウのものとニセモノpart4

 ふーさんはテーブルに向き直ると、煙草に火をつけた。
 ぼくは「食べていいですか?」と言ってから、冷えてしまって一つ残っていた軟骨を口に放りこむと、口を開いた。

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 ばび「続けていいですよね。アメリカでテロリストのビンラディンより重要なおたずね者であるウィキリークスのアサンジさん。知っていますか?」
 ふーさん「ん、ウィキリークス? 聞いたことあるぞ」
 ばび「ウィキリークスは自在に国境を越えて活動し、ネット上に国家機密を暴露しまくって、とくにアメリカ国家に大打撃を与えています。アメリカの愛国者たちは大手メディアも含めて、突きつけられた『不都合な真実』にうろたえまくっています。まったく痛快なことです。アメリカ軍が秘匿していた米兵によるイラク民間人虐殺の映像は厳重に暗号がかけられていて、You Tubeで見られるように解除するのに『3か月かかって、まあまあ難しかった』と、ウィキリークスのジュリアンアサンジさんは語っています」
 ふーさん「うははは」
 ばび「チュニジアのジャスミン革命やエジプトの革命も、ウィキリークスが国家機密を暴露した影響が大きいといわれています。アサンジさんにノーベル平和賞を与えようという声もある一方で、アメリカ国内ではほとんど犯罪者扱いです。中国でノーベル平和賞をとった劉暁波さんが、中国国内で獄中にいるのとそっくりです」
 ふーさんはくわえ煙草を畳に落として、あわてて拾った。こぼれた灰を指でつかもうとしたけれど、つぶれて畳の目に残った。

 ばび「ところでエヴァンゲリオンって知っていますか?」
 ふーさん「見たことはないけれど、アニメだろう」
 ばび「ガンダムのようにヒトの作り上げたロボット同士の闘いではなく、エヴァンゲリオンというアニメは、自然のつくったエヴァにヒトが拘束具をはめて乗りこなして、自然のつくった使徒という怪物と闘うという設定なのです。だからこそ、物語の結末は、ガンダムと違って、破綻したのです」
 ふーさん「破綻って?」
 ばび「全滅です」
 ふーさん「全滅だ♪ははは、全滅だ♪」
 ふーさんは聞いたことのあるアニソンのメロディーを繰り返した。

(part5へ続く)


コメント


エヴァンゲリオンを観たときに、深夜でもなく夕方の時間帯に、こんなに心を描く作品が放送されて大丈夫なのかと思いました。この作品後、一気に心理学的な表現や精神の病が、なんとなく広く認知されたのは、画期的な出来事だったと思います。終わり方には否定的な見解が多かったですね、破綻という言葉が、よく当てはまっていると感じます。


投稿者: yoru | 2011年02月25日 18:12

 終末論的、黙示録的関心、心理学的な関心、トラウマなどに対する関心が社会にあって、それを旨く取り込んだ作品だと思います。はじめて見たとき、予言している作品?って思いました。新劇場版は4部作だそうですが、どんな終わり方をするのかとても興味があります。


投稿者: 佐野 | 2011年02月28日 21:31

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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