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南雲明彦の「発達障害と生きるということ ~当事者からのメッセージ~」

誰でも原動力は「ありがとう」。

 先日、今年のNHK紅白歌合戦の司会に抜擢されたジャニーズ事務所の「嵐」のコンサートに知人と行ってきました。そこで、驚いたのは、そのメンバーの二人が立ち位置を間違えてしまったということを、トークの時間に話して、笑い合っていました。その瞬間、観客も一緒に笑っていたんです。これ、よく考えると不思議な光景です。大抵は、ミスをしたら、笑ってはいけないような雰囲気になります。でも、その正直な姿勢こそが、「嵐」の個性であり、大切な要素な気がしました。そして、私たちが忘れかけている、大切なものであるとも思ったのです。

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 話は大きく変わりますが、最近、恵比寿でバーを営んでいる方と会食をしてきました。その方は、ちょうど1ヶ月前にお父さんを突然亡くされて、お客様から、沢山の励ましを頂いたそうです。ただ、そこで、本音も漏らしていたのですが、お店に来てくれたお客様から、「大変だったね。元気だしなよ」とか「大変だったね。でも、時間が解決してくれるよ」などと言われたときには、大変ありがたいと思う反面、内心、「何もわからないのに・・・」という気持ちも芽生えたそうです。
 そもそも、この「大変だったね」という言葉が先につくと、とても他人事のように感じてしまうのは、私だけでしょうか。確かに、人がこの世からいなくなることは、とても辛い出来事です。だけど、その方の気持ちを勝手に決めつけているような気がしてならなかったのです。その言葉に真心を込めるためには、今までのやり取りこそが、ものを言う気がしています。そのやり取りこそが心中を察する想像力を働かせることになるからです。
 人にいたわりや感謝の気持ちを示すときに、これが正解だというものは、確かに見つかりづらいのですが、時には、無理に言葉を選ぶ必要もないのではないのかなって思いました。「何かをしてあげる=優しさ」というわけでもないのです。
 確かに現代社会はサービス競争の社会で、「親切さ」を示すことが日常においても重要視されますが、「何もしない=不親切」というわけではないと思います。このバーの経営者に、では「何が一番、嬉しかったですか?」と聞いたら、「いつも、ありがとう」という何気ない言葉をもらった時だったそうです。「辛い中、一生懸命働いてくれて、ありがとう」という条件付きの感謝の言葉ではなく、ただ、心から素直に出てきた「ありがとう」は、人の心に真っ直ぐに届きます。しかし、それはいつも、この方がお客様に「ありがとう」と伝えているから、返ってきた言葉なんですよね。

 人と人とが関わり合うということは、多かれ、少なかれ、衝突が生じるのは、違う人間なので、当たり前のことです。でも、コンサートでも、お店の経営でも、私自身の講演活動でもそうですが、共通する部分が存在します。それは、互いの心からの「ありがとう」という気持ちと互いに意思疎通を図ることができていれば、どんなことがあっても、乗り越えられるし、わかり合うことができるということなのです。生き方が違っても、心のベクトルが同じ方向を向いていれば、そこから、楽しみや喜びが生まれてきます。

 話は戻って、嵐はコンサートの最後に、「ありがとう」という言葉を何度もファンの方にかけて、深々と頭を下げていました。こういう姿勢を見ているファンは、また、会いに来たくなるのだと思います。何かを発信、提供する側が、感謝の気持ちを表すということは、とても大切なことなのです。その想いはさらに大きくなって、返ってきて、またそれが大きくなって、返す。そんな当たり前だけど、大切な心のキャッチボールこそが、その場を作り上げ、大きな力を生み出していくんだと思います。


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プロフィール
南雲 明彦
(なぐも あきひこ)
アットマーク明蓬館高校
共育コーディネーター
1984年生まれ。21歳の時に自身が発達障害の一つである「ディスレクシア(読み書き困難)」であることを知る。その後、「ディスレクシア」の存在が世の中に知られていないことから、啓発、支援活動に尽力中。
著書に『僕は、字が読めない。~読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年~』(小菅宏著/集英社)、『私たち、発達障害と生きてます~出会い、そして再生へ~』(共著/ぶどう社)がある。
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