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梶川義人の「虐待相談の現場から」

業務省力化の近道はローテクを使うこと!?

 宗澤忠雄先生の7月8日のブログ「事務量が増え続ける」を拝読して、インターネットが一般に普及し始めた頃、米国で行われたコンピュータによる業務省力化に関する調査の結果に驚いたことを思い出しました。電子メールを除いて省力効果はほとんどないというのでビックリしたのです。

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 しかし、その根拠を知った私は、パソコンに「使われている」現実に直面しました。パソコンの神様がいたなら、次のようなやりとりになっていたことでしょう。

 「使いこなしているというからには、まさか、このようなことはしていないだろうね。
 手書きなら10分でできる書類に、ワープロソフトの修飾機能を使いまくって1時間かけている。
 手書きのシンプルな数表の方が分かりやすいのに、表計算ソフトであれこれ無駄にグラフ化しまくり、かえって分かりにくくしている。
 手書きの紙資料一枚で済むプレゼンなのに、見にくいアニメーション満載の電子紙芝居を見せつけた挙句、決まってゴミ箱に直行する紙資料を大量に配っている。
 データベースソフトの敷居が高いからといって、表計算ソフトを使ってあれこれ無駄な名簿を作り散らかしているが、最もよく使っているのは手書きの台帳。
 少しできるからといって、本業そっちのけでデータベース作りとそのメンテナンスに勤しんでいる。」

 「ひえぇ!みんな私のことでございます。今後、使いこなしているなどとは決して申しません。」

 以来、私は、パソコンに限らず情報通信技術を使う「主体」は自分であるという自覚を持ち、情報通信技術が得意とする、問題の解を得る手順の定式化できる(アルゴリズムのある)仕事にだけそれらを使うことにしました。おかげで、随分と業務の整理は捗り、業務ソフトの共同開発に携わるまでになったのですが、今度は、業務にアルゴリズムを見出す大変さを思い知ります。しかも、業務は変化するので、アルゴリズムを見出す作業にきりはありませんし、のめり込めば「本業そっちのけ」に逆戻りです。

 最近では、もう面倒なので、すぐに「保健・医療・福祉サービスなんてみんなICカード式にしちゃえ」とか、「紙の書類なんてみんなスキャナーで読み込んでしまえ」といった「いっそのこと」的な発想をするようになりました。ところが、この発想は、ダートマス大学の教授ビジャイ・ゴビンダラジャン氏が、同名著書で唱えた「リバース・イノベーション」に通じるらしいのです。

 リバース・イノベーションは、「途上国のイノベーションが、一般的な流れとは逆に、先進国に普及していく」といったほどの意味であり、情報通信技術による事務の省力化について当てはめると、「ローテク・レベルの途上国のイノベーションが、ハイテク・レベルの先進国にまで普及していく」ことになります。つまり、私達が、主体的な選択として最先端の情報通信技術は用いず、本業の効率化を図ることからイノベーションが生まれ、それが、最先端の情報技術通信技術やその活用のあり方にまで普及していくという流れです。

 私は現在、業務省力化への近道は、案外こちらの方なのかもしれないと思っています。


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プロフィール
梶川義人
(かじかわ よしと)
(仮称)日本虐待防止研究・研修センター開設準備室長、淑徳短期大学兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。
著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。
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