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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter49「患者が悩む意思決定トップ5 その1」

 今年の秋で、私が患者支援活動を始めてちょうど10年が経ちました。医療コーディネーターとしては7年半になります。病院職員という立場を離れて患者さんと接することで、見えてきたものがたくさんありました。病院では言えないけれどこんなことに悩んだ、あんなことが不安だという訴えは数多く、多数の「患者の本音」に触れることができました。

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 このような経験をもとに、患者さんが医療を受ける際に医師から自分で決めるようにと言われても簡単には決められないことや、どうしたらよいのか分からないけれども病院では聞けないといった悩みを大きく五つに分けてまとめてみました。それが「患者が悩む意思決定トップ5」です。

患者が悩む意思決定トップ5 
 『もっといい治療はないか?』
 『私が受けたい治療に家族が反対している』
 『医者に、どの治療法がよいか、と聞かれたが決められない』
 『そもそも西洋医学だけで良いのかと思っている』
 『突然のことでパニックになり、どうしたらよいかわからない』

 これら五つの悩みは、一つひとつが独立しているのではなく、複数の悩みが複雑に絡まり合って存在します。また、「自分はこれに悩んでいる」と患者さんが明確に意識している場合は実際には少ないものです。医療コーディネーターが患者さんの悩みや不満、不安に耳を傾け、受診や療養の経緯を丁寧に聞き取っていくなかで、初めて「悩み」が明確化され、浮かび上がってくるのです。

 「悩み」が明確になるまでに一時間程度の聞き取りで十分な方もいれば、何度も面接を繰り返す人もいます。また、悩みが分かっても、それを受け入れるまでに時間がかかる人もいれば、何に悩んでいたのかが分かっただけですっきりと解決してしまう人もいます。

 次回からは、これらの悩みそれぞれに対して、分かりやすい事例をご紹介していきたいと思います。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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