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秋山映美の「監獄から社会へ」

日本の刑務所

 日本には、全国に約200の刑事施設があります。刑事施設とは、刑が確定した人たちや被疑者たちが収容される施設です。刑が確定した人たちを収容する施設としては、刑務所、刑務支所、女子刑務所、医療刑務所があり、まだ裁判中の人たちが収容される施設として拘置所、拘置支所があります。

 私たち監獄人権センターがよく手紙のやり取りをしている受刑者は刑務所に収容されているのですが、刑務所は全国に約70ヶ所あります。

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 刑務所は、施設によって、収容される人が異なります。男性と女性、犯罪傾向が進んでいない受刑者(おもに初犯の人)と犯罪傾向進んでいる受刑者(再犯者など)、刑期が8年未満の受刑者と刑期が8年以上の受刑者、身体や精神に疾患のある受刑者、禁固刑の受刑者、外国人など、さまざまに分類されます。
 少年刑務所には、未成年の少年だけが収容されると思っている方もいらっしゃると思いますが、実は、26歳未満の成人が収容されており、少年が収容されることはまれです。

 皆さんは「手紙」という東野圭吾さんの小説を読んだことはありますか? 2006年に映画化され、最近テレビでも放映されていたので、みたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
 物語の中で、主人公の兄が殺人で服役しているのですが、そこにでてくる刑務所は千葉刑務所がモデルになっているようです。刑務所の中から投函した手紙の住所が千葉市となっていたり、映像に使われている門が千葉刑務所の門であったりするからです。
 実際の千葉刑務所も、主人公の兄のように、今まで犯罪と縁がなく、ひょんなことがきっかけで重大事件に手を染めてしまった人が収容されます。分類上は、初犯で刑期が8年以上の人が収容されます。

 また、覚せい剤の自己使用や窃盗などの刑期が8年未満の受刑者は、初犯である場合、東京近郊では、以前紹介した黒羽刑務所や喜連川社会復帰促進センターに収容されます。覚せい剤の自己使用でも、再犯の場合は府中刑務所や名古屋刑務所に収容されます。

 こういった、初犯か再犯か、刑期が長いか短いかといった分類以外に、例えば外国人は、日本語をどの程度理解できるかによって収容される施設が異なります。
 日本語がほとんどわからない外国人は、府中刑務所や大阪刑務所に収容されます。府中刑務所には、「国際対策室」という部局が設置されていて、家族からの手紙の翻訳や通訳などを行っています。以前、府中刑務所を見学したときに図書室を見学させていただいたのですが、英語以外にも世界各国の書籍が1~2冊ずつありました。

 このように、条件によって刑期を過ごす刑務所が異なるのですが、各刑務所は立地条件さまざまです。
 例えば、八王子医療刑務所は駅からも近く、バスでも行きやすい立地になっています。ただ、あえて駅の近くに造ったわけではないようです。八王子医療刑務所はJR八王子駅の近くで、住宅地の中にあるのですが、ここは、宅地開発がされる前は周囲には何もなく、そこに刑務所が建設されたそうです。また、府中刑務所は駅から少し離れているものの、バス通り沿いにありバスの本数も多く便利な場所にあります。
 千葉刑務所や宮城刑務所も比較的交通の便がいいところにあります。駅からタクシーで1メーター、2メーターくらいの場所で、施設の近くにバス停もあったと記憶しています。
 そうかと思えば、岐阜刑務所や栃木の黒羽刑務所なんかは駅からも遠く、バスも1時間に1本あるかどうかという状況です。最近注目されているPFI刑務所の喜連川社会復帰促進センターや島根あさひ社会復帰促進センターも、決して交通の便はよくありません。

 駅から遠い施設は、家族もなかなか面会に行くことができず、1日の面会も数人しかないというところもあるそうです。こうなると、受刑者は家族との絆を保ち続けることが難しくなります。
 受刑者が社会復帰するためには、支えてくれる人、見てくれる人が重要だと何度か書いてきましたが、家族や社会とつながっているためには、手紙のやりとりや面会が欠かせません。刑務所の立地というのも、社会復帰に影響を与えるのかもしれません。


コメント


 はじめまして。百里風と申します。7月末に黒羽刑務所から仮釈放で出所してきました。2年弱服役していましたが、その間毎日、日記をつけており、いまそれをすこしずつブログに書いております。
 黒羽刑務所と言っても、工場の正担の先生の方針によって受刑者の待遇は様々です。私は2年間違反を犯す事もなく14工に在籍する事ができました。14工の先生は非常に人情味あふれる先生で黒羽刑務所の中では非常に良い工場だったと思います。
 ただ、規律違反を犯して他の工場から移って来た人の話しを聞くと、本当に酷い工場があるのも事実のようです。外で待っている受刑者のご家族/ご友人達になるべく安心していただけるように、若干ソフトにおもしろおかしく読めるようなブログを書いておりますが今後はもう少し厳しい実情も書いていかざるを得ないと思っております。
 もし、よろしかったら私のブログをご覧いただけたら幸いです。グーグルで「黒羽刑務所物語」で検索していただければすぐ見つかります。
 先生のご活動の参考になるような内容でしたらよいのですが。監獄法改正後、あまりにも規律がゆるみ、今は逆に厳しくなりつつある現状もございます。とにかく、日記を克明に書いておりましたので、黒羽刑務所の事についてだけは正確にお伝えすることができます。もし、お手伝いできることがございましたらなんなりとお申し付けください。


投稿者: 百里風 | 2010年10月06日 22:35

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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