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南雲明彦の「発達障害と生きるということ ~当事者からのメッセージ~」

障害は個性なのか?

 「障害」というのは、果たして、個性なのでしょうか?

 この「障害」についての考え方は、人それぞれなので、答えはないのだと思いますが、私としては、「理解と支援の必要な個性」だと思っています。

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 週刊朝日(2010/09/03)に「新・名医の最新治療/アスペルガー症候群-自分らしく生きられる環境作り」という記事が掲載されていました。その中で、『専門家から「アスペルガー症候群では?」と指摘されている有名人』ということで、マイクロソフト社創業者ビル・ゲイツ氏、理論物理学者アルベルト・アインシュタイン氏、画家レオナルド・ダビンチ氏などが挙げられています。

 ディスレクシアにおいても、俳優のトム・クルーズ氏、英ヴァージングループ創業者のリチャード・ブランソン氏、スウェーデン国王のカール16世グスタフ氏などが、自身の障害について、公表しています。

 これだけ見ると、発達障害をもった人たちは、「特別な才能をもっている」という錯覚に陥ってしまう可能性があって、危険な気がしています。ちなみに、私は、「特殊でふつうな若者」です。この障害をもっているからこそ、出てくる発想もたくさんあると思います。みんなができることができない分、物事を考える視点が多少違うのだと思います。だからといって、それが「天才的な発想をする」ということでもありません。世界的に活躍されている人は、同じ障害をもっていても、その中でも、特別な才能と、努力を積み重ねてきた結果なので、それはとても素晴らしいことだと思います。

 これは、何も発達障害に限ったことではありませんが、大人が良いところを見つけ、育ていくことは大切です。しかし、いきなり、「天才」というラベルを貼られてしまったら、私だったら、逆にプレッシャーを感じてしまいます。

 そもそも、この「個性」という言葉を、日頃使用する機会とはどのような時でしょうか。私は、この言葉を使うときには、「独特な感性の持ち主」に対して、使います。そういう意味では、「障害=個性」ということも、間違ってはいない気がします。ただし、この障害を世の中に受け入れてもらうには、やはり、「障害理解」も必要なんだと思うのです。啓発をする上では、活躍している人を全面的に出すことは、大切です。

 しかし、ここで一番大切なことは、「その障害、その個人をどこまで、深く知り、手助けをすることができるのか?」ということなのではないでしょうか。

 先月28日、愛知県岩倉市の病院職員の女性宅で、小学6年の次男が刺されて死亡するという事件がありました。県警江南署は同日、特別支援学校高等部2年の長男を殺人容疑で逮捕しました。この長男には中度の知的障害があり、県警は、慎重に動機や経緯を調べるということです。

 この報道だけ見てしまうと、「発達障害者=犯罪者」というラベルを安易に貼ってしまいそうになりますが、すぐに結論を出さずに真相が究明されることを祈ります。「発達障害者=犯罪者」でもなく、「障害=個性」でもない。結局は個人個人をしっかり見つめていくことが一番の焦点なんだと思います。


コメント


 いつも、なるほど!と思いながら読んでいます。
 今回の、「幸せを見つけられる才能」と「許しあえる才能」を読んで、私の大好きな映画「幸せのちから」を思い出しました。
 もう一度、DVD借りようかな~。それとも、思い切って買おうかな~。
 それから、「その障害、その個人をどこまで、深く知り、手助けすることができるのか?」
 個別指導計画を、教師と保護者だけでたてるのではなく、医療関係者、カウンセラーなど、子どもに関わる全ての人に、意見を聞いて、じっくり作成する。だけど、時々、こどもの様子から、内容は訂正される。そんなことが、一日も早く実現できる世の中になってほしい!その為にいま自分は何ができるのか?考えなおしてみます。
あと、個別指導計画は、障害児だけでなく、ほんらいは、学生ひとりひとりに、あってもいいのになぁと私は思っています。


投稿者: 大阪のおばはん | 2010年09月01日 23:14

 再び失礼します。ペコリ
 特殊な感性の持ち主のひとりとして・・・
 とっても、よく似た感性の持ち主だ~と思って、お近づきになったら、違っていた。ヘコミ
 同床異夢だった!「子どものために、私たちができること」を夢にもち、一緒に走っていけると思ってた。まさか、違う夢だったとは・・・
 久々に車の中で、ひとりの時に泣いてしまった。
 子どもの前では、泣けないので・・・
 でも、涙が出た分、こころが軽くなった。
 そして・・・
 どうしよう、無意味な道を歩いてしまった。
 まっ、いいか、足をきたえろ!ということだ。
 千里の道も、一歩から・・・また、新しい道探しに出かけます。


投稿者: 大阪のおばはん | 2010年09月02日 13:17

いつも、ご覧頂き、ありがとうございます。
確かに一部の大人だけではなく、子どもに関わる多数の大人が少しずつ、力を合わせていくことが大切だと思います。そして、そこには柔軟性も必要になってきますもんね。

一人一人が意識すれば、変えられる気がします。いや、変えなければいけないんだと思うのです。

無意味な道をたまには歩くのもいいかもしれません。新しい視点が生まれることもありますしね。

コメントを頂き、ありがとうございます!


投稿者: 南雲 明彦 | 2010年09月05日 03:19

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
南雲 明彦
(なぐも あきひこ)
アットマーク明蓬館高校
共育コーディネーター
1984年生まれ。21歳の時に自身が発達障害の一つである「ディスレクシア(読み書き困難)」であることを知る。その後、「ディスレクシア」の存在が世の中に知られていないことから、啓発、支援活動に尽力中。
著書に『僕は、字が読めない。~読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年~』(小菅宏著/集英社)、『私たち、発達障害と生きてます~出会い、そして再生へ~』(共著/ぶどう社)がある。
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