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辻川泰史の「介護事業所運営のコツ、教えます」

利用中止になった状況の考察

 先日、私のクライアントが運営するデイサービス事業所の会議に参加しました。そこでは、利用中止となった利用者のケースを考察していました。
 利用が中止になる際、利用者自身や担当のケアマネジャーが本当の中止理由を伝えてくれるとは限りません。表向きの理由だけではなく、本質を考える習慣が大切だと感じ、こうした考察の会議を開催しました。

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 会議の目的として、次の4点を上げました。
(1)失敗例を共有することで、同じ過ちを繰り返さない
(2)利用者のサインを見逃さない視点を身につける
(3)家族やケアマネジャーとのコミュニケーションの重要性を再認識する
(4)今後の改善策を立案し、実行する

 事例の利用者が利用を中止する原因としては、次の点が考えられました。
・忘れ物…物の取り扱いの申し送り、確認の不足。
・本人や家族とのコミュニケーション不足…事例のNさんにあわせた活動内容を検討し、行い始めていたが、家族に伝わっておらず、Nさんも満足していなかった。
・ケアマネージャーとの情報の共有の不足…Nさんの日頃の様子について、ケアマネージャーへの情報提供が少なかった。
・スタッフとのコミュニケーション不足…Nさんがに注意して声かけをする、様子をうかがうことを他のスタッフへ伝えていなかった。また、情報を得ようとしていなかった。
・他事業所での取り組みや興味をもつ意識の不足…約1か月前から他のデイサービスを利用する。
・自社で回数を増やしていないのかに疑問をもち、情報を得る…何が必要かを探っていななかった。

 これらの改善策として、次の事柄が提案されました。
・ケアマネジャーへの定期連絡
 意識して、利用者と向き合うことにつながる
 利用者の見落としを少なくする
 一人だけの視点だけではなく、他のスタッフからも気になることを確認・把握することで、対応の改善策を見つける。より良い対応方法を検討していく。

・コルクボード、申し送りノートの活用
 スタッフへの注意点を書いたコルクボードを作成し、確認してもらう
 休憩室に申し送りノートを置く(利用者の注意点を記載する。スタッフにも書いてもらうことで周知する)

・個人表を作成する
 利用者様のひとこと、気になった発言を書いてもらう用紙を用意する(「○○の活動は面白い、嫌だ」「○○さんの席の隣は嫌だ」など)
 利用者を把握し、対応方法を決めることにつなげる

・終礼での情報共有
 1日の振り返り、改善策など検討する
 スタッフ間の情報の共有を図る

・リーダーの存在をアピールする
 社内報にリーダーからの一言を載せるようにする
 利用者を紹介する
(例)出身地、趣味、座右の銘など質問をし、紹介コーナーを設ける
 利用者様把握すること、家族にとっても興味があるものにつなげる

・他事業所を利用されている人を把握する
 他事業所での様子を確認し、まとめる

 利用者と事業所の相性もあるので、すべてに当てはまることではありません。しかし、1人の利用者のキャンセルや中止が出る前に細かく検討していくことが重要です。

ご案内
本日10月31日 秀和システムより新刊
「人が集まり 喜ばれる デイサービス開業 運営のしかた」が出版されました。
著書;辻川泰史 袖山卓也 小濱道博


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プロフィール
辻川 泰史
(つじかわ やすし)
1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/
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