今月の月刊ケアマネジャー(11月号) 誌上スーパービジョンで考える “気づき”をケアプランに活かす技術
2026/10/20
『月刊ケアマネジャー』2026年11月号から、特集(誌上スーパービジョンで考える“気づき”をケアプランに活かす技術)の内容を一部ご紹介いたします。
ケアマネジャー業務の基本でありながら、多くのケアマネが理想と現実のギャップに悩みながらケアプランを作成しています。中堅 ・ベテランそれぞれが実際に苦慮した事例をもとに、利用者や家族のどこに注目し、どのようにケアプランにつなげるのがよいか、白木裕子氏とのスーパービジョンを通じて探ります。
【考える手がかり】第1表で迷い始めたら
第1表を書きながら、「これでよいのかな」と手が止まる。そんな迷いを抱えたことはありませんか。その迷いがどこから来るの第1表で迷い始めたら かをたどりながら、第1表と向き合う意味を考えてみます。
どこで手が止まりますか?
①本人の思いがつかめない
本人があまり語らない。言葉で思いを表すことが難しい。気がつけば、家族から聞いた意向ばかりが並んでいる。
②「この人はこうしたい」と書き切れない
本当にそう思っているのだろうか。こちらの解釈を、本人の意向として書いていないだろうか。
③本人と家族、どちらも大切だから迷う
本人は家で暮らしたい。でも、家族は別の暮らし方を考えている。どちらの思いも大切だから迷う。
④本人の希望と、専門職としての見立てがぶつかる
通院してほしい。リハビリもしたほうがよい。でも、本人は望まない。本人の選択と、専門職として気になるリスクの間で迷う。
⑤情報が多すぎて、何を残せばよいかわからない
生活歴、病状、家族関係、本人の好きなこと……。材料が増えるほど、第1表に何を残すかで迷う。
⑥似通った第1 表になってしまう
その人らしさをつかんだはずなのに、「安心して~」「安全に~」「体調管理をしながら~」と、ほかの利用者にも当てはまりそうな言葉になる。
本人や家族と話をした。アセスメントもした。それでも、第1表を前にすると言葉が定まらない。書き上げても、何かが引っかかる。こんな経験はないでしょうか。
ほかにも、「課題分析の結果」と「総合的な援助の方針」が似てしまう、必要なサービスは見えているのに「何のために」が言葉にならない、先輩から直されるたびに何が正しいのかわからなくなる、サービス事業所から特定の文言を求められて戸惑う——。そんな悩みもあるでしょう。
こうして並べると、ばらばらに見える迷いの奥に、共通するものが見えてきます。
なぜ、第1 表は簡単に書けないのか?
手が止まる理由はさまざまです。掘り下げてみると、第1表に向き合う難しさが見えてきます。
人のことは、そう簡単にはわからない
人一人の思いや暮らしを、すっきりと言葉にできるものでしょうか。80年、90年と生きてきた人です。本人が語ったことは、長い人生のほんの一部です。言葉で十分に表せない人なら、表情や視線、しぐさから思いを探ることになります。
「家で暮らしたい」と聞けば、その言葉を第1表に書くことはできます。でも、なぜその家なのか。そこで誰と一緒に暮らしたいのか。家で暮らすのは、その人にとってどんな意味があることなのか。少し踏み込むだけで、「家で暮らしたい」という言葉の中身が、少しずつ見えてきます。
丁寧に本人を見ようとするほど、「本当にそうなのかな」と手が止まります。むしろ、そのためらいは大切にしたいところです。人のことを、早々に「わかった」と片づけずに済むからです。
いくつもの「大切」が重なっている
本人の希望を大切にしたい。家族の思いも大切にしたい。病気や転倒のリスクも気になる。専門職として伝えておきたいこともある。どれも無視できないものです。
本人が「家にいたい」と言う。その一方で、家族は別の暮らし方を考えている。通院を勧めたいけれど、本人は望んでいない。そんなふうに、いくつもの「大切」が重なったところで、ケアマネジャーは迷います。
経験を重ねるほど、本人だけでなく家族やチームの姿も見え、生活上のリスクにも早く気づくようになります。そして、「こうしたほうがこの人のためになる」と考えている自分自身にも、少しずつ目が向いていくでしょう。1つのことだけを見ていたときより、見える景色はずっと複雑です。
その人らしさは、どこで消えた?
本人や家族と話すなかで、その人らしいエピソードはいくつも出ていた。それなのに第1表を書くと、「安心して~」「安全に~」「体調管理をしながら~」と、どこか似た文章になる。そんなこともあります。
一つひとつのエピソードが、本人の暮らしにとってどんな意味をもつのか。それを考え、「これから何を大切に支えていくのか」を言葉にし、第2表の目標や具体的な支援へつなげます。第1表は、本人理解と具体的な支援を結ぶ、ケアプランの要ともいえるでしょう。
サービス名をとったら、その人らしさが消えてしまわないでしょうか。
第1表を読むとき、時々そんな見方をしてみてください。本人の暮らしが先に見えていれば、サービスも、その暮らしを支える手段として位置づいてきます。
第1表を前に「これでよいのかな」と手が止まる。この人のことをもっと知りたい。本人も家族も大切にしたい。専門職として気になることもある。そんな思いが重なって、簡単には書けなくなっているのかもしれません。
迷えるようになったこと。それも、相談援助職としての成長の表れです。
執筆・監修:
白木裕子(株式会社フジケア取締役社長)
石井順子(株式会社もみのき友 もみのき居宅介護支援事業所)
大塚睦美(医療福祉法人社団一視同仁会 ケアプランセンターきりん)
執筆:
佐賀由彦(ライター)
特集
Prologue
【考える手がかり】第1表で迷い始めたら
Chapter1
誌上スーパービジョン【中堅編】
言葉にならない反応から本人の意思を見る
Chapter2
誌上スーパービジョン【ベテラン編】
「いらない」「やらない」の先に本人の選択を見る
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『月刊ケアマネジャー』2026年11月号

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