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南雲明彦の「発達障害と生きるということ ~当事者からのメッセージ~」

金子みすゞさんの詩に想いを浮かべること

 金子みすゞさんの代表作「私と小鳥と鈴と」という詩の中に「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」という、とても素敵な言葉が出てきます。特別支援教育において、「みんなちがって、みんないい」という言葉は非常によく使われている言葉です。ここで、この詩の解説のようなことをするつもりはありませんが、この言葉の意味について、もう一度、考えてみたいと思います。

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 私にも小鳥にも鈴にも、長所、短所がそれぞれにあるけれど、みんな違ってもいいじゃない、という内容で、詩の全文は著作権保護の観点からここでは明記できませんが、私たちは、みんな、それぞれ、違う存在だけれど、共に生きていることを考えさせてくれる内容です。

 ただ、この言葉を心から使うためには、互いのことを知ることが必要になってきます。もちろん、全てを知る必要はないと思いますが、ある程度知ることで、互いの距離は、ずっと近くなり、短所、長所が濃くはっきり見えてくるのだと思います。

 私には私の長所、短所があり、小鳥には小鳥の長所、短所があり、鈴には鈴の長所、短所がある。これは非常にわかりやすい表現ですが、人間同士に置き換えると、このようにわかりやすく、人の長所、短所は見つけにくいかもしれません。だからこそ、「伝え合う」ということは、「認め合う」ことに繋がってくるのだと思います。自分の長所、つまり、自分の特徴を周囲の人達に示し、理解や賛同を得ることで、自分の存在を示すことができます。そして、それを見つけたり、見い出したりしてくれる人達がいて、自分の居場所が生まれるのです。自分の存在が周りの人達に認められて、初めて、自己肯定感が生まれてきます。

 さて、「福祉」や「教育」は別の分野ではありますが、全ては、一つの線で繋がっています。その線は、「人生」です。だから、決して、別々のことではないのですよね。

 でも、どこか、距離がある気がしています。これは、とても、寂しいことで、特性は違っても、あまりに分けて考え過ぎてしまうと、「尊ぶ」ではなく、「同情」が生まれてしまいます。これでは、互いに「大変な、お仕事だね」と、どこか他人事のように感じてしまうのです。

 互いの存在を受け入れることで、さらに他の人を受け入れることができるようになる。そうしていくことで、どんな過去があっても、どんな障害特性があっても、どんな病気であっても、「ここにいても、いいよ」と心から想い合える「居場所」が出現し始め、少しずつ、暗闇に希望の光が灯り始め、様々な人たちの未来を照らしていけるのだと思います。

 みんな、同じ時代を生きる大切な存在です。核家族化が進み、高齢者と子どもが、共に暮らすことが少なくなってきました。私が子どもの時には、祖母も同居しており、よく、入れ歯が思わぬ所に置いてあったりして、びっくりしたものです。結構、ぞっとするのです。でも、私は祖母のことが大好きです。最初は、びっくりしましたが、慣れれば、そんなことはどうでもいい。大切なことは、祖母は沢山面倒見てくれたし、それが生きがいになっていた祖母がいて、それで十分なのだと思います。

 互いの存在を認め合い、それを越えて、尊敬し合う。まさにこれこそが、「みんなちがって、みんないい」なのではないのでしょうか。ありのままの自分を、自分勝手にならずに、出し合える社会が生まれるといいなって思います。


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プロフィール
南雲 明彦
(なぐも あきひこ)
アットマーク明蓬館高校
共育コーディネーター
1984年生まれ。21歳の時に自身が発達障害の一つである「ディスレクシア(読み書き困難)」であることを知る。その後、「ディスレクシア」の存在が世の中に知られていないことから、啓発、支援活動に尽力中。
著書に『僕は、字が読めない。~読字障害(ディスレクシア)と戦いつづけた南雲明彦の24年~』(小菅宏著/集英社)、『私たち、発達障害と生きてます~出会い、そして再生へ~』(共著/ぶどう社)がある。
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