ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
永島徹の「風」の贈り物

心にオレンジリングを

 社会福祉士事務所「風のささやき」では、今年度も市からの委託で介護予防教室を実施してきました。その教室の1コマを使って、先日は認知症サポーター養成講座を行いました。
 市の広報紙に認知症サポーター養成講座の主旨と開催要項のみを掲載したものを配布するという形で呼びかけしたところ、年の瀬で忙しい平日の日中にもかかわらず、20数名の参加者が集いました。

続きを読む

 養成講座は約90分という限られた時間の中で行われることになっており、お伝えしていく内容も、基本的に決められたものがあります。伝える内容や進め方などの研修を修了した、私のような「キャラバンメイト」とよばれる人が、認知症への理解を広め、認知症になっても住み慣れた地域で生活していけるように、そのためのサポーターを一人でも多く地域に増やしていくという目的で、各地で養成講座を実施しています。ちなみに私は、これまで市役所窓口の職員、老人クラブ、ボランティア団体等で実施させていただきました。
 今回の参加者は、30~70代と年齢層も幅があり、認知症に対する関心の高さを感じました。そこでまず、参加者一人ひとりが、認知症に対してどのようなイメージをのっているのかを確認することにしました。
 参加者の中には、現在認知症高齢者の介護をされていて、認知症に伴う変化などを具体的に目にして、かかわる上での大変さを実感されている方もいらっしゃいました。また、全くかかわったことのない方もいて、テレビや映画で目にした場面から、漠然と認知症とはこのようなものかとイメージされている人もいました。
 いずれにしても、認知症になったら大変だと思いながら、認知症のことはよくわからないし、もし、自分の家族が認知症になっても、どうしたらよいのかわからないという不安を感じていることが伝わってきました。
 私たち一人ひとりが、「認知症についてわかる」ということ、もしも身近な人や自分自身が認知症になったら、どうしていったらよいのかを考えられるようになることの必要性を改めて感じます。

 今回、認知症の基本的な症状などの説明にとどまらず、認知症の人の思いに重点をおいて話をさせていただきました。認知症の症状などの知識を得るだけでは、認知症を知ることはできても、「わかる」ということにはならないように思うからです。認知症についてわかるためには、認知症の人の思いに目を向け、もし、自分ならどんな思いになるだろうと想像できるようになることが大切です。
 休憩をとる間もなく講座の時間が終わり、みなさんには、サポーターの証となるオレンジリングが渡されます。受講後のアンケートを拝見させてもらうと、そこにはみなさんの思いが記されていました。
 「認知症になっても本人はわからないから幸せで、大変なのは家族や周りの人だと思っていました。でも、本当につらくて、不安でたまらないのは、本人なんだとわかりました」
 「自分がもし認知症になったら、まわりの人から、安心できるような声をかけてほしいと思うのでは。だから、自分も、町の中で認知症かなと思う人を見かけたら、これからは、その人が安心できる杖のようになってあげたい」
 みなさんの心にもオレンジリングをつけていただけのではと感じられました。

 とても、地道な活動ですが、新しい年もソーシャルワーカーとして、このように地域を育む活動を続けていきたいと思います。

認知症サポーター養成講座 「認知症サポーター養成講座」を受けた人が「認知症サポーター」です。認知症の人と家族への応援者である認知症サポーターを全国で100万人養成し、認知症になっても安心して暮らせるまちを目指しています。
 認知症サポーターには、何かしてもらうものではありません。認知症を正しく理解してもらい、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になってもらいます。そのうえで、自分のできる範囲で活動できればいいのです。たとえば、友人や家族にその知識を伝える、認知症になった人や家族の気持ちを理解するよう努める、隣人あるいは商店・交通機関等、まちで働く人として、できる範囲で手助けをする、など活動内容は人それぞれです。


コメント


 はい、わたしもこの前の日曜日に、たくさんの仲間と一緒にキャラバンメイトに仲間入りしました。どうぞ、よろしくお願いします。
 オレンジ・リングの認知症サポーターさんがまちのあちこちに生まれて育っていったらいいな…の思いです。
 
 <「認知症になっても本人はわからないから幸せで、大変なのは家族や周りの人だと思っていました。でも、本当につらくて、不安でたまらないのは、本人なんだとわかりました」
 <「自分がもし認知症になったら、まわりの人から、安心できるような声をかけてほしいと思うのでは。だから、自分も、町の中で認知症かなと思う人を見かけたら、これからは、その人が安心できる杖のようになってあげたい」

 という、サポーター研修に参加された一般の方のお話を聞いて。
 すばらしい気づきと感性ですね、キャラバンメイトさんの研修内容が良かったんですね。


投稿者: あねさん | 2007年12月13日 21:05

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

【永島徹さんの最新刊】
『必察! 認知症ケア 思いを察することからはじまる生活ること支援』
著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
nagashimabook.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books