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福祉マイスターへの道 毎日更新

依存症の回復施設

【Q】
 依存症の治療においては、中間施設が大きな役割を果たしていると聞きますが、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか?

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【A】
 アルコール依存症や薬物依存症の治療において、病院を退院後、以前の生活にそのまま戻るのが難しそうな場合(再飲酒したり再使用する可能性が高い場合)、リハビリテーション期間ということで中間施設を利用する場合があります。例えば、アルコール依存症であればマック(Maryknoll Alcohol Center:MAC)、薬物依存症であればダルク(Drug Addiction Rehabilitation Center:DARC)等がそれで、嗜癖治療機関の一環として大きな役割を果たしています。それだけの役割を回復者による民間施設に丸投げしてしまってよいのか、という問題はあるものの、医療機関との適切な連携を実現しているところも多くあります。
 なお、アメリカでは専門病院や回復施設の種類が豊富で、多様な社会階級の人がそれぞれ行きやすい病院や施設で治療やケアを受けることが可能です。例えば、バリバリと仕事をこなしていた企業人が何かをきっかけに依存症になったとします。彼は嗜癖の問題が解決すれば、比較的スムーズに社会に復帰することが可能な人です。このような人たちが、長い間収入もなくホームレスのような放浪生活をしてきた依存症者、軽い認知症を持った高齢の依存症者、知的障害があって生活保護を受けている依存症者等と、同じ時空間で一緒にミーティングやプログラムを行ったり、集団精神療法を受けるのは無理があります。アメリカでは、現役の企業人が参加しやすいミーティングやリハビリテーション施設がある一方で、そうでない人たちが参加しやすい施設も用意されているのです。このような体制や観点は、見落とされがちですが実は大変重要なことです。
 身体の治療であればともかく、心や精神の治療において、機関が提供する文化的環境や、スタッフや入院患者が醸成する人的環境の治療的影響は、計り知れないものです。ある程度均一なメンバーがそろっていれば、患者にとってその場はより居やすい場所となり、仲間や回復者モデルも探しやすくなるはずです。ただし、日本において、個別性を重んじた多様な施設群を準備できるのは、かなり先の話といえるでしょう。今は、医療機関や中間施設があるか否かの次元です。

出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年


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