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梶川義人の「虐待相談の現場から」

緊急性と虐待の判断

 年度が替わると、新任者が多いせいか、緊急性や虐待の判断に関する質問が増えます。

 緊急性については、単純に高齢者の身体・生命・財産に及ぶ危険性を見積もるより、いつまでにどうすればよいか考えるほうが、判断しやすいと思います。私の場合は、以下のことを踏まえて判断しています。

  • 1.被虐待者のこれまでに受けた生命・身体・精神又は財産のダメージの程度
  • 2.介入拒否など対応上の困難性の程度
  • 3.被虐待者が今後受けると予想される生命・身体・精神又は財産のダメージの程度

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 また、私は、自分に分からないことは、必ず専門家の意見を仰ぐようにしています。生兵法は大怪我のもとだからです。
 一般論ですが、発育や発達の障害、外傷、骨折、出血、溺水などがある場合や、各科の医学的所見が必要な場合は、医療の専門家に、訴訟、財産の保全処分、成年後見制度など、法的な解決手段を検討する場合には、法律の専門家に意見を求めます。そして、事件性が疑われる場合や、被虐待者が重傷を負い、被虐待者やその親族が刑事事件として扱うことを望む場合には警察に、嗜癖や依存等の健康問題、DV・障害者虐待・児童虐待などがあれば、その道の専門家を探して、意見を求めるようにしています。

 虐待の判断については、以下のようなことが判断ポイントになると思います。

 まず、養護者は「高齢者を現に養護する者」だという点です。そのため、同居の家族・親族以外の者でも養護者になり得ますが、配偶者であっても要介護状態などであれば養護者にはなりません。

 つぎに、高齢者虐待の行為5類型の判断ポイントは、類型ごとに異なります。

 身体的虐待は、「身体に外傷が生じ又は生じさせる恐れのある暴行」ですが、「恐れのある」場合も含まれている点がポイントです。したがって、「投げつけた茶碗が当たらなかったから虐待ではない」とばかりは言えないわけです。

 養護者によるネグレクトで見落としやすいのは、養護者以外の同居者による身体的虐待、心理的虐待、性的虐待を放置している場合も含まれるという点です。一方、福祉従事者によるネグレクトでは、「義務を怠っているか否か」で判断します。

 心理的虐待では、「著しい心理的外傷を与える言動」、とくに「著しい」といえるか否かが分かれ目になります。お互いがやり合っているというより、一方的な口撃や無視が継続しているイメージです。

 性的虐待は、「わいせつな行為をする又はさせること」ですが、固定的な概念ではない「わいせつ」をどう捉えるのかという点と、「させる」ことも含まれるのがポイントになります。介護施設で利用者にアダルトビデオを見せたことの是非が問題になったのは耳新しいところです。

 経済的虐待は、虐待者が不当に財産上の利益を得ることですが、「不当」か否かが分かれ道です。ですから、高齢者虐待防止のパンフレットに、金銭使用の制限が例示されているのを見ると、個人的には疑問が残ります。

 ここまででも、それなりにポイントは絞れたように思います。しかし、リトマス試験紙のような明瞭さはありませんから、判例同様、事例の蓄積を待つ以外にはなさそうです。一日も早く、全国的な事例データベースが構築されますようにお祈りしましょう。


コメント


まず、養護者は「高齢者を現に養護する者」だという点です。そのため、同居の家族・親族以外の者でも養護者になり得ますが、配偶者であっても要介護状態などであれば養護者にはなりません。

とありますが、養護していない孫からの暴力に対しては高齢者虐待防止法の支援には値しないのでしょうか?
どのような法律のもとに支援をすべきなのでしょうか?


投稿者: 山田 和子 | 2013年06月04日 22:00

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プロフィール
梶川義人
(かじかわ よしと)
(仮称)日本虐待防止研究・研修センター開設準備室長、淑徳短期大学兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。
著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。
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