利用者の「いつもと違う」に気づく! 第2回:表情・意識の観察と対応のコツ
2026/06/23
呼びかけに反応がない、ぼーっとしている……。表情や意識の「いつもと違う」を見逃さないためのポイントを
著者プロフィール
真鍋哲子(まなべ てつこ) 看護と介護の想いを繋ぐ会社 株式会社ONMUSUBI 代表取締役
福岡県北九州市出身。看護師として外科、整形外科、内科、精神科などを経験。2002年より高齢者施設の看護師として勤務し、2024年に株式会社ONMUSUBIを立ち上げ現在に至る。生活のなかの看護を追求し、チームケアを大切に現場での実践に取り組む。
介護現場で利用者と接するなかで、表情や意識の小さな変化に「おや?」と違和感を覚えることはありませんか? 高齢者は症状がはっきり出にくいことが多いため、こうした介護職の気づきが、脳卒中や脱水、せん妄などの早期発見につながる重要なサインとなります。
連載第2回となる今回は、命に直結する変化も多い「表情・意識」の観察ポイントと対応を解説します。
1.呼びかけに返事がない
ふだんから返事がないのか、聞こえていないのか、あるいは急な意識障害が原因なのかを判断することが大きなポイントです。 「いつもと違う」と感じたら、気のせいと考えず医療職に伝えましょう。
【観察のチェックポイント】
①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。
●意識状態
●難聴の有無
●目の動き、表情
●顔色、口唇チアノーゼの有無
●発汗、冷や汗の有無
●四肢冷感、爪の色(チアノーゼの有無)
●脱力感の有無
●睡眠状態(昼夜逆転していないかなど)
●認知症の有無
●そのときの状況(食後、排便後など)
【介護職としての対応】
呼びかけへの反応が悪い、ぼんやりしているなどと感じた場合は、
※反応がない、呼吸がおかしい、意識がはっきり戻らない場合は、直ちに応援を呼び、119番通報をしてください。
2. ぼーっとしている
「大したことはない」と安易に判断するのは危険です。 背景にさまざまな疾患が隠れている可能性があるため、慎重に観察しましょう。
【観察のチェックポイント】
①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。
●意識(表情、顔色、目の動きなど)
●体熱感の有無
●体の動き(姿勢、動作など)
●エピソード
●精神症状(生活のなかでの変化)
●栄養状態(低栄養ではないか)
●生活環境(気温、湿度、日当たりなど)
●生活リズム
【介護職としての対応】
まずは声をかけ、表情や顔色、熱がないかを確認します。 糖尿病による低血糖が原因の場合は糖分補給、脱水が疑われる場合はイオン飲料などの補給が効果的です。 認知症が原因の場合は、環境を整え、日ごろのかかわり方を変えるだけで症状が改善することもあります。原因が予測できる場合は、対応方法を医療職から聞き、チームで共有しておきましょう。
※ 意識レベルが低下して正常に戻らない場合は、速やかに救急搬送を要請し、医療職につなげましょう。
3.活気がない
「元気がない」「無表情」といった様子だけでなく、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)の変化も重要な指標です。 気になることがあれば医療職に相談してください。
【観察のチェックポイント】
①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。
●表情、動作の変化
●興味の喪失、無関心
●認知症、うつ病の有無
●頭痛、めまいの有無
●肩こり、耳鳴りの有無
●生活リズム、睡眠状態
●環境の変化の有無(接する人、過ごす場所など)
●精神的ショックの大きいできごとの有無
●その他、自覚症状の有無
【介護職としての対応】
活気がない場合は、うつ状態、感染、脱水、低栄養、痛み、
4.そわそわしている
言葉にできない痛みや不快感、精神的ストレスが「そわそわ」という行動に現れることがあります。高齢者のしぐさを観察することも大切です。
【観察のチェックポイント】
①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。
●認知症の有無
●せん妄の状態(幻覚、妄想、不安など)
●排泄状態(便意、尿意)
●体調の変化、痛み、不快感の有無
●皮膚のかゆみの有無
●生活リズム、睡眠状態
●環境の変化の有無
●精神的ショックの大きいできごとの有無
●その他、自覚症状の有無
【介護職としての対応】
身体的な痛みや不快感(かゆみ、便秘など)が原因であれば、それを取り除くことが先決です。 環境の変化が原因の場合は、その人が使い慣れたものを置くなどして、安心できる空間を整えましょう。 介護者によって対応が異なることも、「そわそわ」の原因になります。介護者によって異なる対応は利用者を不安にさせるので、チームでかかわり方を統一することが大切です。
5.興奮している
不安や恐怖をうまく言葉にできず、興奮状態になることがあります。 その状態が続くと日常生活や体調に悪影響を及ぼすため、適切に対処しましょう。
【観察のチェックポイント】
①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。
●認知症の有無
●せん妄の状態(幻覚、妄想、不安など)
●体の変化、痛み、不快感の有無
●環境の変化の有無
●生活リズム、睡眠状態
●精神的ショックの大きいできごとの有無
●その他、自覚症状の有無
【介護職としての対応】
なぜ利用者が興奮しているのか、本人から話を聞くほか、興奮状態が起こった場所や時間などを振り返り、発熱や便秘などの身体的な不快症状がないか確認します。 危険なものは周囲から除去し、安全確保に努めてください。 大きな声で話しかけず、相手に寄り添う姿勢を保ち、落ち着ける場所へ移動するなど人的・物的環境を変えることも有効です。
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