第47回 100歳、105歳でやりたいこと
「音楽療法」が認知症に希望をもたらす
認知症の患者数は現在約180万人、2035年には337万人にのぼると予測されており、しかも重い症状の患者さんが増えるともいわれています。
しかし、現在のところ認知症にはこれといった特効薬も治療法もありません。医療ではこれといった治療効果があげられなくても、一緒に歌を歌ったり、懐かしい音楽を聴いてもらったりすると、上手に歌が歌えたり、自然にメロディーに合わせて体を揺すったりします。そのうち歌詞を口ずさんだり、自分の母校の寮歌を最後まで歌ったりすることがあります。
2時間前に食事をしたのに、何を食べたか覚えていないような強度の記憶障害があっても、音楽にはちゃんと反応し、歌ったりすることができるのです。
たとえば、「ふるさと」という懐かしい唱歌がありますが、それをピアノで演奏すると、正しい歌詞で歌うことができます。そして、音楽療法士に「ありがとうございました。気をつけて帰ってください」というようなことが言えたりします。ところが、その30分後に「あなたは何の歌を歌いましたか?」と聞いても、全然覚えていないのです。
認知症の患者さんには明日はない、過去も未来もない。あるのは今だけなのです。その「今」に喜びを与えるのは、音楽療法の大きな役割です。
100歳までに音楽療法士の国家認定を!
現在のところ、音楽療法は保険点数に入らないために、それを普及させるのはなかなか困難です。しかし、ケアには何よりも必要だからということで、私は数年前から、音楽療法士の国家認定による身分法を法制化する運動をし、 議員立法でこれが早く実現されるようにと努力しています。
しかし、昨今のような国会の様子では、なかなか音楽療法を国会で審議する時間がなく、ずっと先送りにされているのです。私が元気なうちに法律ができるといいと思っているのですが。私が100歳になるまでに実現すればいいと願っています。だから、どうしても「私は100歳まで生きなければいけない!」と思っています。
しかし、昨今のような国会の様子では、なかなか音楽療法を国会で審議する時間がなく、ずっと先送りにされているのです。私が元気なうちに法律ができるといいと思っているのですが。私が100歳になるまでに実現すればいいと願っています。だから、どうしても「私は100歳まで生きなければいけない!」と思っています。
長生きの秘訣は「使命」と「誓い」
みなさんは、長生きするには何が必要だと思いますか? 3年、4年先の自分のはっきりした使命を感じて、「どうしてもそれをしないといけない」と、約束ではなく神様に誓うようなコミットメントをすると、不思議と人間は長生きするものです。
だから私は、4年先の国際学会の特別講演を予定に入れたり、東京都知事と、「8年先に東京でオリンピックをすることになったら、聖路加国際病院はヘリポートを作って、緊急事態に全面的に対応しますから」などと話したりしています。8年後には、私は105歳ですが(笑)。
私は、寿命はそういうものと平素の体と気遣いと、生きる上での使命感やパッションから与えられるのではないかと思っています。
だから私は、4年先の国際学会の特別講演を予定に入れたり、東京都知事と、「8年先に東京でオリンピックをすることになったら、聖路加国際病院はヘリポートを作って、緊急事態に全面的に対応しますから」などと話したりしています。8年後には、私は105歳ですが(笑)。
私は、寿命はそういうものと平素の体と気遣いと、生きる上での使命感やパッションから与えられるのではないかと思っています。
(2009年3月2日)
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