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秋山映美の「監獄から社会へ」

刑務所の中で使えるお金

 4月23日のブログのコメント欄に、刑務所の中でお金を使うことはありますか?という質問をいただきました。
 今回は、そのコメントにお答えしながら、刑務所内でのお金の使い道をお伝えします。

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 刑務所の中では、下着やパジャマ、ちり紙、歯ブラシなど生活に必要なものは支給もしくは貸与されます。しかし、それは、最低限の生活必需品に限られています。
 そこで、法務省の訓令で認められている物品、たとえば、受刑者が自分で勉強に使ったり記録をとったりするときに使うノートや色のついたペンなどの文房具であったり、クリームや使い捨てカイロ、マスクなどは、受刑者が自分のお金で購入することができるようになっています。
 クリームなんて必要なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、受刑者からの手紙などを読んでいると、冬になると手があかぎれになったり、かさかさしてかゆくなるのでクリームを塗って症状を緩和させていることがわかります。
 以前、刑務所内に冷暖房の設備がないことを書きましたが、冬の寒い時期には使い捨てカイロを購入して使用しているようです。
 また、先日のブログにも書きましたが、入れ歯やメガネなども自分のお金で購入する必要があります。
 そのほか、本や雑誌、新聞も自分のお金で購入することができます。もちろん、刑務所の中にも図書館はありますが、年代物ばかりのようで、比較的新しい本や雑誌は購入して読むのです。
被収容者に係る物品の貸与,支給及び自弁に関する訓令


 これらの物品を買うときには、受刑者が刑務所に入所するときに所持していたお金や、家族や友人から差し入れてもらったお金を使います。これらのお金は「領置金」といい、刑務所に預けられています。
 そのほか、刑務作業を行った受刑者に支払われる「作業報奨金」というお金もありまずが、このお金は、毎月受刑者に手渡されるものではなく、帳簿に記載され、原則として釈放される際に渡されるものになります。
 しかし、領置金がない受刑者は、許可された場合に、作業報奨金を使って日用品を購入したり、家族に送金することができます。受刑者の中には被害者に送金している人もいます。
 なお、法務省のウェブサイトによると、平成20年度予算における作業報奨金の1人1月当たりの平均計算額は、約4,200円とのことです。

 生活に必要なものは支給されるので、お金がなくても過ごせると思われるかもしれませんが、刑務所内では指定されたものしか使用できず、書籍以外はほとんど物品を差し入れることができないため、特に日用品などを購入するお金が必要となるのです。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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