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秋山映美の「監獄から社会へ」

名古屋刑務所事件の判決から その2

 2002年の12月には、法務省は、このような事件が二度と起こらないようにと「行刑改革会議」を設置しました。それに伴い、国会でも衆参の法務委員が、連日のように法務省へ資料請求をしました。

 年が明けた2003年、法務省は国会議員にさまざまな資料を公表しました。

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  刑務所の中で死亡した受刑者の記録をまとめた「死亡帳」については、私たちは国会議員の方たちと一緒に目を通し、分析し、その中でも、死亡原因が特に怪しいと思われるものについてピックアップしました。

 国会議員の方たちの丁寧な調査により、さまざまなことが公表され、革手錠の使用が禁止され、2003年12月には、監獄法改正に向けて行刑改革会議が提言を発表したのです。
 当時の刑務所に関する法律は「監獄法」といって、明治時代に施行されたものでした。100年以上も前の法律で刑務所の運営がなされていたのです。
 その後、この監獄法改正の瞬間にも立ち会うことができました。
 もちろん、不服申し立て制度や査察制度については十分とはいえない面もありますが、100年間もほとんど変わることのなかったものが、新しいものに変わったということで、とても大きなインパクトがありました。
 法律というのは、枠組みを設定するものですので、その条文で定められたことを、いかにして国際水準に沿ったかたちで運用していくのかということが大切なのです。
 私たちは、これからもこのような視点で刑事施設の運用をチェックして、時には、改善すべき点などを指摘していく必要があります。

 なんてしみじみと書いてしまいましたが、実は、私、昨年から新しい環境に身を置くことになりまして、監獄人権センターの事務局専任の仕事は後任に譲り、現在は理事として、ボランティアで受刑者からの相談に回答するなど、今までとは違う形で事務局の仕事を担っているのです。

 名古屋刑務所事件は、私が監獄人権センターで事務局として働き始めたばかりの、右も左もわからないときに時に明るみに出た事件でした。この事件の支援に取り組む中でさまざまな知識を得て、監獄人権センターの事務局スタッフとしても成長をすることができたと思っています。
 名古屋刑務所事件の関連作業に徹夜で取り組んでいた日々が、少し前のことのように思い出されます。もう7年も前のことだなんて、信じられません。とても感慨深いです。


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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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