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秋山映美の「監獄から社会へ」

台湾の“芸術刑務所”

 先日のブログで紹介した「ハーモニー」という映画は、韓国の女子刑務所の合唱団のお話でしたが、今日紹介するのは、台湾の刑務所でのお話です。

 AFP通信が紹介している記事で、タイトルは「台湾の“芸術刑務所”でダンスが受刑者を変える」となっています。

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 この記事の中で、王(Wang)さんという受刑者が「このダンスプログラムに参加して、新しい友達ができ、以前よりも幸せに感じるようになった」とインタビューに答えています。
 彼は強盗の罪で7年の刑を言い渡され、3年前からこの刑務所に服役しダンスプログラムに参加しているとのことです。週に2回練習を重ね、2011人の受刑者が旧正月のイベントで法務部長官の前でダンスを披露しました。
 フィリピンの1200人の受刑者がダンスパフォーマンスをしたビデオがインターネットで配信され話題になっていたため、刑務所長はこの記録を塗り替えたということについて「たいへん誇りに思う」と答えた一方で、記録の更新だけに意味があるというのではなく、「芸術に触れ続けることで受刑者は自信を持つようになり、自尊心を育むことができるようになるだろう」と答えています。

 この刑務所では、ほかにも弦楽器やオルガンを演奏するプログラムや人形劇の上演プログラムもあるとのことです。

 ドラムの訓練をしているグループは、お祭りの期間中に法務部の建物中でパフォーマンスを披露したこともあるそうで、そのグループに所属している受刑者の一人パン(Pan)さんは、「ドラムの技術が向上することで自信がついてきた」、「たくさんの人の前で演奏し、拍手をもらったことは、今までにない感覚だった」と答えています。
 パンさんは、高校を中退して人を殺してしまい16年の刑を宣告されたそうですが、刑務所内で高校のプログラムを修了し、今は、仮釈放を待っている状況だそうです。
 彼は、「ドラムの練習をすることが、手の動きに集中させ、怒りを抑制することの助けになっていて、私の心は穏やかになっている」とほほ笑みながら答えていたそうです。

 台湾の国立大学の社会学者も、「受刑者たちは多くの場合、世間に許されないことをする前に社会から見捨てられていて、そのような彼らに芸術のプログラムを提供することによって、刑期を終えた後、彼らは再び社会の構成員となり、普通の生活を送ることができるようになるだろう」と語っています。

 韓国でも2000年に「行刑法」が改正され、文化観光部の予算で刑務所内に、常設ギャラリーや、映画や音楽を楽しむことができる部屋をそなえた「文化の家」を設置し、受刑者に芸術に触れる機会や芸術関連のプログラムを積極的に提供するようになりました。

 受刑者に限らず、人は何かを達成することで自信を持つことができるのだと思います。日々の工場での作業、ルーティーンワークだけでなく、作品を外に向かって発表できるような環境があれば、もっとより自信を持つことができるようになるのかもしれません。
 日本でも、韓国や台湾のように受刑者にもっと芸術に触れられる機会が提供されるようになれば、現在、刑務所の中で処遇困難といわれてしまったり、そのようなレッテルを貼られてしまっている受刑者にも何か変化が起こるのかもしれないと思いました。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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