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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter55「私が受けたい治療に家族が反対している その2」

 前回、病気の相談をする人の8割が女性で、患者さん本人の場合が半分、家族からの相談の場合が半分という構成になっていることをお話ししました。そこで今回は、患者さんはお父さんで相談者は娘さんという方からの相談内容をご紹介します。

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 Bさんは、がんの手術後半年が過ぎました。東京の郊外で、夫婦で自営業を営んでいます。主治医との関係は普通で特に不満はありません。Bさんの娘Rさんは近所に住んでおり、父であるBさんが病気をしてからは、両親を心配して頻繁に家に顔を出すようにしていました。Bさんは、最近食欲がありません。病気のことを聞いても「大丈夫」としか言いませんが、Rさんは心配でたまりません。母に外来受診のときの様子や、医師からの説明はどうなのか尋ねてみても「難しいことは分からない、大丈夫だと言っていた」と言うだけで要領を得ません。

 ある日母から、「次回の外来は一緒に行って欲しい」と頼まれました。外来で診てもらっている医師から、「次回の外来はお子さんに付添ってもらってください。話したいことがあります」と言われたとのことでした。Rさんは何か悪い話があるのだろうと覚悟して外来に付添いました。Bさんが退院してから病院には行っていませんでしたので、担当の医師にはこのとき久し振りに会いました。

 医師はBさん夫妻とRさんに、「がんが再発しています。治療は今のところなく、このまま様子をみていくことになります」と言いました。医師は続けて再発の内容を細かく話しましたが、最初のショックが尾を引いて、後半の話はほとんど耳に入りませんでした。医師は非常に話しやすい人で、質問にも丁寧に答えてくれる人でした。しかし、この日は何も聞くことができず3人は帰宅しました。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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