
第88回 生きがいをもつきっかけ
私は昨年10月4日に100歳を迎えましたが、まだまだやりかけていることや、これからやりたいことがいくつもあります。そのためにはあと10年は必要だと思うので、110歳までどのように自分の健康を維持していけばよいかということについて考えています。
早速実行しているのは、睡眠時間を1日7時間確保しようということです。これまでは1週間に1回くらいは徹夜をしていましたし、深夜の1、2時に寝るのは当たり前。朝も6時半には起床していましたが、これからは10時にはベッドに入るようにしています。幸いなことにうつぶせ寝の効用からか、3分で熟睡状態に入り2回排尿に起きる以外はぐっすり休みます。そのまま朝までぐっすりと休養をとります。
運動もしたいとは思うのですが、診療や病院の経営、原稿執筆、講演などで、ウィークデーはもちろん土曜日や日曜日も休む余裕はありません。いわんやスポーツジムに行く時間もないので、毎日の生活の中で運動を取り入れていくようにして、たとえば病院内の移動にはなるべく大股に歩くようにしています。出張中にはエレベーターやエスカレーター、あるいは動く歩道を使わずに、なるべく階段を使います。
昨年11月、思いがけずゴルフを楽しむ機会がありました。私は「ホイットフィールド・万次郎友好記念館」協力の会の会長を務めているのですが、ジョン万次郎を記念する「万次郎チャリティーゴルフ」が神奈川県大磯町のゴルフ場で開催され、私が始球式をすることになったのです。私はもちろんクラブもゴルフシューズももっていないので、シングルプレーヤーの息子のものを借りて、ついでに少し要領を教えてもらいました。
当日は気持ちのよい快晴、参加者の注目の中、イメージどおりにクラブを振り上げてスィングしたところ、快音とともにボールは一直線に空を切って飛んでいきました。我ながら見事なショットでした。つづけてゴルフコースを回ったのですが、3ホール目は池のあるショートコース。「池に入ってしまうかな」と思いましたが、「まあ元気よく打とう」と5番ウッドで打ったら、ボールは池を飛び越え、見事にグリーンに着地。思わず「うおーっ」と叫びました。
その時に、思わず頭に浮かんだのが次の俳句。
「池越えに クラブ振り上げ 水の音」
小学生の時に知った「古池や 蛙飛び込む 水の音」という松尾芭蕉の俳句からの連想です。
五・七・五という言葉で表現する俳句には素晴らしい日本語の力があります。東日本大震災で被災した女性が、ご自身の辛い体験を、俳句や3行詩、5行詩にまとめて出版しています。試練を受けている自分の気持ちを五・七・五の中にどのように表現しようかと考える。そしてそれを読んだ人も心を打たれて感動する。まさに俳句療法です。
俳句といえば、こんなエピソードもありました。
生まれたときに体重が1000gしかなかった未熟児で、そのため3か月ほど病院に入院していた赤ちゃんですが、脳に水がたまって脳が少し膨れ、視力も落ちて目がよく見えなくなりました。その子が小学校に入学したのですが、友だちにいじめられて登校拒否になってしまいました。学校に行かずに野原を歩き回っているうちに俳句を作り、絵を描き出したのです。その絵の色の美しいこと、その俳句のすばらしいこと。
その絵と俳句をまとめて私に贈ってくれたのですが、とても感動するような絵の色と俳句の作品でした。わずか9歳の子どもですが、季節の移り変わりを映し出す葉っぱの微妙な色合いが見事に描かれています。また、それに添えられた俳句もとても心を打つものです。
不登校になったけれども、俳句を作ったり、絵を描いたりすることによって、自信が湧いてきて、友だちとも仲良く付き合えるようになってきたのです。
俳句を作ったり絵を描いたりすることによって力を得て、それが生きがいにつながっていく。アート(芸術)には何か大きな神様の力が宿っていて、それと出会うことによって、ますますいい作品を生み出すことができるようになる。
私もこれまでのような音楽やミュージカルなどの趣味に加え、98歳から始めた俳句にも取り組んでいきたいと思います。
早速実行しているのは、睡眠時間を1日7時間確保しようということです。これまでは1週間に1回くらいは徹夜をしていましたし、深夜の1、2時に寝るのは当たり前。朝も6時半には起床していましたが、これからは10時にはベッドに入るようにしています。幸いなことにうつぶせ寝の効用からか、3分で熟睡状態に入り2回排尿に起きる以外はぐっすり休みます。そのまま朝までぐっすりと休養をとります。
運動もしたいとは思うのですが、診療や病院の経営、原稿執筆、講演などで、ウィークデーはもちろん土曜日や日曜日も休む余裕はありません。いわんやスポーツジムに行く時間もないので、毎日の生活の中で運動を取り入れていくようにして、たとえば病院内の移動にはなるべく大股に歩くようにしています。出張中にはエレベーターやエスカレーター、あるいは動く歩道を使わずに、なるべく階段を使います。
昨年11月、思いがけずゴルフを楽しむ機会がありました。私は「ホイットフィールド・万次郎友好記念館」協力の会の会長を務めているのですが、ジョン万次郎を記念する「万次郎チャリティーゴルフ」が神奈川県大磯町のゴルフ場で開催され、私が始球式をすることになったのです。私はもちろんクラブもゴルフシューズももっていないので、シングルプレーヤーの息子のものを借りて、ついでに少し要領を教えてもらいました。
当日は気持ちのよい快晴、参加者の注目の中、イメージどおりにクラブを振り上げてスィングしたところ、快音とともにボールは一直線に空を切って飛んでいきました。我ながら見事なショットでした。つづけてゴルフコースを回ったのですが、3ホール目は池のあるショートコース。「池に入ってしまうかな」と思いましたが、「まあ元気よく打とう」と5番ウッドで打ったら、ボールは池を飛び越え、見事にグリーンに着地。思わず「うおーっ」と叫びました。
その時に、思わず頭に浮かんだのが次の俳句。
「池越えに クラブ振り上げ 水の音」
小学生の時に知った「古池や 蛙飛び込む 水の音」という松尾芭蕉の俳句からの連想です。
五・七・五という言葉で表現する俳句には素晴らしい日本語の力があります。東日本大震災で被災した女性が、ご自身の辛い体験を、俳句や3行詩、5行詩にまとめて出版しています。試練を受けている自分の気持ちを五・七・五の中にどのように表現しようかと考える。そしてそれを読んだ人も心を打たれて感動する。まさに俳句療法です。
俳句といえば、こんなエピソードもありました。
生まれたときに体重が1000gしかなかった未熟児で、そのため3か月ほど病院に入院していた赤ちゃんですが、脳に水がたまって脳が少し膨れ、視力も落ちて目がよく見えなくなりました。その子が小学校に入学したのですが、友だちにいじめられて登校拒否になってしまいました。学校に行かずに野原を歩き回っているうちに俳句を作り、絵を描き出したのです。その絵の色の美しいこと、その俳句のすばらしいこと。
その絵と俳句をまとめて私に贈ってくれたのですが、とても感動するような絵の色と俳句の作品でした。わずか9歳の子どもですが、季節の移り変わりを映し出す葉っぱの微妙な色合いが見事に描かれています。また、それに添えられた俳句もとても心を打つものです。
不登校になったけれども、俳句を作ったり、絵を描いたりすることによって、自信が湧いてきて、友だちとも仲良く付き合えるようになってきたのです。
俳句を作ったり絵を描いたりすることによって力を得て、それが生きがいにつながっていく。アート(芸術)には何か大きな神様の力が宿っていて、それと出会うことによって、ますますいい作品を生み出すことができるようになる。
私もこれまでのような音楽やミュージカルなどの趣味に加え、98歳から始めた俳句にも取り組んでいきたいと思います。
(2012年2月6日)
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 日野原重明先生の指導による東京都訪問介護員養成研修2級課程 |
【日程】 | 2012年4月24日(火)〜10月9日(火) |
【会場】 | 健康教育サービスセンター(地下鉄・永田町駅下車徒歩4分) |
【講師】 | 各領域の専門職 |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【詳細】 | ファイルをダウンロード |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 薬はリスク?―臨床薬理学的な薬の裏話― |
【日程】 | 2012年4月13日(金)14:00〜16:00 |
【会場】 | 健康教育サービスセンター(地下鉄・永田町駅下車徒歩4分) |
【参加費】 | 1,500円(会員1,000円) |
【講師】 | 高橋敦彦(医学博士、日本大学医学部総合健診センター医長) |
【関連URL】 | http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm |
【主催・問い合わせ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
■セミナーのお知らせ
【テーマ】 | 基礎から学ぶフィジカルアセスメント――リンパ浮腫とリンパドレナージ |
【日程】 | 2012年2月18日(土)10:00〜16:00 |
【プログラム】 |
10:00-12:00 「リンパ浮腫と治療の基礎について」廣田彰男(医学博士/広田内科クリニック理事長) 13:00-16:00 「在宅や訪問でいかせるリンパドレナージ」河内香久子(看護師/介護支援専門員/鍼灸・マッサージ師/シーズさわやかデイサロン) |
【会場】 |
剛堂会館 東京都千代田区紀尾井町3-27 (地下鉄・有楽町線「麹町」駅下車徒歩3分) |
【定員】 | 50名 |
【対象】 | 看護師、訪問看護師、看護教員など |
【参加費】 | 7,000円(LPC会員5,000円) |
【申込みおよび問合せ先(平日9:00〜17:30)】 (財)ライフ・プランニング・センター TEL(03)3265-1907 FAX(03)3265-1909 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5砂防会館5階 HP:http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer.htm メールアドレス:lpc_seminar@lpc.or.jp |
- この連載に関するお問い合わせ先
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◆「新老人の会」に関するお問い合わせ先◆
財団法人ライフ・プランニング・センター「新老人の会」事業部
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-7-5 砂防会館5F
TEL:03-3265-1907
FAX:03-3265-1909
ホームページ:http://www.lpc.or.jp/senior_soc/ -
◆日野原重明先生が顧問をつとめている「NPO法人医療教育情報センター」に関するお問い合わせ先◆
医療教育情報センター事務所
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-27-16 ハイシティ代々木303
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