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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter64「複数の治療法から一つを選ぶようにいわれたが…その4」

 前回の続きです。6か所の病院を巡って、手術をした方がよいか、しない方がよいかを決めかねているGさんのお宅です。奥様と娘さんも一緒に、今後の治療方法を何にしたらよいかについて検討しています。

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 まずは最初のクリニックでの出来事です。Gさんはこれまで健診を受けてきたのですから、例え悪いものが見つかったとしても“初期だろうし治療の方法はある”と信じていました。しかしクリニックからは、健診ではなかなか見つからない性質の悪いがんで、治療効果が出にくいがんだと告げられました。
 「自分のがんは普通の人とは違うがんだ」。Gさんは強くそう思いました。この思いは後に、“普通の治療法では太刀打ちできない”“普通の人とは違うから特別なことをしなくてはいけない”という思いへ繋がっていきました。しかし、手術はできると言われたことに希望をつないでA病院を受診しました。
 しかしA病院では、リンパ節に転移が見つかったので、手術ができないと言われました。唯一の希望がここで打ち砕かれました。信じられない思いでセカンドオピニオンを受けにB病院へ行きました。ここでは、クリニックと同じように「手術できる」と言われました。Gさんのがんは手強く、普通の人と同じように治療していてはだめだというのがB病院の意見でした。「手術も抗がん剤も放射線も、総力を挙げてがんに向かっていかなくてはいけない。私はこれまでGさんと同じ性質の悪いがんの患者さんを診てきた実績がある。もっと年齢の高い患者さんも手術してうまくいっている。それを裏付ける論文もある」と自信満々でした。Gさんはほっとしました。自分と同じ考えを持っている医師に出会え、再度希望を持つことができました。すぐに手術の予定を入れ、その日に向かって検査のスケジュールも組んでもらいました。
 しかし家に帰ってから、また不安な気持ちが芽生えてきました。B病院の言っていることは信じたい。しかし、それではなぜA病院は反対のことを言ったのだろう? その理由が分からなければ安心できない。そこでGさんはサードオピニオンを受けに行くことにしました。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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