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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter46「最後に歯医者に行ったのはいつですか? その2」

 肺がんを患っているYさんの今の悩みについて、前回はお話ししました。その悩みとは口内炎です。数本残っている歯に舌が当たると激痛がするが、舌はほんの少し赤味がある程度で異常はありません。そこで歯科へ行き、診察をしてもらいました。

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 受診後、Yさんは歯科医師から勧められた口の中を綺麗にするための専用のブラシを使い、歯だけではなく舌も丁寧に洗いました。また、入れ歯も毎日洗浄するようになりました。さらに、口の中の乾燥が気になる時はこまめに乾燥防止スプレーをするようになりました。こうした地道な努力を続けて2週間後、すっかり痛みはなくなりました。

 Yさんはあまりの痛みにがんが舌に転移したのではないかと思っていましたが、あっさりと痛みが治ってしまったことに拍子抜けしてしまいました。それでは、この口内炎だと思っていた舌の赤味の原因は何だったのでしょう?答えは、口の中に汚れが溜まっていたこと、口の中が乾燥していたこと、の2点でした。

 Yさんのように口の中に痛みが出現し、口内炎が出来たときには、カビなどの常時存在しないはずの菌が口の中で増殖している場合があります。しかし今回のYさんの口の中にはカビはなく、正常な状態が保たれていました。それでも、乾燥していたことが原因で口の中の痛みが強く表れてしまったのでした。

 Yさんは数か月前まで抗がん剤治療を行っていました。その副作用から食事の量も減っており、暑さも収まってきたことから、最近は水分を取る量も減っていたそうです。
 だるさが増してきた最近は歯ブラシをする気力もなく、忘れたまま寝てしまう日も多かったとのことでした。痩せてきたことから入れ歯の点検に歯医者には通っていたそうですが、口の中を綺麗にすることまでは教えてもらわなかったということでした。

 Yさんの場合は早めに歯科へ行ったことで適切なアドバイスを受け、きちんとそのアドバイスを実行したことですぐに症状はなくなりました。しかし口腔内のバランスが崩れて歯周病にかかると大きな病気を引き起こすことがあります。

 次回は歯周病と病気の関係、そしてその予防法についてお伝えします。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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